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構造の本質(呪い、或いは術式について)

私は構造愛好家と名乗っていますが、残念ながら他で見かけた事はありません。世の中にはきっと多数の構造愛好家の方が居ると思うのですが酒場でも会ったことは有りません。Googleで検索しても見つかりません。構造愛好家とは異なる肩書きなのでしょう。
ダークウェブに潜んでいるのかもしれません。

今日は私が大切にしている「構造」について、これまで研究してきた事を紹介したいと思います。構造は至る所に存在しますが、気付かれにくい傾向があります。
しかし構造はとても強い力を持っています。
構造を構築する際はよく考えて、できれば第三者にチェックしてもらうことをお勧めします。

1 構造とは何か?

構造(こうぞう、英:structure)とは、ひとつのものを作りあげている部分部分の
組み合わせかた[1]。ひとつの全体を構成する諸要素同士の、対立・矛盾・依存などの
関係の総称[2]。複雑なものごとの 部分部分や要素要素の 配置や関係[3]。
- wikipedia -

構造について、wikipediaにはこう書いてありました。さすが簡潔に書いてあると思いました。私は特にこの部分が大事だと思います。

1. 部分部分の組み合わせかた
2. 要素同士の、対立・矛盾・依存などの関係の総称

つまり、構造とは具体的な手法、また抽象的な関係の総称(名前)の両方を指しています。
ただし、これは2種類の定義がありますよと言ってるだけではありません。

3. 複雑なものごとの部分部分や要素要素の配置や関係

3つ目の定義では、1.と2.を組み合わせたものもまた「構造」だと言っています。そう、構造とはメタ概念(そんな言葉は無いかも、、)であり、シンプルな言葉で定義できない(定義すると違う意味になってしまう)不思議な存在だと言えます。私が「構造」に強く惹かれている理由もそこにあります。

アプローチを重ねて、ようやく理解できたと思ったらまた違う面を発見してわからなくなってしまう。そんな魔性性があります。

さらに「構造」は単なる概念でもありません。構造により要素同士の関係を決めることは「力」を生み出します

この写真で何を伝えたいか、それは後ほど話します。

2 構造が生み出す力

要素同士の関係を決めることがなぜ力を生み出すのか、例を通じて話したいと思います。

まず、要素というのは簡単に言うと役割です。
つまり要素の関係を決めることは、役割分担を決めることです。
例えば鳥居(写真は豊受神社(元伊勢神宮下宮))を例に取ってみます

Makina67 film:0016

鳥居は神社(神様が居る場所、訪れる場所)への門に相当します。門といってもその横に壁があるわけでもなく、天井があるわけでもありません。鳥居をくぐらなくても境内に入ることができますので、機能的に門としての役割を果たしているわけではありません。あくまで鳥居は神聖な場所と、俗世との境界の象徴として存在します。

神聖な場所と俗世二つの要素を鳥居が繋げているという構造です。

神社にどのような力が有るのか、あるいは無いのかについては語りません。
例え象徴的な存在であっても
「構造が人々に意識的、無意識的に影響をもたらす」

私はそれが構造が生み出す力であり、構造の魅力だと伝えたいと思っています。

以下、例を追いながらフィールドワークぽく整理してみたいと思います。

3 構造の種類

3.1 領域分割の構造

元々は目に見えない概念の世界を分けることで、役割を強いる構造。

Makina67 film:0016

Makina67 film:0017

Makina67 film:0018

Makina67 film:0019

Makina67 film:0020

自分が撮影したフィルム写真で鳥居を撮っていることが多いことに気づきました。デジタルと違ってフィルムの場合、簡単にシャッターは押さないのですが、意識せずに撮ってるのだと思います。

鳥居の写真を並べて見てみると、鳥居は本来装飾性を持たず、実際に機能していたモノが洗練され機能美となり、後に装飾性を持ち出したのではないかと考えてしまいます。

つまり私には鳥居は実際に領域を分けるという機能を持っていた様に思えるのです。
私はその痕跡を探そうと無意識にシャッターを切ってしまうのかも知れません。

3.2 役割分割の構造

役割を分ける、分担する構造。
ニュアンスを伝えるのが難しいのですが、私にとって役割分割の構造を想像するのは楽しい活動です。お店に入った時に頭の中でお店のダメ出し(商品の配置、接客、ディスプレイなどなど)をして楽しむ人がいますが、それに近い感覚です。

この構造は、達成したいものごとを分解し、誰がコトを実施するか決める事で成立します。

例えばスターバックスで考えてみます(働いたことはないですが好きなので笑)

- 接客(列の案内、商品の説明)
- 店内の清掃
- コーヒーやフードを準備する
- 休憩を取る

シンプルに考えるとこれくらいだと思うのですが、コーヒーを飲みながら見ているとパートナー(スタバの店員さん)の方々はこれらの役割を臨機応変に切り替えて行動されているなと感心することが多いです。
特に感心するのは接客です。
どの役割の作業をしているときにでも、パッと気持ちを切り替えて接客するというのは中々できないと思います。

10年近く昔に某カフェでとっさの計らいで作ってもらった誕生日祝い。

またこれは知らないだけかもしれませんが、バックヤードで休憩されているパートナーさんでも、お店が混雑していたらさっとヘルプに来てくれる様に思います。
休憩時間と働く時間をきっちり決めているとこういった対応も難しいはずで、どうやっているのかなと気になります。

こういった役割の分割と分担が上手く機能すると、活気が生まれお客さんも快適に過ごせるのではないでしょうか?

