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アラブで使われるインド数字は、算用数字に置き換わっていく

日本で一般的に使われる算用数字(1、2、3、4…)は、別名アラビア数字と呼ばれるが、アラブ圏には、アラビア語と一緒に使われる独自の数字も存在している。
その独自の数字(٤…、٣、٢、١)は、インド数字と言われている。

アラブ圏で使われる数字が、アラビア数字とはいわずにインド数字というのはとても紛らわしいため、ここではアラブ圏で使われるインド数字のことを、「アラビア語の数字」と表記していく。

このアラビア語の数字は、アラブ世界に住んでいると日常的に見かける。
まずは、お金だ。

ヨルダンで使われている紙幣と硬貨

見ての通り、紙幣や硬貨にはアラビア語の数字が書かれている。
紙幣の裏には、算用数字(1、2、3、4…)でも書かれているので、アラビア語の数字が理解できなくても問題ない。
しかし、硬貨の場合は、裏面には絵柄があって、算用数字では表記されていないため、アラビア語の数字を理解しておかないと、支払いの時に手間取ってしまう。

Uberの支払いの時に、運転手のスマホに表示される金額も、アラビア語の数字で表示されていることがほとんどなので、それが理解できないと、間違って多めの金額を払ってしまいそうになるので、いつも注意深く見ている。

また、個人商店などでは値段の表示がアラビア語の数字であることも多い。
大きなモールやスーパーなどでは算用数字が使われているのに、ヨルダンにあるIKEAでは、アラビア語の数字が使われていた(2年前)のには戸惑った。

アラビア語の数字のややこしいところは、算用数字と形が似ているのに、数が違うものがあるという点である。
例えば(٥.١)と表示されていると、0.1だと勘違いしそうになるが、実際のところは5.1のことである。
アラビア語の数字で、(٥)は、0ではなく、5のことなのだ。

ここで、算用数字とアラビア語の数字を並べてみる。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
٠ ٩ ٨ ٧ ٦ ٥ ٤ ٣ ٢ ١ 

1や9などは、算用数字と形がよく似ているので覚えやすいが、個人的にややこしいのが、先に述べた(٥)以外に、(٦)が7のように見えて、6を表すことである。

他に、アラビア語の数字はコーランでも使用されている。

算用数字は見当たらない

また、アラブ人が一般的に書く数字も、算用数字ではなく、アラビア語の数字で書く人が多い。

これほど、アラブ世界にはアラビア語の数字が溢れているのに、2019/2020年度から、徐々に学校では算用数字を扱いながら学びを進めていくように、カリキュラムが変更されているようだ。

これは、子どもたちが高等教育に進む際、扱う文献が算用数字で表記されているため、早いうちから算用数字に慣れておくことを目的としている。

日本での場合に当てはめると、今まで数学なども含めて全て漢数字で学んできたところから、漢数字を学ぶのは国語の漢字の時間だけとなり、数学は算用数字で学ぶことにした、というところなのか。

確かに、私の活動している幼稚園でもその動きが見られた。
2年前は、幼稚園の子どもたちに対してアラビア語の数字を教える授業があったのに、今年はもうその授業は行われていなかった。

発音はアラビア語だが、先生がホワイトボードに書く数字は、算用数字であった。

子どもたちが使用する教科書を見ても、その傾向を伺うことができた。

KG2の教科書の中身

算用数字を練習するページがあっても、以前は存在していたアラビア語の数字を練習するページが一切見当たらなくなっている。

グローバルスタンダードに移行していく過程を感じることができた事柄であった。

一方で、アラブ独自の文化が徐々に薄れてしまうのは、少しだけ寂しくも感じる。
個人的には、外国人にとっては読みにくくても、アラビア語の数字で埋め尽くされているアラブ世界であってほしいと思う(笑)


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