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神は細部に宿る(なるほどデザイン/筒井美希)

アートディレクター/デザイナーである著者が作った「目で見て楽しむデザインの本」。
私が編集者というデザイナーに仕事を発注する立場になって久しいが、「デザイナーの頭の中ってこうなってたのか!」という驚きと発見に満ちた一冊だった。

優秀なデザイナーが、簡単なラフと口頭での短い補足説明だけでこちらの意図を汲み取り、期待を超えるデザインを作ってくれるのは、生まれつき備わったセンス+経験値によるものだと思っていた。もちろんそれも大きな理由ではあるのだろうけど、感覚がモノをいう(と思われがちな)デザインの世界で、彼らがどれほど論理的に思考しているかがよく分かった。

中でも面白かったのは、二つの似たようなレイアウトのデザインを並べた「デザインまちがい探し」のページ。beforeの誌面に「自分ならここに赤字を入れるかな」と考えながらafterを見ると、想像を遥かに超える量の変更箇所があって驚いた。私がいつも見ていたのは完成形であって、そこに至るまでにこのような細かい細かい階段があったとは。。

神は細部に宿る、を体現する著者のようなデザイナーがいる一方で、一目見ればやっつけだと分かるようなデザインをあげてくる人もいる。(とにかくクオリティより早さを!という状況が発生した時、彼らは彼らで重宝する)
こだわり始めるとキリがないデザインの世界で、一つの正解をビジュアルでわかりやすく提示した教科書のような本だと思った。デザイナーのみならず、編集者にも一読をすすめたい。

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