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15歳の娘が男だと言い出した。LGBTqなんて、マジでくそ。(その1)

スーパーマーケットで買い物をしている時だった。
「ママ、私、付き合っている人がいるの」
『え!』
(ついにきた!!!赤ちゃんの時から手塩にかけて育ててきた愛娘Sちゃんに、人生初の彼氏ができたのかっー!
そーか、そーか。ついに、Sちゃんにも、甘酸っぱい青春が来たのねー!
いいなぁ、初恋、実ったのかー。)
思春期真っ只中のSちゃん、中学に上がった途端、学校でのことなんて、聞いても何も教えてくれない。
だからよけいに、彼女から打ち明けてくれた、「付き合っている人がいる」という短いフレーズから、私の脳内では、あれこれ娘の青春が妄想し出した。
ここは一旦深呼吸。落ち着け、私。
女の先輩として、娘の彼氏の話をちゃんと受け止めてあげようじゃないの。
内心ドキドキしながらも、落ち着いたママを装いつつ、笑顔で返す。
「そう。ついにSちゃんも好きな人ができて、その人もSちゃんが好きなんだね。それって、奇跡に近い、素敵なことだ。」
「うん!」
ハニカミながらも、恥ずかしそうな、それでいて嬉しそうな彼女の表情がとても可愛い。

実は、その日の午前中、娘Sは、同級生の男子中学生Jを、我が家に招待したのだ。ワンピースの最新エピソードを一緒に見る約束という名目だったが、彼の滞在時間は8時間以上にもなり、年頃の男子と二人だけにした状態で、晩御飯の買い物に行くのは躊躇われ、「そろそろ出かけるので、今日は帰ってもらえるかしら」と切り出すまで、二人は楽しそうに時間を過ごしていた。

「もしかして、Sちゃんの彼氏って、さっきのJ君?」
その瞬間、娘の表情はくぐもり、私を蔑むかのような目をした。
「ママ、Jはただの男友達だよっ」
と、吐き捨てる。
10代の娘、話が噛み合わないと判断すると、すぐにコミュニケーションのシャッターを下ろす。いとも簡単に、速攻だ。このまま話が終わるのは、どうしても困る。焦るも私は、なんとか機嫌を損ねないよう、取り繕うことに思考を巡らす。
「そっかー、ごめんごめん。誰と付き合っているのか、聞いてもいいよね?だってせっかくSちゃんからお母さんに話してくれたんだもの、、お母さんだって、S
ちゃんの恋バナ知りたいー。」
不機嫌な表情が、さらに歪む。やばい、地雷を踏んだか?
しかし、ここは親として絶対把握したいところ。引き下がれない。
「えっと、、ほら、Sちゃんの友達いつも家にくるけれどさ、一応、誰が彼なのか、お母さん知っとかないと、もし失礼なこととかになったら、、困るじゃん?」
意味不明な理由。ほんと、情けない親だ。
「ね、だれ?」
「S奈」
『え???????』
脳がバグった。
バグっている母の表情を読み取ったのか、不機嫌なSちゃんはさらにムッとした表情で
「S奈と付き合ってんの」
「な、なーんだ、もう、ママをからかってー!あはは〜!!
S奈ちゃんだなんてwww」
「もういい。」
「あ、ああ!先週の週末、S奈ちゃんと水族館行ってたねー、お父さんに送ってもらってさぁ」
「あれ、本気デートだから」
「え…。あら、そうなの、へぇーデートかぁ」
女子友とのデートごっこと思いたかった。だが、本人の顔を見れば、それがごっこでないことは、容易に理解できた。
「お母さん、ちょっと、卵取ってくるから、Sちゃんは、牛乳一本持ってきて」
うざそうに「わかった」と答え、背を向ける娘Sを視界の端に捉えつつ、
いきなり投げつけられたスパイクボールをどう受け止めていいのか、必死に頭を整理しようとした。

続く



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