カイサー、麻袋しょって城下町へ向かう【ウーリーと黒い獣たち】
「メマダエうまっ!」
夕べ、何度も繰り返していたカイサーにルボンは手土産として、黒メマダエを枝付きで大量に持たせた。
カイサーは黒メマダエの入った麻袋をかついで、城下への山道を下って行く。カサカサと麻袋が音を立てて揺れる。
歩きながら、ルボンから昨夜聞いたことを頭の中で整理しながら歩いていた。
あまりの情報量に加え、飲みすぎもたたって大いに混乱していた。
ひと言でいえば、ことのすべては賢者シュミクトとリケーン国の先代女王、今は亡きルボンの母による計らいだったということだ。
【アクーンとルボン】
厳しい教育を受ける日々に嫌気がさし、国を飛び出したルボン。
彼女を連れ戻そうとするのはたやすいことであった。
にもかかわらず、当時女王であった母がそれをしなかったのは、一緒に暮し始めたのがターリキィ国のアクーン王子であることを知ったからだ。
もともとターリキィとリケーンの王家は交流があった。
だが、あるとき意見の対立が生じて以来、両家の交流は途絶えた。
それによってターリキィは陽の多く差す国となり、逆にリケーンは年中、夜の長い国となった。
太陽の守護を受けた王子アクーンと、闇を支配する国の王女。
そんな二人であれば、やがて生まれ来る跡継ぎが、これまでどの時代にも果たすことのできなかった「インヨー統合」を成し得る。
但し、そのためにはアクーンとルボンには「陽と陰」それぞれ互いの性質を極める必要があった。
シュミクトは断腸の思いでこの二人を引き離すことを決断した。
【ルボンの復讐】
ルボンがアクーン王のディセンションを図ったと気づいたのもやはり賢者シュミクトであった。
気づいたというより、いずれそうなることは予感していた。
なぜなら、シュミクトはターリキィへ来る以前は先代女王、ルボンの母のもとで仕えていた賢者だったからだ。
「ルボンがいつか、闇のエネルギーを駆使してアクーンへの復讐を遂げようとしたとき、それがおそらくインヨー統合を果たす兆しとなる。そのときまで、どうかウーリーを頼む」
シュミクトはその遺言を受けてターリキィへやって来た。
【光るnote・フェアリーケィ・リトルソー】
そうして、賢者シュミクトは育ての母にラブコを選んだ。
追っ手から逃れる船の転覆でウーリーが溺れているところに、シュミクトはラブコを遭遇させた。
ラブコは『光るnote』の指南する通りに慈愛を持ってウーリーを育てた。
『光るnote』は闇の女王に代々継承される文書である。
三部構成からなり、『母なるもの』にしか読めないとされている。
二冊目のnoteはカイサーの元に渡った。
カイサーもまたそのnoteに従ってエタフスの丘でリトルソーを授かった。
「ソー」はルボンの祖母の名である。
ルボンの母がまだ幼い頃「私の代わりにフェアリーケィがそなたをサポートする。案ずるな」と言い遺して亡くなった。
ルボンの母をずっとサポートした妖精は、なぜかその姿が見える者とそうでない者がいた。
この妖精が見える者は、ウーリーと関わって行くことが必然であった。
黒メマダエの入った麻袋をかつぎ直そうとするたび、カイサーの胸のロケットペンダントの中で「種」がカラカラと音を立てる。
ルボンがフェアリーケィから渡されたという七つの種。
【七つの種】
七つの種は肉体に七か所あるボルテックスを回復させるグレネードだとルボンは言った。
アクーン王が鼠頸部を患ったのはディセンションの影響だった。
肉体の基盤となる第一エネルギーボルテックスが鼠頸部に位置するのだと。
そして、アクーン王の復活には、この七つの種が必要であり、この力が発揮されるためにウーリーが必要だと言う。
メウボーシの実を食べると彼の身体が光るのもこのボルテックスが反応しているからだ。
ウーリーだけが持つ能力は単独行動では生来の臆病さで抑制されてしまうため、ヒヤトラーたちは選ばれたのであった。
彼らの一見、ムダにしか見えない黒いモフモフの装束はウーリーを邪気から守る避雷針のようなものらしい。
と、聞かされてもカイサーにはウーリーいじりにしか思えないのだが。
【ルボンの親心…?】
「祖母の気性そのままで厳しいことばかり口走るが、これからも今まで通り、リトルソーを娘として預かってもらえるか?」
「ごっつあんです!」
ルボンに言われ、カイサーは一つ返事であった。
ウーリーをターリキィから奪い、リケーンの跡継ぎにと考えていたルボンだったが、これからもウーリーが家族三人、ターリキィの国で仲良く暮らして行くことを許した。
それはカイサーのロケットペンダントにしのばせていた写真に写るウーリーを見たせいではないかとカイサーは感じていた。
「Oh, my gosh…」
そう小さく呟いた後、ルボンがやけに無口になったからだ。
「思てたんと違ごたんやな…」
ちらりとかすめたが、もう一度麻袋を担ぎ直す。
とにかく今はウーリーのところへ急ごう!
≪私のターンはこれにて終わり!≫
#ウーリー
シンの『勇者』とは何なのか、迷宮に誘うクセモノ達人!
#カイサー 実は主役だった?説(笑)
「オチ」の天才だとつくづく思いました。
最後にもうひと「オチ」お待ちしています!(笑)
#アクーン王
このスタートダッシュですべては始まったと言って過言ではありません。
ちりばめられたエピソードで後に続いた記事が展開しました。
#「水の巫女」ミーラー
この物語の橋田寿賀子って呼ばせてください。
ってか、早く雨を降らせなさいよっ(笑)
#ゲーン王
「よろしく哀愁」と叫びたい。
#ヒヤトラー・シーホ
ぜんぜんモブじゃなかったモブキャラ(笑) 横展開の名バイプレイヤー!
#妖精フェアリーケィ
ストーリーの鍵を握ってたのね!!!
何気に書いたんだとしたら「あんた天才かよ!」とツッコミたい
#リトル・ソー
「あのさ、闘うってことを避けてる限り、パパは自分の顔ってものを持てるわけないよ?」
ウーリーを見送る際のセリフ。カワイイだけじゃない7才児
#育ての親 、ラブコ♡
ロンリーウーリー少年にlove注入!(笑)
#はじける義妹ユッキー ♪
とにかくカンパイだ!ターリキィはあたしたちで廻してんだぜ!ガハハ!
#コチョリー
旅芸人、実はゲーン国スパイ?ゆる~い諜報活動でゲーン王も翻弄⁉
#賢者シュミクト
このキーパーソンでストーリーがカタチを崩すことなく進みました!
#ボーチャ・べしゃり屋おかみ
なんだかんだとあちこちの記事で一番立ち回った助演女優!(笑)
#リケーン国のスパイ・ゴーショー
生い立ちから明かされる意外な事実が残っています!
shogoさん!今日のスタエフ聴いてあとひと記事お願いします!!(笑)
(※後半1:00:00辺りにヒントが…)
よろしくお願いします🙇
#ルボン
闇の国の女王。「とりあえず、生!」この一杯のために女王をがんばる。
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