私はそれもまた役割分割の構造が生み出す基本的な力だと考えています。

ただし役割の分割と、役割の割り当てには順序があります。先に役割を(人に)割り当てると、役割(コト)が不要でも全うしようとしてしまうからです。

誤った方法で役割を分割すると逆に負の力が働くことがあるので注意が必要です。

蛇足ですが、私は美容室で働く人や、スタバに限らずキッチンで働く人を眺めるのが好きです。ひとりひとりの役割がきちんと決まっていて、同じ目的に向けて機能的に動いている、そんなお店は見ているだけでとても気分が良くなるからです。

3.2 道具としての構造

キッチン道具、大工道具など一つの用途に特化した構造。

使いやすさであったり、性能、耐久性などを考慮することで構造は磨かれてシンプルになります。

シンプルで考え抜かれた道具もまた、見ているだけで楽しくなります。

せっかくなので、通常見かけなさそうなものを紹介します

すぐに分かった人はあまりいないのでは無いかと思います。
これはグローブ、手袋のホルダーです。
バイクを運転するときはグローブは必須ですがバイクで使うグローブは結構嵩張るんですよね。バイク降りたときや、ちょっと停まってスマホを見たりといったときに重宝します。

買ってよかったもので紹介しようかと思いましたがニッチ過ぎるのでやめました。

これは家の中ですが、こんな感じでバイクのハンドルやズボンのベルトにぶら下げて使います。


4 構造と呪い

マンガ、アニメで人気の呪術廻戦とは関係有りません。読者、視聴者で無い方を想定して話しますが、呪術廻戦を見てから再度話を聞いてもらえると違う見え方をするのかもしれません。

4.1 無意識の設計

役割分担で話しましたが、先に役割と分担を決めてしまうと負の方向に力が働くことがあります。

これを失敗と言わないのには理由があります。
言い方を変えると、良くも悪くも構造は人に力を及ぼすということです。

誤った構造を設計してしまったと気づいて修正できればいいですが、構造は目に見えにくい、気づきにくいものです。

場合によっては意図的に、負の力が働くように構造を設計していることもありえます。最たるものは戦争だと思います。

戦争は色々な構造が入れ子になっていて、大義名分でラップされてしまうので構造の本質がとても見えにくい。その割に人に作用する負の力が異常に強く出ると思っています。

私は構造愛好家ですが、色々な構造を考えたり発見することは単純に楽しいと思えます。
しかしこの負の力が働くような構造を見つけると辟易します。

道具のような単純な構造であれば、構造の目的が明確なのでわかりやすいのですが、人の行動に力を及ぼすような構造には注意が必要だと思います。

私はここで、このような構造の構築(設計)を無意識の設計と仮に呼ぶことにします。人の無意識に働きかける構造の設計という意味です。

戦争という言葉を使ってしまったので、緊張感を増してしまいましたが無意識の設計は至る所にあります。そんなに恐ろしいものは少ないと思います。
少し例を紹介します

何かというと、視覚障がい者用信号機です。
日中ピヨピヨ・カッコーと音の出る信号機があります。

これは実は法則があります。カッコーは交通量の多い道路(東西)、ピヨピヨは交通量の少ない道路(南北)で鳴るようになっています。説明が無くても利用者は使っていると無意識にどちらの信号が青になったかわかるようになります。
(ただし夜間は音は止まりますが、押しボタンを押すと鳴る信号機もあるそうです)

この信号は名古屋の会社が開発されたそうで今は全国に採用が広がっています。

意図してカッコーとピヨピヨを逆に設置する事はあり得ませんが、仮に誤って設置した場合大事故に繋がるかもしれません。

無意識の設計とはそういう意味です。

4.2 構造の構造

ここで私がなぜ構造を大事に考えているか、ハマっているのかを話したいと思います。

まず、構造の本質は簡単に見えません。
常に何かの影に隠れています。

例えば先ほどの役割分割。組織の構造というのは役割分割の分かりやすい例ではあります。また組織の構成を図で表したものとして、組織図があります。

しかし、どういう意図で組織を分割したのか?
またどういう力を及ぼそう(産み出そう)としているのかあまり意識する人は少ないかもしれません。

逆にいうと、見抜く力がある人は組織図を見ただけでその会社・組織がどんな戦略で活動しようとしているのか読み解いてしまうと思います。

また意外に思う人も多いかもしれませんが、会社の組織図というのは秘密情報として扱われていることが多いです。部署の名前を数字で表して、名前だけでは内容がわからないようにする事もあります。

先程の写真です。これはどこかの商業ビルのポストです。

ただポストを眺めているだけで、フロア毎にどんなお店が入っているビルなのか。お店間の繋がりはありそうか?
ありふれたポストでも意識すると色々気になってきます。

ビルのオーナーは店子をどのように抱えて、どういった良さを産み出そうとしているのだろう?

