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出かけてきたよ⑬(Dear All, Happy Holidays🎄✨)

このnoteにおいでくださり、ありがとうございます。
みなさん、このnoteはPG11です。
11才より大きい人は、読むことができます。
11才にこれからなる人はいつかまた。ここで読むことをやめてください

※※※この先はPG11です※※※

日本で年末年始を過ごすのは、久しぶり。
それも、在外生まれ・育ちの自分の家族と共に、
冬季に滞日することは初めての経験だ。

来年の干支である牛グッズとクリスマス系グッズの混在。
彼らの母国で見かけることが少ない、「Merry Christmas」の濫用。
ホワイトクリームにイチゴがのった「クリスマスケーキ」のCM。
部屋部屋で暖を取る、日本式の家屋。
カニと根菜の鍋物の美味しさ。
家族にとっては、何から何まで新鮮なことらしい。

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クリスマス目前。
低学年の子ども達に、オンラインで授業をする。
「サンタさんへの手紙を、書きましょう。」
促してみた。
普段、筆がゆっくりの子どもでも、目を輝かせて鉛筆を走らせ始める。
そうだ、”サンタさん”というのは、特別な存在。
その特別な人に、手紙を書くのだもの。そりゃあ、筆も進むよね。

「~くん、書いてみたところまででいいですよ、見せてもらえませんか?」
モジモジと、筆が鈍ってきた子どもに、声を掛けた。
画面越しに読み取れる、伝えたいことが上手く文章化できないもどかしさ。
「~くん、サンタさんに伝えたいことがあるのですね。」
「うん。そうなの、そうなんです。」
「~くんは、サンタさんに、お願いがあるのでしょうか。」
「はい、おねがい、あります。」
ふうん、そうなんだ。
ハロウィーンのコスチュームだったPower Rangers系のおもちゃとか、
最近ハマっているというscooterなどが欲しいのかな。

「hikari先生、ぼくね、サンタさんに、ひるきてもらいたいです。
だって、あえる。おとうさんとおかあさんにもプレゼントもってきて
ほしい。サンタさんはいつも、ぼくだけもってくる。」

射抜かれてしまった。
懸命に日本語を繋いで伝えてきた、そのやさしさと思いやりに。

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昨日、いつもに増して輝いている街で、輝いている人と再会した。
「洒落たところでイブランチ。かわいい女性とかのすることですよ。」
「ですよね。ここ、眺めもいいし。最高」
「タイガービールもいいけど、シンガポールスリング、飲みますか?」
「いいですね。おすすめのチリクラブも、いただいちゃいましょう。」
「あれ、すごい。大きなハサミと紙エプロン。
 追加のお手拭きに手袋と大きな殻入れまで、やってきた。」

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どんなにお洒落なところで、小洒落た食事をしていても。
どうも私達は、オトコらしさを発揮してしまうらしい。
二人共、おおよそ色気のない紙エプロンをしっかり装着。
尽きないおしゃべりをしながら、大きなハサミで殻を豪快に割っては、
蟹身をスプーンで掻き出し、楽しんだ。

「これ、誰かがきれいに掻き出して、食べるばっかりにしてくれたら、
 かなり嬉しいかも。じいやがほしい。」
「ほんと、ほんと。あっ、この蟹、おいしい!」
甘みもある蟹と、その旨味が出た甘辛のチリソース。絶品だった

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「飛行機飛び乗って、行きたいところに、出かけたいな。
 旅、ご一緒していただきたいです、現地集合現地解散になるけど。」
「いいですね。旅行中折々、楽しかった一日を共有しましょう。」
この方との距離感は、絶妙に心地良い。
自分のままでいられ、何を交わしても学びと気づきがあり、高められる。
ホッとできて、元気になる。

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眼下に見つけた素敵なカフェに、場所を移す。
「へぇ、そうなんですね。生徒さん、かわいい。」
件の、やさしさ溢れた教え子の話を聞いてもらった。
その方の「今」やこれまでの歩みについても、様々聞かせていただいた。

外は曇り、雨模様。
中は、華やいだ雰囲気で満ちて、明るかった。
そう感じたのは、自分の気持ちが華やぎ、明るくなったからかもしれない。

”そうそう、先日。私の家族、ついに全員、”サンタさん”になったんです。”
サンタさんの話を口に出したところで、少し詰まってしまった。
自分が小学生の時に経験した、ほろ苦い思い出を思い出したからだ。

