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元旦は死海で浮きました

年末年始感がないヨルダンだけど、元旦は特別な時間の過ごし方をすることができた。
イタリア人の女の子と、ヨルダン人の男の子に誘ってもらい、死海に行くことに。
私にとって初めての死海だったので、ワクワクしながら当日を迎えた。

朝食(と言っても11時すぎ)は、ヨルダン人の男の子のお家でいただいた。
友だちは7人兄弟の長男。
家に着くと、お母さん、妹、弟たちが温かく迎えてくれた。
11人で囲む食卓はすごく賑やかだった。

床にビニールをひいて食べるのがアラブ流

甘い紅茶と一緒に、薄いピタパンをおかずに巻いたりつけたりして食べる。
おかずの種類がたくさんあるから、ついつい食べ過ぎてしまう。
お腹いっぱいになった頃に、デザートとして私とイタリア人の女の子にクリームたっぷりのケーキを、コーヒーと一緒に出してくれた。

ヨルダンで誰かのお家に行くと、どの家庭でも必ずもてなしてくれる。
その文化に慣れつつある私だけど、彼らのホスピタリティには毎回心が温まるし、私もそのようなもてなし方ができる人間になりたいと思う。

雲行きは怪しかったけど、車に乗って死海へと向かった。
アンマンやマダバは海抜700〜770mのところに位置しているので、そこから海抜マイナス400mの死海に行くには、ひたすら下っていくことになる。
その急勾配具合は耳でも感じられた。

死海周辺は、平らで少し緑の多い印象の街並みが広がっていた。
高級そうなホテルが海岸沿いに点々と立っているのを横目に見ながら、無料で駐車できて、なおかつ現地の男の人があまりいないようなパブリックビーチを目指して、車を海岸に沿って南向きに走らせた。

真冬に死海なんて入れるん…?と思っていた私だったけど、車から出て納得した。
アンマンやマダバよりも全然あったかくて、上着はいらなかった。

私たちが見つけたパブリックビーチは、水着になっても大丈夫なくらい、ひと気がなくて開放感のある、整備されていないビーチだった。
車を降りてからゴツゴツの道を少し歩いて、水辺に向かった。

ゴミの多さが気になった

やっと水辺に着くと、水色、エメラルドグリーン、白が混ざった色の水面が目の前に広がっていて、素直にテンションが上がった。

見た目から伝わる塩分濃度の高さ
塩が固まって結晶になっている

いざ水に入ろうとして裸足になったら、地面の塩の結晶が痛過ぎて一歩も歩けなかった。立っているだけでも辛いくらいの痛さ。
痛みでギャーギャー言っている横で、ヨルダン人の友だちは裸足で普通に歩いていたから本当にすごい(笑)
多分足裏の皮の厚さが違うな、うん。

そんな足裏が丈夫なヨルダン人の友だちのみがサンダルを持ってきてくれていたから、イタリア人の子と交代でそれを履いて水中へ。

水は少し冷たかったけど、一度肩まで浸かってしまえばなんてことない水温。
そして噂通り…身体の力を抜くと、プカーっと浮いた。
それもそのはず、死海の塩分濃度は約30%と、普通の海水の約10倍。
簡単に身体が浮く感覚はすごく不思議で、面白かった。

このポーズをしたいが為に本を持参

塩分濃度が高いからなのか、肌触りはぬるっとしていた。
気がついたらこの状態でいつの間にか流されていたみたいで、立とうとしたら脚が海底につかず、一瞬焦ったことで、本は水没(笑)

そうやって死海を楽しんでいる間、ヨルダン人の友だちはどこからともなく泥の塊を遠いところから見つけて持ってきてくれた。
これを身体にペタペタと塗っていく。

ちょっと画質悪いけど、泥の塊

死海の泥パックはミネラルが豊富で肌に良いらしい。
と言っても私は肌が弱いので、半信半疑で泥を身体に塗っていった。「もうどうなっても良いや」っていうやけくそな気持ちもあったと思う。
程なくして死海に浸かって、その泥を落とした。

化粧水なしではパリパリするほど乾燥肌の私なのに、泥を塗った部分の肌は、何もつけなくても保湿されてモチモチしていて驚いた。
調べてみると、皮膚炎やリウマチの療養で死海を訪れる観光客もいるみたい。
死海の効果、すごい!!

気が付けば陽は傾き、少しずつ薄暗くなっていた。
それと同時にポツポツと雨が降り出し、水着姿で海辺にいるのがとても寒く感じるようになった。この時は、もはや水中の方が温かかった。

近くで自然に湧き出た温泉があるみたいで、身体を温める為にそこに行くことになったけど、水着姿の男の人があまりにもたくさんいたのと、車を停めた場所から少し歩かないといけなかったので、温泉に入ることは諦めた。

その代わり、死海を見渡せる少し高くなった岩の上で、紅茶を飲むことになった。
私とイタリア人の友だちがボーっとしている間に、いつの間にかヨルダン人の友だちは枝を両手いっぱいに抱えて戻ってきた。

周りに木はほとんど見当たらない地形の中で、どこから見つけてきたんだ…って思うくらいの量。
それから彼は風向きを考えながら器用に石と枝を並べ、火を起こした。
彼のサバイバル能力にはひたすら驚かされた。
ベドウィン出身の彼は、子どもの時からお父さんに連れられたりして、何もない砂漠や高原で火の起こし方とか教えてもらったみたい。

死海に反射されてキラキラ光る夕陽を見ながら、お湯が沸くのを待っていた。

その後、やかんにたっぷりの砂糖と茶葉を入れて、あま〜い紅茶を淹れてくれた。
その頃には辺りはだいぶ暗くなっていたから、甘い紅茶がなおさら温かく、美味しく感じた。

やかんが勢いよく燃えている

死海の先に見える山々のシルエットは、パレスチナのヨルダン川西岸地区。
陽が沈んでからは、そのシルエットの上に、街の明かりが点々と灯っているのが確認できた。

ニュースで聞くような地名が、目の先にあることが何だか不思議だった。
そして、実際にその地に立って自分の目で見たら、現実は想像していたものと全然違うんだろうなって思ったりもした。


2022年、自分の目で見て、聞いて、感じる。
そんな体験をたくさんしていく1年にしたいな、と対岸を見ながら思った。

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