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ウーリーと黒い獣たち スピンオフ〜コチョリー編

うりもさんのスタエフから生まれた
『ウーリーと黒い獣たち』
こちら様々な人たちがそれぞれの妄想によって作られていく物語。


ターリキィ国の朝は早い。
ニワトリの鳴き声が響くと同時に、町の広場に面した雑貨屋のおかみが店を開店させながら、誰に話すともなく喋り始める。
『べしゃり屋』のおかみボーチャは町一番の情報屋。この国の知りたいことがあれば、彼女に聞きに行くといい。まったく関係のないことまで教えてくれて、何を聞きたかったのか、もはやわからなくなるくらいたくさん情報をくれる。
ただし、開店はどこより早いが、閉店もどこより早いので日が暮れるまでに行かないといけない。

べしゃり屋の隣は長屋になっていて、その一角にはウーリーという男が住んでいる。彼は『清楚』と啼いて時刻を知らせる鳩時計と、妻カイサーのモノマネ芸で毎朝起こされる。ウーリーは鳩時計の啼き方と、妻の勢いがうっとおしくてたまらない。
「ホンマに清楚な声で起こしてみいや」と呟きながら、しぶしぶ起きて洗面所で顔を洗っていると、娘のリトル・ソーがウーリーの膝をめがけて後ろから突進してくる。
膝カックンされて、まんまと態勢を崩すウーリーパパを見て彼女は実に楽しそうにうひゃひゃと笑う。父親で遊ぶのが大好きな娘だ。
リトル・ソーはもうすぐ七つになる。「パパはいつだって、何とかなるって言うけど、それはやることをちゃんとやってる人のセリフだよ」など、子どもとは思えないシビアなセリフを父親に投げかけたりするような子だが、一方で、未だにターリキィ語が話せない。母親カイサーはそのことに疑問と懸念を抱いている。
※ターリキィ語はこの国に古くから遣われ、民族の繋がりを感じる共通言語だが、昨今使えない若者が増えて来ている。

ウーリーが仕事へ行くために着替えをしていると、外でボーチャとカイサーの話し声が聞こえて来る。二人とも声が大きすぎて、家の前で立ち話していてもそこら中に筒抜けである。

通りから聞こえて来る二人の話は、国王アクーンがここのところ病に伏しているという巷で持ち切りの話題であった。
さらには日照りが続いているのも何かそれと関係があるらしい。そのことで今日の夕刻に三人の賢者が民衆に何かおふれを出すということだ。

ウーリーが仕事を早めに切り上げて広場に向かうと、広場にはすでに情報を聞きつけた民衆で溢れていた。民衆たちをかき分けて中央の噴水の前へ進み出た二人の賢者。
ウーリーたちは息を飲んで賢者たちの言葉を待った。

一人目の賢者は民衆を見渡すと、おもむろに口を開いた。
「ここのところの日照り続きにより、我が国のもっとも重要な食であるバナンナの実が枯れて育たなくなっているのは皆も知るところである。このままでは国の蓄えも近いうちに底をついてしまうだろう。雨を降らすために三人の巫女によって雨乞いの儀式を取り行うこととした」

風、雲、水を司る三人の巫女(ミーラー、フーヤ、ヤーパ)による雨乞いの舞踊が三日三晩行われることとなった。

次に二人目の賢者が言った。
「しかしそれだけでは急場の凌ぎに過ぎず、根本的な問題を解決する必要がある。王アクーンは太陽の守護する元に生まれし存在であり、彼の病はこの国の天気さえも狂わせてしまう。この日照りはアクーン王のエネルギーが弱まっていることが引き起こしているのだ。我らが王のエネルギーを回復させねばならない。そのためにはシュミクトの智慧が必要である」

そのとき、遅れてやって来たのが三人目の賢者シュミクト。土から苦しそうに這い出たミミズの声を聴いていて遅くなったと笑う。
二人の賢者のいるところまで進み出て並ぶと、シュミクトは言った。

「この国の波動が著しく低下していることが王の病を引き起こしている。これは我が国のみならず、じきに隣国にまで悪影響を及ぼしてしまうだろう。早急に両国が手を取り合って、この大難を共に乗り越えるべく、協力を仰ぐ書簡を、ゲーン王宛に送った。
そしてここで、この命を受けて国を救う勇者を選出する。
私の受け取った天啓を今から皆に伝える。それが示すすべての条件に該当する者こそ、選ばれし勇者である」

賢者シュミクトはしばらく目を閉じて何かを唱えた後、再び目を開き、民衆に向けて口を開いた。

「まず第一の条件。勇者の名は頭文字がWの男である」

民衆たちはざわざわと互いを確かめ合う。

「第二の条件。勇者は他者の言葉を丁寧に傾聴する者である」
「そして第三の条件。生まれてこの方、メウボーシの実を口にしたことがない者である」

民衆のざわめきは更に大きくなり、その中からひときわ大きな声があがる。
「その男が誰なんかわかったで!」
べしゃり屋のおかみボッチャの声だった。
「あんたとこの旦那やんか!他におれへん!」
ボッチャは隣でポカンとしているウーリーの妻カイサーの肩を叩いた。

