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トートタロット人生相談所㉑「3人の魔術師…模話氏編⑬~潜在意識を書き換えるカウンセリング④~」

「今から潜在意識を書き換えるプログラムを行います」

音楽が変わった。たぶんヘミシンクではないかと思うが、おそらく潜在意識に訴えるフォーカスの音楽かもしれない。

「深呼吸をしてください。いまから私がドアをあけて酸素を少しスプレーします。天然のハーブの匂袋も置きますから、気にしないで呼吸に集中してください」

スプレーの音がして先生がそばにいることが分かった。あまり気にもならず、呼吸に集中した。気分は悪くなかった。

「では潜在意識の書き換えるプログラムを始めます」

お決まりのアフォメーションが続いて、先生の言っている言葉を繰り返す。時折質問のような形で先生の言葉に対応する。

なぜ自分が許せないか?などの質問だった。先生の様子が変わり、プログラムが中断した。

「ほぼ一通りのプログラムを終えましたが…どうも、モノベさんのエゴの抵抗が強すぎるようです。あまりこうしたやり方はやらないのですが、徹底的にやってみましょうか?いかがですか?」

そんなことこんな半分居眠りしたような状態で言われても、やるしかないじゃねえか…医者に釘刺さってますけど抜きますか?と言われるに等しい。

「ぜひ…お願いいたします」
「わかりました。ではモノベさん、いまモノベさんのハートチャクラに第2チャクラから樹木が伸びていると想像してください。その樹木には細かい枝葉があってみぞおちのチャクラをおおっています。それがいまあなたに憑依してあなたの思考や感情が乗っ取られています。まずその憑依しているトラウマが何を言っているのかを自分でしゃべってみてください」


いままで何人かのれいのうしゃに同じようなことを言われたことがある。
なぜこの先生がそんなことをわかったのか不明だった。
しかし、いまは言われるようにトラウマが何を言っているのかを自分でも突き止めたいと思ったので、なんとかチャレンジしてみた。


「…もうこんな無駄なことしても、しかたないじゃん。たのしいことしようよ」
「おまえなんか価値ないんだから、こんな無駄なことしてんじゃねえよ」
「死ね死ぬねおまえなんか死ね。みんなおまえなんか嫌いなんだから生きてる価値ないよな。ばあか」
「うんこちんちんうこちんちん」
「ひとりぼっちはつまらない~。ひとりぼっちになればいい~。がはははは。おまえなんかひとりがいいんだよ。ばーか」
「ほんとに頭が悪いほんとに頭が悪い」
「いっつもずるくて逃げてるからみーんなおまえが嫌い、裏切り者めが」
「しいねしねしねしんじまえ~。絶対許されない」
「どうせ何をやってもうまくいかない。この世界のゴミ。くず。宇宙はおまえを消そうとしてる」
「おまえの魂は消滅間近。ばんざ~い。しねしねしね~。がはははは」
「じごくに行くわ。たぶんていじアストラルから1000万年出られない」
「くさくてきたないアストラルからおまえはずっと出られないよ。ばあか」
「たいくつたいくつ。こいついじめてやれ。たのしいなばかをいじめても抵抗もしないでやんの」
「こいつに何を言っても逆らえないからやっつけてやれ。しょんべんかけろ」
「無視してやる。ずっとおまえなんかいないって無視してやる」
「おまえへの恨みは百万年つづく。たたってやる。にくい。おまえなんかだいっきらいだ」

先生の声が聞こえた。

「さあ、いま出てきた声のいる辺りに両手を持っていって、両手から出ている光で包んでください。光に包まれたら強くつかんで、私と同じアフォメーションをしてください。いいですか?はい…私はいまこれらの自分をいままで守ってくれたトラウマを五次元に上げます。ありがとう感謝します。トラウマはもうありません。私の潜在意識はポジティブなものに書き換わりました。ありがとうございます。感謝します…」

言われるようにアフォメーションをした。
すべてを信じられてるわけではなかったが、よい方向に行くことだけをイメージするように心がけた。

「モノベさんお疲れさまでした。しばらく休んでいただいて結構です。診察室にハーブティーを入れておきます。ゆっくり起きていらしてください」「…あ、ありがとうございます」

かなりの運動をしたような爽快感と疲労感があったが、徒労感はなかった。
施術には驚かなかったが、自分のトラウマの声を自分なりに表現して、自分がどれだけ自分に対してネガティブな意識を持っていたかに気づいて面食らった。

それは自分を好きになれるわけはないな…いまさら感心したように、どこかすっきりしながら自分の意識を俯瞰していた。

【続く】
©2023 tomas mowa