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【「サービスの質」幻想】ケアマネジャーの更新研修は誰のために行うのか

今回はこの記事を見ていきます。

【記事の概要】

・淑徳大学総合福祉学部 結城康博教授は「厚生労働省の検討会(ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会)で、ケアマネジャーの法定研修のあり方」に対して『更新制廃止論』を提唱している。


・その内容とは

更新制度はケアマネージャーになるための障壁であり、ケアの質を確保するために必要ではない

②ケアマネージャーの不足問題の解決策として、ケアマネージャー養成プログラムの数を増やし、ケアマネージャーに金銭的インセンティブを提供する

といったものであり、現実味を帯びつつある介護崩壊に備え、ケアマネジャー不足の解消は「待ったなし」であると警鐘を鳴らす。

【結城康博】私は孤立しているが… ケアマネの更新制は廃止すべき! “ケアマネ難民”の急増を防げ

【「サービスの質」幻想から抜け出そう】



最初に押さえておきたいのは、『介護』という分野は他の分野(医療、看護など)からその専門性を下されたものを「総合」した『総合分野』である、という事です。

その総合性において介護分野の優位性が発揮されることとなり、「介護独自の専門性はない」と言えます。



介護は「どれだけ他分野からの知識・技術を介護に適応させるか」が重要であり、幅広い分野をまたぐ人材こそ介護職を全うでき得るでしょう😳


それだけに「介護サービスの質」は本来人材によってまばらであり、それぞれの得意分野で利用者個別の対応をするのが望ましいのですが、現実問題として難しいです😓

そうなるとサービスの質の均一化を図る為、「介助サービスの質」をまとめるべく近年『科学的介護』が導入された訳ですね😮



科学的介護が行き着く先は


いずれ『介助』を人から介護ロボット等テクノロジーにバトンタッチさせる


道筋であり、介助サービスに特化した人材はやがてテクノロジーに淘汰される運命にあります😔


つまり介助サービスは既に科学で再現可能な領域に差し掛かっており。


その質はゆくゆく介護ロボット等テクノロジーが担保するのであって、『サービスの質』を向上させることに躍起になっても、その成果を介護ロボット等テクノロジーに明け渡すといった流れになるでしょう😨



こうした流れを見れば、


「(いずれ介護ロボット等テクノロジーに代替されるであろう)サービスの質


にこだわりすぎて


サービス提供量を滞らせるような『更新研修』


は本当に必要なのか、といった提唱がなされるのもごく自然な話なのです😧

【研修自体は必要だが、差分アップデートで十分では?】



加えて、ケアマネジャーの更新研修は5年に一度。

その間に介護報酬を始め、制度や介護ニーズが変わっていくことが予想されることから研修自体は必要になります。


その研修も初回更新では88時間(3日と16時間)、二回目以降は32時間(1日と8時間)を丸々研修に費やさなくてはなりません😔

これが主任ケアマネジャーともなれば、初回更新研修から5年後に主任研修で70時間(2日と22時間)、主任更新研修で46時間(1日と22時間)もの間研修をしなくてはならない訳です。



これだけの負担を現役のケアマネジャーに課せば、5年に一度のこととは言え、やはり業務にも影響が及びます😨


研修は全体88時間に対してオンデマンド研修が25時間(1日と1時間)、集合研修が63時間(2日と15時間)という内訳。

集合研修を1日8時間で換算しても、およそ8日間(63÷8=7.875)は現場から離れて研修所に赴く必要があります。


ケアマネジャーの人数分、更新年が訪れる度にこれだけ時間拘束をすれば、現場業務が立ち回らなくなって「ケアマネ難民」が生まれるのも自然の流れと言えます😰



こうした背景からも、更新研修のためにサービス提供量を減らしてまでサービスの質を高めようとすることには疑問が残ります。


やはり研修自体をブラッシュアップして「短時間で必要な研修を終わらせる工夫」が必要でしょう。

また感染症対策でマスク着用を必須にしてまでケアマネジャーを一箇所に集めるくらいなら、感染予防の観点からも全てオンラインで終わらせられるよう研修全体を見直す時期にあると言えます👨🏻‍🏫


少なくとも座学に関しては「五年間に改まった差分」のアップデートで十分でしょうし、グループワークもケアマネジャーの得意分野は免除し、苦手部分を克服するよう選択式にした方が良いでしょう。


「更新ありき」の研修ではなく、「資質向上ありき」の研修へ変えていくことでムダを削ぎ落とし、洗練された研修が効率よく行われるようになるでしょう😊

【まとめ】「人が好き」という気持ちを軽んじない



今回はケアマネジャーの法定研修の更新に関して見ていきました。

研修自体は必要ですが、研修のあり方は見直すべきでしょうし、後手になるほどケアマネジャーの人材不足は深刻化していくでしょう😢



幾度かお話しさせていただいているように、介護のあらゆる問題は

人がどれだけ人を愛せるか

が社会に、あるいは一人ひとりに問われたことによって生まれます。



ケアマネジャーもまた「利用者に対してどれだけのことを『したい』か」によって


・ケアマネジャーを続ける動機
・資質向上への意欲
・後進の育成


にも熱が入り、人を中心にした介護サービスの好循環を生み出す『始点』となります。

[他職種への引け目が生み出す「サービスの質」幻想から抜け出す]



このまま「サービスの質」にこだわり過ぎて「サービスの量」を減らしていけば、平均年齢50代のケアマネ現役世代も定年退職を迎え、後継者不足から介護保険制度そのものが成り立たなくなる事態まであり得ます😱


そも、介護サービスの「質」とは本来サービスを受ける側、すなわち利用者が定めるもの。


サービス提供側がサービスの質を決めること自体が矛盾しているのは


「質の低いサービスを質の高いサービスと偽ることができる」


ことからも明らかですね😓



介護サービスの『客観的評価』は既に一定水準を満たしており、『主観的評価』の充足に向けてサービス拡大を行う時期にある中で、今なお客観的評価を深めようとするのは介護分野全体の「引け目」が垣間見れます😶


先にお話ししたように、介護分野にあるのは専門性ではなく総合性です。

医療、看護などの専門分野に対する引け目のようなものが介護分野全体に「必要のない『専門性』への幻想」を抱かせているように感じます😔


そして、その引け目から抜け出す為には「本気で『生命』と向き合う姿勢」が必要なのだと。

[「人が好き」という気持ちが介護分野を支えている]



こうして見ていくと、結局は「人が好き」という気持ちこそ介護分野を支えている根幹であり。


その気持ちが人への『愛情』となって、本来の「サービスの質」を生み出し。


その『愛情』こそ、権利擁護に努める『介護』を実践する動機になり得るのです😊



ですから、「好き」という気持ち、『ヒトの精神性』を軽んじてしまうと介護は介助に終始してしまい、利用者を見ずに「日常生活上必要とされる動作」ばかりを見る


『コト〉ヒトの社会』


を推し進めることになり、利用者と向き合わない『情のネグレクト』が起きることが予想されます😭



ですから、「ヒトと向き合う研修」を深めること。

研修がケアマネジャーを労わり、育てる仕組みであること。


介護保険制度の「はじまり」となるケアマネジャーが健全に機能するところから、介護サービスの質向上が広まる。


そう、考えます☺️



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