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自然の力を生かし、幸せの価値観を創る。本物の鶏と日本酒のハーモニー

誰も知らない魅力的な場所が、福島にはある。フードカートと行く「Food Camp!ツアー」の2020年11月22日は、「自然農法」の飼料と平飼いで鶏が生き生き幸せに育つ「けるぷ農場」のフレンチツアーでした。

坂上田村麻呂にちなんで名づけられた旧田村町。その郡山市田村町の里山に、無農薬・無施肥栽培の「自然栽培」で野菜を育て、それを飼料にし、平飼いで鶏を育てる佐藤喜一さんの「けるぷ農場」があります。

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まずは、鶏さんの目の前に広がる畑について、佐藤さんが説明します。「にわとりのえさは、大麦、ひえ、米などだけ。あとは草や土も食べます。この大麦は、根がしっかり伸びて、土づくりにいい作物なので、作っています」。

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大地で放し飼いしている「平飼い」の鶏さんたちを見学。
一人で近づくと鶏から寄ってくるようですが、大人数の前では恥ずかしそうにしています……遠目からの見学。

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それでも、佐藤さんが説明しているからか、
「なにごと~?」と興味津々の鶏さんたち。

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鶏は、秋以降はほぼ卵を産みません。卵を産む数は、せいぜい1羽につき年間40個。産むときは、ハウスの中の「安心できる場所」に移動していくそうです。
通常の鶏は、約40日から約3-4カ月後には鶏肉になります。しかし「今日食べる鶏は、9-10カ月の鶏」といいます。かごの中ではなく、大地の上でじっくり幸せに生きてきた鶏をいただくことになります。

二手に分かれたもう1グループを説明するのは、同じ郡山市田村町にある、300年続く酒蔵「仁井田本家」18代蔵元・杜氏の仁井田穏彦さん。右隣が、女将の真樹さん。

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仁井田本家には、蔵のある田村町を「真に豊かな田舎」にし、「自給自足の町&蔵になる」という夢があります。その一環で、「無肥料自然栽培」の米を使い、日本酒とともに、発酵食品にも最近力を入れています。自然米の糀と水だけで作った(カカオは入っていませんが)「こうじチョコ」などをご紹介。

乾杯用のスパークリング酒が冷えています。今回は蔵元が、お料理にあわせて仁井田本家の日本酒をご用意くださいました。

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乾杯!

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シェフは、欧風バル「プチ・グリーン」(郡山市)の鈴木文康さん。海外の星付きフレンチレストランでの経験を持ち、素材を活かしたフレンチスタイルが持ち味。実は、佐藤さんとは1歳違いで小中学校が同じ。けるぷ農場の鶏を高く評価し、お店でも使ってきました。
また「日本酒とフレンチはとってもあう」といい、今回は、鶏と日本酒とフランス料理が調和する特別メニューを提供します。

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「田村の自然鶏のパテ・大根のピクルス添え 仁井田本家の塩麹と野良坊油のマヨネーズと共に」
さきほどの「穏スパークリング」とペアリングで召し上がっていただきました。「野良坊油」は、農場の「のらぼう菜」から搾った菜種油。お土産で買うこともできます。

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「鶏胸肉とネギのムース野良坊菜と小豆のピューレ添え 旬味のソースにて」
今回の基本食材は、けるぷ農場の鶏と野菜のみ。このメニューでは、鶏肉に加えて、鶏の卵白とのらぼう菜が味わえます。
ここでは仁井田本家「おだやか純米吟醸 雄町」をペアリング。被災した浜通り・南相馬市小高区の生産者支援のため採用している、有機栽培米「雄町」が原料米のお酒です。

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「農場野菜と鶏肉のポトフ」
水は仁井田本家の仕込み水。日本酒も隠し味で入っています。
ここでは「田村」の燗をあわせました。社員が作る、自社の田んぼの米だけで醸したお酒です。
田村地区の鶏と酒、さらに煮込んだ水も田村の仕込み水という、「田村テロワージュ」というべき作品です(テロワージュは、テロワールとマリアージュの造語)。

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「大麦のリゾット・鶏手羽のコンフィ添え」
けるぷ鶏のブイヨンと手羽が、ねぎと絶妙にマッチ。さらにここでは、女性に人気の「かをるやま」をペアリング。赤ワインのオーク樽で熟成をかけた、まさにワインのような限定酒で、リゾットとあいます。

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「デザート盛り合わせ ルチェ・フラン ごまのタルト ノア・ド・ココ」

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ツアーは、料理だけではありません!
佐藤さんのもう一つの「顔」。それは、パーカッション奏者!!
女将の真樹さん。実は、元ジャズピアニスト!!!
写真では伝わらない「農場ミニライブ」の感動。
今後のツアーでも、また味わえるかも!?

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その後、場所を仁井田本家に移し、蔵を見学。
蔵では「木桶プロジェクト」として、大きな木桶作りが進んでいます。

「米」と「水」に加えて、酒をつくる大きな容器「木桶」も自給しようというプロジェクト。仁井田さんは「酒蔵で、祖父の代は林業も営んでいた。杉や松を植えて、木桶を自分たちでつくりたい」といいます。
桶を作る職人は、日本ではわずか。途絶える寸前といい、関西に社員が弟子入りして、技術継承にも努めているといいます。また酒蔵だけでなく、醤油屋や味噌屋といった発酵食品の関係者を巻き込み、震災10年を節目に、次世代やその先の世代の社会や生き方を見すえた、注目の取り組みです。

「自然栽培」の幸せの「輪」が、田村の農場と酒蔵から、この地域へと広がっていく未来を期待したいと思います。

ありがとうございました!

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「けるぷ農場」と「仁井田本家」と「プチ・グリーン」のサイト:


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