オーナーは必ず考えているはずです。考えた結果うまくいかなかったり、最初の構造は消えてしまったりしているかもしれませんが、何か残滓が見つからないでしょうか?

4.3 構造と呪い

さて、術式について話しておこうと思います。
人の無意識を左右させる構造は見えにくいと言いました。また消えている事も有ります。
しかし、厄介なのはそのどちらでもなく構造を隠している場合です。

人の無意識をコントロールする構造を隠すということは、大変危険なコトだと思います。
敢えて見せるのは野暮だとか、意識しないのがスマートだとか語る人達もいます。

私はこう考えています。

意図的に構造を隠して、人の無意識をコントロールする = 呪い

呪いは本人に気づかれないところで発生しますし、目の当たりにしても気づかない事もあります。

何故か?お札や藁人形であれば人は本能で危険を察知して対応すると思います。たとえば無料だったり、安価に配られるモノであればどうでしょう?
あるいは食事であれば?

ここまで書くと、既に思い当たる事がある人も多いのではないかと思います。

一昔前はいわゆる大量消費社会でした。大量消費社会では、労働賃金の安い国で作られた製品を大量に使い捨てすることで経済を循環させる構造が多く用いられました。

消費者も新しく・安く購入する事だけを意識していました。

現代はどうでしょう?
資源の有効活用、環境問題について消費者が意識するようになり、大量消費社会の構造は目立たなくなりました。

代わりにフリー・サブスクの時代が到来しました。

誤解を恐れずに言うと、フリーで多く使われた構造は、安く・或いは無料で物を提供し、物を使い続けるための消耗品で儲ける構造です(剃刀と刃、プリンターとトナーの構造です)。

皆が大好きなサブスク(決してサブスクに悪意が有ると言っているわけではありません。私もAmazon primeを使っています)。

テレビ、映画や音楽のコンテンツ視聴から、花屋さん、コーヒー、旅行まで、定額で多様なサービスを体験でき大変人気です。「所有から利用へ」がキーワードでした。

しかしちょっと待ってください。「所有から利用」という言葉が意味する構造を考えて欲しいと思います。

人がモノを所有するときは、これまでは「購入」という行為が必要でした。お金もしくはクレジットカード(信用取引)で代金と引き換えにモノを手に入れています。

一方で、利用すると言う事はモノを持つわけではありません。つまり、

利用とはモノを持たず、利用する権利を持つ構造

一定期間コンテンツを利用する権利を購入するというのは、消費者に取って、親しみやすく(安価)利用しやすい(体験ができる)構造です。

また初回購入後は更新を意識する必要がなく利用し続けることができます(自動更新されます)。

意識すべきはここです。大抵のサブスクは一度購入すると自動更新される。

そう、コンテンツを視聴(継続)することは、無意識にサービスを継続購入しているということです。

知らない間にお金を取られている訳ではありません。あなたの意思で視聴しているわけですから。。

しかしこれは典型的な無意識の設計です。

東大で脳のはたらきを研究されている池谷教授の本を読むと以下のように書かれています。

自由意志は脳から生まれない
では、自由な意思とはいったい何でしょうか。
意思は脳から生まれるものではありません。周囲の環境と身体の状況で決まります。 - 池谷裕二 脳には妙なクセがある -

また、クセというのは習慣とも書かれています。

サブスクの話に戻ります。
サービスを継続するという意思表示は、本人の自由意思ではなく習慣で決まった行動である可能性が高いということです。

サブスクが典型的な無意識の設計だと言った意図が伝わったでしょうか?

5. 構造=術式

まとめに入ります。

先程は構造を使って、無意識のコントロールを意図的に隠すことを呪いと言いました。

だとすると構造とは何か?改めて考えたくなります。
私は今回のnoteでは以下のように結論づけたいと思います。

構造とは呪いをかける方式(術式)

今日紹介した全ての構造が呪いだとは限りません。また繰り返しますが、呪い=悪意とも限りません。

最後に最近良くできた構造だなと感心た製品を紹介しておきます

リングフィットの道具と、ゲームソフト、Switchとそれぞれすごく練られた製品ですが、それらを組み合わせた時の使い勝手(ユーザ体験)が素晴らしいです。

複数の構造を重ねた多重の構造であり、利用者に運動習慣をつけてもらう(脱落させない)仕組みが沢山あります。noteも素晴らしいですね。別途noteの仕組みも分析して紹介しようかな。。

リングフィットについては、近々買ってよかったものにも記載しようと思います。

話を戻します。

私が伝えたいと思っていることは、構造を意識することで自分が構造にどのように影響を受けているのか感じてみて欲しい。意識して構造を使ってみて欲しいということです。

例えば色々な構造を皆で見つけて共有し合うという活動が広がればいいなと思っています。

そして冒頭でお話ししたように、構造を構築する際は細心の注意をはらって欲しいなと思います。相談可です。

それでは、また次回お会いできることを楽しみにしています。

構造愛好家でした。

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