【少年小説】「ぼうくうごうから」⑧~最終回~
東京から実家に帰ってからしばらくして、ゆきおには〈おまえは死ね〉という声が聞こえるようになっていた。
はっきり聞こえるわけではない。ただそう言われているという自覚が続いた。
それは夕方くらいから強くなり、心拍数が上がり、視界がくらく狭くなる感じがした。
近頃よく聴いている音楽があったが、うとうとしながら聴いていると、うなされることが多かった。
いったいどういうことかわからなかったが、この音楽に、何か原因があるのかもしれないと思い始めていた。
ある夜、髪飾りをした痩せた