相続税の試算、したことありますか?
「マンション節税 防止へ」
先日の日経新聞の1面の見出しです。
メディアなどは、
どうしてもインパクトや目をひくことを
意識しながら記事を書くと思われるので、
致し方ないとは思います。
ただ、不安を煽るかのような書き方だけは、
できれば避けて頂きたいな、というのが、
1読者としての願いです。
インパクトのあるタイトルはいらないから、
必要な事実を、ありのまま伝えて頂ければ、
それで充分です。
などと私は考えていますが、
あなたはどう思いますか?
さて、冒頭の「マンション節税」ですが、
相続税に関しての評価の計算方法を
改訂しようという国税庁の動きが
あることが背景です。
株式相場とは異なり、
不動産は個別性が強いです。
仮に同じマンションだとしても、
階数や部屋、売りたい事情などが
異なれば、価格にも差が出てくるのが、
不動産の個別性であり面白さでもあると
私は考えています。
ただ、税金的な観点からは、
個別性という恣意性を持たせてしまう
ことは公平性に欠けるという視点から
でしょうか。
建物に関しては、固定資産税評価額。
土地に関しては、
路線価と土地の持ち分で計算した価格。
これが、相続税の評価額になることで、
実際の売買価格と相続税の評価額に
乖離が生じている。
この乖離の差を小さくし、
過度な相続税の節税を防ごう、
というのが今検討中の内容です。
と、ここまでは、
今回の概要的な部分を、
かいつまみながらお伝えしました。
ただ、私がここでお伝えしたいことは、
「今回の見直しで、
計算ルールが変わることで、
影響が及ぶのは、ごく一部ではないか」
ということ。
つまり、インパクトのある見出しで
注目は集めていますが、
実際に影響を受けるのは、
いわゆるタワーマンションの
高層階を、投資、節税目的で
購入しているような方に、
ある程度は絞られてくるのではないか、
ということです。
これを機会に、参考として、
私自身が持っている賃貸物件の
1部屋を試算してみました。
横浜駅から徒歩8分。
11階建ての9階。
築37年の23平方メートルの
賃貸中の部屋です。
固定資産税評価額は約210万円。
土地の評価額は、
土地の持ち分が、約5平方メートル。
路線価が53万円なので、
53万×5=約265万円。
合計すると、475万円でした。
建物割合が約45%。
土地割合が約55%です。
実勢価格がいくらになるのか、
というのが、正確には
不動産鑑定士さんなどに
依頼する必要があるのかも
しれませんが、
購入したのが7年前くらいなので、
その時の購入価格より
少し高く見て1,000万円と
仮定します。
すると、
1,000万円÷475万円=2.10
となり、今回の計算方法の
見直しに該当してしまいました。
この場合、実勢価格の約60%で
計算されることとなるので、
相続税評価額は約600万円。
当初の475万円より、
約130万円増えてしまいました。
とは言え、この600万円に対して
相続税が計算される訳ではなく、
借家権や借地権という割合が
差し引かれることとなります。
すると、
建物は
600万円×45%×(1-30%)
=189万円
土地は
600万円×55%×(1-70%×30%)
=260万円
合計で約449万円。
今までの計算方法だと、
約360万円だったので、
約90万円くらい、
相続税の計算上の評価額は
増えることが分かりました。
実際には、
複数部屋所有していますから、
合計した時にどうなるかまで
まだ試算はできていませんが、
相続税の基礎控除を勘案したり、
他の金融資産や借入の残高などを
加味しても、実勢価格との乖離が
大きい部屋を持っているような方と
比べれば、影響は最小限に
抑えられるな、と感じました。
不安や怖さ、恐れは、
理由や内容が分からないことが
原因で生じることがほとんどです。
なので、
もし今回のような記事や内容が出て、
「私は影響ないかな・・・
大丈夫かな・・・」
と、感じるようなことがあれば、
試算してみることで、
気持ちや心構えにもつながり、
不安な想いを安心に変えることにも
つながります。
今月の初めには、
2023年の路線価も公表されました。
場所にもよりますが、
上昇傾向だとも言われています。
今すぐ、相続は関係ない、
相続税は影響ない、とあなたも
思われているかもしれませんが、
こういうタイミングで、
自分が保有されている物件を見て、
評価額の試算、不動産に限らず、
金融資産もどのくらいあるのか
などの確認などをしてみること、
おススメしたいと私は考えています。
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