【ロック少年・青年小説集】「東京にやってきた」①
東京の5月は最高だった。
予備校生のユキオは勉強も適当に、自転車で自分の中野区のアパートの周辺を走り回ったりして過ごしていた。
東京という街は、いわゆる大都市の中心地以外は「例えば浜松が何個かくっついたようなもの」というだけで、慣れてしまえばなんてことはなかった。
大学生の友人が、時々遊びにきた。
荻窪から自転車で来たと聞いてはじめは驚いたが、
翌週に荻窪に自転車で行ってみると、いなかで二つ向こうの市まで自転車で試合に行くより分かりやすくてたやすく行けることに気づいた。