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月刊文芸誌「渦々」について

この度、友人の中村と、
月刊の文芸誌「渦々」
を刊行する運びとなりました。

月刊文芸誌というと
大仰なもののようですが、
月1で発表する文芸の小冊子です。


私たちのことを知ってくれている人からしたら、
「お、」と思う2人組かもしれません。

簡潔に言うと、
無条件に信頼している友人です。
気づけば長い付き合いになります。

中村とは高校生の時に
一緒にバンドをやっていました。

彼の感性や才能のおかげで、
当時の自分では到底見ることのできなかった
素晴らしい景色を沢山見せてもらいました。
大きな舞台まで上げてもらった事もあった。
自分の中にない感覚を歌わせてもらった事もあった。
多くの人と知り合うきっかけもくれた。

多分その時に初めて
「つくる」と言う行為の味を知ったのだと思う。

それから私は「つくる」の渦の中で生きたい
と思うようになりました。

だから中村にはとても恩があります。

しかし、私ら以外のメンバーが、
非常にどうしようもない人たちで、
気がついたら有耶無耶に消滅してしまいました。
いや、全てがそいつらのせいだ、とはいえないかも。
今そいつらが生きているのかすら
私たちは知らない。

10代の全てを捧げたにも関わらず、
あまりに無惨だったな、と
今でもたまに夢に見たりします。

大学在学中、もう一回音楽しよか、
と言う話も出ましたが、
中村の今やっている「ユレニワ」と言うバンドは
心底格好良く、私とつくれるものは
それ以上ないような気がしました。
その話は進展することはありませんでした。

それでも私たちは友人でした。
忘れた頃に会って色々話をしました。
お互いの恋愛観に毒づいたり、
感動した文章の話をしたり、
太宰の通っていたバーに挑んだり。
(緊張で銀座の路地で崩れ落ちた良い思い出)


今年の夏の初めに会った時、
神保町の錦華公園で、
ミニストップの安コーヒー(美味しい)を飲みつつ、
なんか書くか、と言う話に突然なりました。

私たちが出すのだから、それは絶対に紙媒体だ、
それから私たちは金持ちではないので
「売る」必要があるな、と決まりました。
私も本気だったけれど、彼も本気だと思いました。

表紙は、中村の友人である
美こちゃんにお願いしました。

彼女のことは以前中村に紹介してもらい、
私も大好きな人ですので、
もちろん私の友人でもあります。
(実は前に彼女との鮮烈な出会いも書いた。)

彼女と何かつくれたらと思っていたので、
引き受けてくれて本当に嬉しかった。

美こちゃん、ありがとうね。

油絵というものを甘んじていた私たちは、
のちに彼女の色の深さに圧倒されるわけですが、
完成までの美しい経過が、
自分の書いているものに反映された気がします。

そういう意味で、
「渦々」は3人で作ったものです。



内容は短編を1編ずつ。
それから、毎号共通の言葉をテーマにして
エッセイを1編ずつ。
当分はそんな感じで進んでいく見込みです。

今回の短編は互いに編集者をしました。
似たような読書遍歴を持っているのに、
こんなにも違うものを書くのか、
と向かい合って初稿を読みながら笑えた。
そういえば正反対の性格だったなあと。

そこのバランスの悪さも楽しんでもらえたら。

私たちが「締め切り」を守るはずもなく、
しかしなんとか完成にこぎつけました。

ちょっとホッとしてる。

中村も渦々について色々書いてたので、
ぜひそっちも読んでみてください。

モノ自体は、私たち個人からも買えますが、
webではBASEから購入できます。
特典で可愛い栞がつきます。
美こちゃんの絵を入れてデザインしました。

冊子は、栞を挟むほどのページ数ではないですが、
白いシンプルなやつなので
適当に何かに挟むのに役立つはずです。

購入場所はこちらです。


このnoteでも、
文学は素晴らしいものだと再三書いてきました。

でも。
文学を一番信用してないのは自分かもしれない
と今回の短編を書きながら思い知りました。
とてもとても悔しかった。

私はこの「渦々」で文章を書くことを通じて、
文学を、特に純文学を、
本気で信用しようと思っています。
その過程を一人でも多くの人に
読んでもらえることを願っています。

そんなわけでこんなにも長々と宣伝しています。
読んでくれてありがとう。

今回は、今の自分の全てを書いてみました。
かなり前に書き始めた作品ですが
なんの因果か、
今の私がとても大切に思っている人が
モチーフになってます。

これは秘密です。

「渦々」何卒、よろしくお願いします。

ダメ押しの宣伝よ。


渡部有希

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