自分の名を呼ばれ、皆から背中を押されて賢者たちの前へ現れたウーリー。

賢者シュミクトはウーリーに近づくと、右手をウーリーの顔の近くへ差し出した。
彼の手には大きなメウボーシの実が握られている。

メウボーシの実は夕焼けの色より赤く、熟すほどにしわしわになる。見た目に反して、それを口にした者は誰でもその顔面が歪めずにいられないほど、非常に酸っぱい実である。

「ちょっと待ってー!何なんー!コワいコワい!」
必死に抗うウーリーは、民衆の男たちに「まあまあ」といなされ、身体を取り押さえられた。
「なあ!オレ、メウボーシがぜったいあかんの知ってるやろ!」
ウーリーは涙目になりながら、妻カイサーに懇願の視線を送るが
「ごっつあんです!」
カイサーはノリノリで、ウーリーに親指を立てて叫んだ。

「ちゃうやーん!オレ、やるとかまだ何もゆうてへんやーん!」
泣きっ面で叫ぶウーリーの口に、賢者シュミテクトは半笑いでメウボーシの真っ赤な実を押し込んだ。

書きのたねさんの記事より引用


今まで何人もの方がスピンオフとして物語を書いていらっしゃいます。

その中の一人、ららみぃたんさんの作品

『渡る世間に巫女三人』


わたしが出演したいと志願して、急遽出演させていただきました。

中学までミーラーと同じクラスで、仲が良かった
コチョリーとして(ららみぃたんさんありがとう💖)

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劇団コチョザップ座に所属して、あちこち旅をしているコチョリー。

当然、あちこちの国の噂も耳にする。


その情報を持って『べしゃり屋』のおかみボーチャの所に顔を出すのだ。


「ボーチャ久しぶり〜」


「おぉ~コチョリーやん。久しぶりやなぁ〜。
なんかオモロイ話あったら教えてーや」


「お店大丈夫?」


「大丈夫に決まっとるやん。とりあえずここでグミでも食べながら話そうや」


「このグミな、疲れがとれるって評判なんよぉ」


「えー本当ですか?それはありがたいです」


「なぁ〜コチョリー、まだターリキィ語が喋れんのかい。なんかその話し方、調子が狂うねん。 毎回言っとるやん。もっとチャッチャと喋ってくれないと日が暮れてしまうわぁ」


「スミマセン。ターリキィ語が難しくて」


「まぁしゃーないかぁ。旅しているからなぁ。っで今回はどこに行ってたん?」

「ゲーン王国です」

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ゲーン王は、今日も双眼鏡でターリキィ王国の様子をうかがっていた。

「ゲーン王、お久しぶりです」

「おぉ~チョコリー、久しぶりやなぁ」

「何をされていたんですか?」

「ターリキィ王国から手紙が来たんや。協力して欲しいって言うから待ってるのに誰もけーへんのや。どないなっとんねん。」

「三人の巫女の雨乞いも全然うまくいってないんや。あれはアカン」

「たしかチョコリーは、ミーラーと仲が良かったやろ。雨乞いどうなってんのか見てきてくれへん?」

「ボーチャの所に行けば、三人の居場所は、すぐわかると思うで」

「ついでにウーリーの情報もお願いするわ」

「わしだとすぐに気がつかれるからなぁ。簡単に動けへんのや。ボーチャに見つかったら大変なことになるからなぁ」


「そんで河原にボーチャの夫がいるはずやねん。チョコリーはショウギー指せるやろ?ボーチャの夫はショウギーが強いらしいねん。勝負してくれへん?わしな〜前々から思っとることがあってな。河原にいるのは楽器の練習だけとちゃうと思うとるんじゃわ」

「それをショウギーを指しながら聞き出す作戦ですか?」

「そうや。簡単には話してくれないと思うんやけど。のらりくらりとかわされる確率が高いけどな。賭けや賭け」

「わかりました。挑戦してみます」


「では、また」


ゲーン王の頼みとあらば断るわけにはいかない。


ゲーン王には、色々と借りもある。


こうして


チョコリーはターリキィ王国に向かったのであった。


ららみぃたんさんリクエストに応えていただきありがとうございました。
本当は、もっともっと書きたいのですが、長くなってしまいそうなので、今回はここまでということで。
チョコリーは謎の人物として、登場させました。
これからスパイ?になるかもしれないし、協力者になるかもしれないし、妄想はまだまだ続きそうです。

謎めいているって良いですよね






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