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『イニシエーション・ラブ』的な(殺戮にいたる病/我孫子武丸)

人から薦められた本は相手が誰であれ必ず読むようにしていて、これも複数人から薦められたことのある作品だった。
物語は、死姦を目的とした連続殺人犯の男(大学生)、それを追いかける元刑事のおじさん(60代)&三人目の被害者の妹(20代)、そして犯人の母親の目線で綴られながら進行していく。

まず、連続殺人の描写がかなりエログロなので、読むに耐えない人(特に女性)も多いんじゃないかと思う。あと、被害者女性(アラサー?看護師)が元刑事の60代おじさんを恋愛的な意味で好いていた→犯人探しに協力する被害者の妹までも、このおじさんに惚れて「抱いてください」というくだりなどがあり、女性目線では「A Vの観すぎではないか」とツッコミを入れざるを得ない。最後に犯人。何度も本名を名乗るなど、全体的にツメが甘すぎる。

等々、ちょっとしんどいなと思いながら無理やり読み進めたが、最後の最後の数行でドンデン返しが待っていた。『イニシエーション・ラブ』と同じ、ほんの数行で物語がぐるっと入れ替わる構成だ。
『イニシエーション・ラブ』が主人公の女性だけを利用したトリックだとしたら、これは「犯人も犯人の母親も、元刑事の相談相手のあいつも思ってたんと違ったー!!」という、ほとんどの登場人物と構成がひっくり返るトリックだった。

最後まで読んで「なるほど、面白かった」と言えたものの、あまりにも性描写がキモいので、特に女性にはおすすめしない。サスペンス系が好きなら是非。

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