アブラザメの夢
アブラザメの夢を見た。
港の近くの道路を歩いていたら、黒くて大きい何かが向こうからやってきた。
真っ黒い肌で、目は明るい青色で、口が大きく開いていて、鋭い歯の隙間から白い涎のようなものを垂らしてた。
サメの形をしていた。
2tトラックぐらいの大きさで、空中2メートルくらいのところを飛んでいた。
車道の上をスーッと飛んで、車と同じように、曲がり角をゆっくり曲がってやってきた。
信号は青だった。
でも多分それは死んでいたと思う。
目が濁っていたから。
何あれ
と隣にいたお洒落な坊主頭のお兄さんに聞いたら
あれな、アブラザメって言うんやで
って教えてくれた。
アブラザメ。
口から垂れてる白いのは、
確かに角煮とかが冷えた時に油が固まった白い部分みたいやなあ
と思った。
私たちの隣をスーッと通り過ぎるアブラザメは、黒い飛行船みたいだった。
でもな、アブラザメって解体したら腹の中に馬の頭が入っててな、めっちゃグロテスクやから、画像検索とかしたらあかんで。
と坊主頭のお兄さんは続けた。
馬?
全くイメージできなくて、スマホを取り出そうとして、やっぱりやめた。
私はそれ以上何も尋ねなかった。
彼と別れて海岸沿いを歩いた。
グロテスクなイメージをしてしまって、どっちみち気分が悪くなった。
空はドロっと曇っていて、海は灰色だった。
目が覚めた。
アブラザメ。小さく口に出してみた。
検索したらあかんと言われたけど、
アブラザメって何なんや、ほんまにいるんか。
気になって枕元のiPhoneを手に取った。
朝の5時16分。
アブラザメ
ドキドキしながら画像検索すると、ちいちょい灰色の何の変哲もないサメの写真が出てきた。
釣り人が船で釣り上げたような写真や、船の上に上げられた写真、刺身のような写真も出てきた。
どうやらアブラザメは食べれるらしい。
それもかなり美味いらしい。
結局どこまでスクロールしても、馬の頭の写真は出てこなかったし、黒いサメは出てこなかったし、空は飛ばないようだった。
あれは何やったんや。
頭の中に住む架空の生き物だったのだろうか。
あの坊主頭の彼は誰だっただろう、ずっと知っている声なのに、悲しいぐらい思い出せない。
彼も架空の生き物か。
でも
アブラザメの目は少しだけ青いらしい。
おわり
ーーーーーーーーーーーーーー
前に見た夢の話を書きました。
目が覚めたあと色々サメの写真を見ていたのですが、
メガマウスとラブカという奴らを、足して2で割った感じが、何となく近かったような。
他人の夢の話は興味を持てないけれど
自分が見た夢のことは、話したくなってしまいます。
矛盾。
渡部有希
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?