でも不思議。
この方にはごく淡々と、自分の経験を口にすることができた。
傍らの笑顔に促されて、私はようやく言葉を繋いだ。

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私が小学2年生だった時、クリスマス目前に担任教員から、
「何浮ついているんですか。サンタさんなんて、この世にいません。
 大人が、枕元にプレゼントを置いてるだけです。くだらない!」
と、盛大にサンタさんの正体を暴かれてしまったことがあるんです。
ショックだった。その夜、母にこの事件のことを話して。
更にショックだったのは、痛みを持った母の表情をその時見た事ですね。

それ以来、私は「先生になること」を夢見ることが無くなりました。
子どもとその家族の夢を一気に壊した大人の職業に、
あこがれや希望など、持てなくなったのかもしれませんね。

なぜか後、私は教職に就いて、今に至ります。
あこがれや希望、夢を大切にできる人間になる「大人予備軍」に
寄り添い、その輝きを更に引き出すために。

大人になってから、知ったんですよ。
サンタさんは、これまでも、今も、これからも、この世にいる。
サンタさんは、プレゼントを置くだけの人間ではない。
”くだらない”って?
こんな美しい事実も知らないまま、
あの教員は、教員になってしまっていたに過ぎない。

私は”サンタさん”とは何かを、子どもに気付かせることができる
大人と教員になれているのでしょうか。

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これまで毎年、十数年間。「サンタさん」をしてきました。
長子の時は、親の自分が一番テンション高かったかもしれない。
FMからのHoliday Songsを、12月中、流して。
NORADのSanta Trackerに目を輝かせる家族に、自分も目を輝かせて。

プレゼントを一生懸命考えて、ラッピングして。
それを、ツリーのスカートの上に置いたけど。
置かれたことに気づく年齢ではなかったなあ。乳児でしたもん。
中身そっちのけで、ラッピングペーパー破ることを一番喜んでた。

まずは、長子が小4の時。
学校の友達から「サンタさんの正体」を知らされてきた。
長子は案外けろっとしてたけど、自分はかなりショックだった。
深夜、施錠した自室でプレゼントを包みながら、複雑な思いだったもの。

そのうち、他の家族も「サンタさん」について知るように。
ここ数年は「サンタさん」もなんだか宙に浮いているようなものでした。
家族の中で末子一人、「サンタさん」の正体を知らない状態でしたから。

私が今回、日本に発つ前、末子に聞いたんです。
「サンタさんに、今年はなにをお願いするの?」
末子は、小さな動物人形シリーズのおもちゃの名前を言いました。
長子達だけでなく、その友人達からのお下がりもあるため、
そのシリーズのおもちゃはたくさん持っているのに。

なぜかそれで、ピンとくるものがありました。
先日、長子達を集め、話をしました。
末子にも、これからはサンタさんになってもらうよう話をすると。

末子と二人で話をしました。
「サンタさん、いると思う?」
「うん、いると思う。」
「そう。その通りだよ。どこにいると思う?」
「ええと、North Pole?」
少しだけ、緊張したけど、私はキッパリと言葉を続けた。
「そこにもいるよ。そして、あなたの家にも、いるんだよ。」
末子は表情を和らげた。よかった、末子は知るべきタイミングだったんだ。
「おめでとう。あなたもサンタさんになってください。
これからも、プレゼントを受け取る喜びを知りつつ、
プレゼントを与える喜びも知る”サンタさん”になってください。」
幸せな自分から溢れる幸せを与える幸せ。
それは、受け取る幸せの何倍も、喜びが大きい。

末子に、あのおもちゃを一緒に買いに行こう、と言うと、
「うーん、本当に欲しいものは、別にあるの。」
私、ear piercingしたい。


そうだったんだ。
末子は、「サンタさん」に持ってきてもらいやすいおもちゃの名前を
口にしていたまでだった。

うん、わかったよ。早速ファーストピアスの買い物に出かけよう。

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この方の笑顔と、あたたかな言葉に。
先日あったことを、咀嚼することが出来たように思う。
私は穏やかに、家族として次のステップを踏むことが出来た。
ありがとう、カミーノさん。またぜひ、会いましょう。


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