見出し画像

「一夫多妻制」は実在した!

イスラム教のコーランのもとでは、夫は4人までの妻を持つことができる「一夫多妻」が認められている。

これは、戦争で夫が帰らぬ人となった時に、未亡人の妻が生きていくため、つまり女性を経済的に救済するためというのが、この制度の成り立ちだと言われている。

とは言っても、男性だけが浮気を認められているような…男性にとっては有利であり、実態を知らない私たちにとってはどこか男尊女卑に感じられてしまう。

たが、実際に複数の妻を持つことは簡単ではない。
なぜなら、それぞれの妻を平等に愛さないといけないからである。

例えば、複数の妻がいるのにも関わらず、そのうちの一人とだけずっと一緒に過ごしてはいけない。
4人の妻がいるなら、1日ごとにローテーションで寝る場所を変える必要がある。

平等に…というのは、精神面の話に限らず、金銭面もである。
妻を一人新たにめとるごとに、新しい妻が住むための、新しい家を与えないといけない。
つまり、複数の妻を持つということはとてもお金がかかるので、現実的には金銭的に余裕のある人しかそんなことはできない。

私は、この不思議な一夫多妻制について、実態はどうなっているのか、とても気になっていた。

そこで、2年前にヨルダンにいた時に、この一夫多妻について聞いてみたところ、
「それは昔の話やで〜」
「今はそんな人ほとんどおらんで〜」
と、答えたヨルダン人がほとんどだったので、一夫多妻は昔のことで、もうほとんど実在しないものだと認識していた。

それが、今回またヨルダンに来て難民キャンプで活動している中で、一夫多妻が意外にも身近に存在していることを知ることとなった。

それは難民キャンプの中のある施設で働く女性。
ふと家族の話になったときに、
「私は夫の4人目の妻なの」
と、彼女が私に打ち明けてきた。

詳しく話を聞くと、彼女の夫は、1人目の妻とは6人、2人目の妻とも6人、3人目の妻とは子どもはできず、4人目の妻である彼女とは2人の子どもがいるということであった。
夫側からすると、14人の子どもがいることになる。
衝撃だった。

また難民キャンプでの別の場面。
ある20代後半の女性の先生が、少し前に、彼女のお父さんが再婚して、四人目のお母さんができたと言っていた。

その結婚式で撮った写真を見せてもらうと、彼女とあまり年齢が変わらないんじゃないかと思えるくらいの若い奥さんと、彼女の実のお父さんと、彼女の3人で一緒に笑顔で写っていた。

ちなみに彼女の実のお母さんは、病気で昔に亡くなっていたり、その後に結婚した女性たちとは離婚したりしたそうで、彼女のお父さんにとっては、今回結婚した女性が4人目であっても、唯一の奥さんであるようだった。

なるほど
死別したり離婚したから、新しく奥さんを持つという場合もあると知ったが、当事者である彼女たちは、笑顔でこのことについて話す。

一夫多妻について、妻側の思いはどういったものなのかということについては、語彙力の乏しさであったり、聞いていいことなのかという迷いもあったりして、聞くことができなかった。

でも一つ感じたことは、彼女たちの話す様子を見ていると、別にそれが珍しいことだとは思っていないということだ。

外国に出ると、今までの常識が覆されることが度々あるけど、これほどまでに自分の中での常識が覆されたことは今までになかった。

だから、ヨルダンでの暮らしはとっても面白いと感じている。





よろしければサポートお願いします!サポートいただけると、次の投稿への励みになります。