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生クリームに負けるアラサーの胃 〜ホールケーキを1人でたべたい〜

『30代の壁』問題の1つに「ホールケーキを1人で食べれなくなる問題」がある。正式な30代の壁かは知らないし、そもそも30代の壁という問題があるのかさえ分からない。
そこで、アラサーの私はホールケーキを1人で食べることに昨年挑戦した。

計画と勘定

「ホールケーキを食べたい」
そう思い立ったのは、12月初旬のクリスマス迫る頃だった。街中にケーキの写真が溢れ出す頃だ。
「それも、イチゴの乗った白い生クリームのやつ」
クリスマスケーキを予約しよう。そう思って近くのケーキ屋さんのホームページを見てみる。
「食べるなら、ミニじゃなくて普通サイズだよね」心の中のデブが囁きかける。
5号(直径15センチ)サイズのクリスマスケーキが約4000円。
「え、3000円代じゃないの??」約10年前で記憶が止まっている。物価上昇待ったなし。
高い。飾ってあるサンタの砂糖菓子代か?

動揺のまま、通常のホールケーキの値段表を見る。
5号(直径15センチ)サイズのイチゴの生クリームケーキ、3240円(税込)。
「おい、なんだこの値段差は」
しかも、クリスマスケーキはサンタの砂糖菓子分、イチゴが減っている。上に通常11個あったのが、5個だ。半分じゃないか。
間にイチゴが挟まっているのは同じだが、半分じゃないか。

ならば、通常のイチゴの生クリームのホールケーキを食べよう。安くてイチゴがたくさんだ。心の中の欲張りデブに従って、予約をしようと決心。

『通常のホールケーキは、クリスマス期間(12月23〜25日)には予約できません』の注意書きも、
「ノンノン、26日が休みの土曜日だからオールオッケー」と26日の土曜日正午受け取りで予約。

突然の出会い〜半額のクリスマスケーキ〜

25日の金曜日、職場帰りにスーパーへ寄った。クリスマスムード満載の売り場の中、ソイツと出会ったのだ。
半額シールの貼られた、『仮面ライダーセイバー キャラデコケーキ(5号サイズ)』。
いわゆる、限定おもちゃ付きのケーキである。イチゴは別添え、間に挟まっているのは黄桃。3240円、の半額。
クリスマスの浮かれムード、キャラデコという興奮(私は仮面ライダーが好きだ)、半額という誘惑。
買ってしまった。

イチゴの乗せ方を失敗したケーキ。自転車の衝撃でクリームが崩れている。


ケーキの波状攻撃

約20年ぶりのキャラデコケーキである。
その昔、キャラデコケーキが出始めた頃に、仮面ライダーアギトのキャラデコクリスマスを買ってもらったことがある。

買って帰った25日の晩、ムシャムシャとキャラデコケーキを食べることにした。
急がないと、次の日の昼には予約したケーキの受け取りだ。冷蔵庫は単身者向けの小さなサイズ、ホールケーキ2個は入らない。
ケーキ達との、スリリングな戦いの始まりだ。

…ギブアップだ。胃が受け付けない。
半分食べたところで、胃が緊急停止。気持ち悪さが迫る。甘い甘いクリームとスポンジ。酸っぱいイチゴと黄桃だけが頼りだ。
「明日の朝食べよう」そうして25日の戦いは終わった。

26日朝、朝食はもちろんケーキだ。ムシャリムシャリと食す。
ケーキ用の小さなフォークとはいえ、そのままムシャムシャとがっつかれるケーキに憐憫さえ感じる。
小さな子どもの居る幸せそうな家族に囲まれるはずだったキャラデコケーキ。それは今、アラサーの女1人にがっつかれている。せめて、美味しく食べてあげるからね…。
朝の空腹からか、気持ち悪くなる前に完食。
冷蔵庫のスペースは空いた。


ケーキ屋さんのケーキはうまい

26日正午、第2ラウンドの始まりの火蓋は切って落とされる。
12月26日のケーキ屋、といえばどんなイメージだろうか。クリスマスケーキからひと息ついているイメージ?お正月のギフトに向けて、頑張っているイメージ?
私が予約したのは、美味しくて有名なケーキ屋さん。いつも店舗前には、車の整理の警備員さんが立っている。
そう、26日でも混んでいた。アフタークリスマス、それでも混雑。みんなケーキ大好き。

「ケーキのご確認をお願いします」
と見せられたケーキの神々しさよ。白いクリーム、盛りだくさんの真っ赤なイチゴ、その上に降りかかる粉糖は粉雪のよう。
それも、できたてだという。フレッシュなケーキだ。

午後2時前、お腹も空いたので昼食をとることにした。もちろん、さっき受け取ったケーキだ。
ひと口食べると、うまい。ふわふわしっとりのスポンジと、軽やかでいて甘さ控えめの深みのあるクリーム。そこにアクセントを加えるのは、甘みと酸味が調和したイチゴ。
なんだこれは。キャラ◯コと大違いじゃないか。

ケーキ屋さんのケーキ。見よこの芸術を。

ムシャムシャと食べ進めると、半分食べたところで、満足感により満腹になる。不思議と、気持ち悪さは無い。

結局、翌日の昼食に残り半分を食べ、ケーキを食べ切った。うまかった。

餅は餅屋、ケーキはケーキ屋だ。そう思った。
どうやら私の胃には、5号サイズのケーキは半分でいっぱいだと分かった。

今年もクリスマスは来た

毎年クリスマスはやって来る。
そして私は買った。2カット入りのミルクレープを。1.5カットまでは、うまかった。胃が拒否し始める前に、食べきりはしたが。
そして、あすけん(レコーディングダイエットアプリ)の女に怒られる。クリスマスなんて、それでいい。


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