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ていねいな保育【一日の生活編】

前回は、「ていねいな保育」基礎編として概念的なことを書きました。ここからは実践編です。

▼前回の記事はコチラから

実際に保育の中で行われていることについて書いていきます。
今回は「一日の生活編」と題し、保育園での一日の流れを「ていねいな保育」という視点でお伝えいたします。


保護者との連携(登降園)

登園の際は保護者も仕事へ向かう途中ですので、保育者と対話ができる時間はごくわずかです。その短時間に、安心して子どもを送り出せるよう、家庭での様子や申し送り事項などを確認します。

マフィスでは、連絡ノートアプリを活用していて、登園前に保護者に入力いただいたものを、保育者はその園児が登園するまでに確認します。

子どもが親と離れることを嫌がる場合は無理やり保護者から引き離すのではなく、笑顔で受け止め、好きな遊びを一緒に見つけて 自然に園生活をスタートできるように援助します。
そのため、手に取りやすいところにおもちゃを並べたり、時には、保育者が組み立てたブロックを置いておくなどして、遊ぶきっかけを作ります。

前回のnoteでも触れましたが、保育者として身につけてほしいことの「笑顔」「観察」を存分に発揮してもらう場面です!

降園の際は、その日の園での様子を簡潔に伝えますが、内容としては家庭で気にしてほしいこと、話題にしてほしいことなどを共有します。
連絡ノート(アプリ) にはその日にあった具体的なエピソードや成長を感じた点、保護者からの質問への回答などをお昼寝のタイミングなどで入力していて、保護者が読んで齟齬のないようわかりやすく書くことを心がけています。

心もカラダも育てる“味覚を育てる食事”

食事やおやつは子どもたちも楽しみにしている時間です。マフィスは五味と旬の素材を献立に取り入れた「味覚を育てる食事 」を提供しています。

基本的に人は、甘味、塩味、うま味といった、生きるために必要な味を「おいしい」と感じ、身に危険を及ぼしかねない、腐ったものなどと風味が似ている酸味や苦味は「まずい」と感じます。
しかしさまざまな味を経験し、繰り返し食べることで、さまざまな味を美味しいと感じられるようになります。大人が苦味のあるものを「美味しい」と感じるのもそのためです。
子どもの味覚を育てることによって、多くの食材・味を受け入れられるようになり、食事をより楽しめるようになる上に、幅広く栄養を取れるようにもなります。

食事のようす(マフィス北参道)

また、それぞれの子どもの生活やその日の状態に対応することはもちろんですが、完食よりも“おいしい”や“楽しい”を優先します。
栄養士は、食事の量も含めてバランスを考えますが、食の細い子や気が進まない子どもに完食を強いるのではなく、食材自体に興味を持たせたり、味について話をしたりする食育の時間も設けています。

食育のようす
キャベツを実際に触ったり、においを嗅いだりします

その上で、食事をより楽しみに思ってもらえるよう、調理室の様子がみられるようにしたり、レシピを公開したりと、料理そのものや、 食育のコンセプトなどに保護者も含めて興味を持ってもらえるような工夫もしています。
さらに「自分で食べる量を決めることができる」をゴールに配膳を子どもたちが行います。こぼさないようバランスをとって運ぶことで脳や運動の発達も促されので、歩行が安定している子は1歳児クラスでも配膳に参加します。子どもたちは自分でできることに喜び、積極的になりますし、保護者はそんな姿に成長を感じよろこばれています。

配膳のようす(マフィス北参道)

もちろん、個々のアレルギー対応として誤食を防ぐため、アレルギーのあるなしでトレーや食器の色を変えたり、アレルギー食材の書いた紙をトレイに貼って可視化したり 、複数の保育者で確認したりと、安心・安全に食べてもらう仕組みを徹底します。
アレルギーに関しては、家庭との連携、最新情報の入手なども保育者には求められるので、情報共有も忘れてはならないことです。

目配りが怠れない睡眠

子どもにとって眠ることは育つ上でとても重要なものです。
保育園で眠る際は、寝る時間帯にかかわらず、守るべき重要な留意事項があります。
これらの留意事項は、「ていねいな保育」以前の問題ですが、乳幼児突然死症候群や窒息等の不慮の事故など、睡眠時のリスクと予防法をきちんと把握、実践する必要があります。
以下は、マフィスで徹底している留意事項の一覧です。

  • 「仰向けで寝かせる」=SIDS対策の基本!

  • 「ひとりで寝かさない」=恐怖感などストレスが強まるのか突然死の発生率が高くなる

  • 「呼吸・顔色チェックを行う」=部屋を暗くしすぎない

  • 「眠い子から寝かせる」=一斉に(無理に)寝なくて良い。保育者が「寝かせないと」と思い、寝かしつけやすいうつ伏せ寝などにつながる

  • 「モニター機器に頼りすぎない」=睡眠チェックが疎かになりかねない

  • 「熱がこもらないようにする」 =突然死に関連しているとの指摘あり

  • 「体調不良時には特に用心」=体調不良も突然死の要因。保育者の近くで寝るように

  • 「入園から日の浅い子に注意」=子どもは環境の変化に敏感なため、入園初日〜1ヶ月以内に突然死が多い

他にも、子どもたちが安心して眠れるよう環境 もきちんと整えます。

例えば、

  • 部屋を電気をつけた明るい状態にする

  • 早く起きてしまった子がゆったり遊べるよう、別室を用意する

  • 0歳児のつかまり立ちをしない子にはベビーベッドを用意する

などなど…やるべきこと はたくさんあります。
命に関わることなので、保育者は徹底して取り組みます。

昼寝中の子どもたち(マフィス横濱元町)

21世紀型教育のコア「対話力」を「子ども中心」に身につける

乳幼児期に関わらず、今不可欠な力として挙げられるのが「対話力」です。0〜2歳児では言葉の対話は難しいかもしれませんが、子どもの心を推察して会話ができることも保育者のスキルです。
そして「3歳までに聞いた言葉の量」がそれ以降の学ぶ力と比例するとの研究結果もあることから、いろいろな言葉で肯定的に話しかけることが重要だと言われています。

しかし、むやみやたらに話しかけるのではなく、ここでもあくまで主体は子どもです。保育者から何か提案する場合も、一方的にならないよう控えめに語りかけます。
例えば、遊びから食事へとか、屋外から屋内へといった活動の移行時間には、つい大人の事情を優先しそうになりますが、子ども自身が考えて動くことを優先するような言葉がけをします。

子どもたち同士の対話も、保育者は仲介役として各々の発話を引き出し、対話に繋げます。
困った事象が発生した場合も、保育者が解決するのではなく発話・対話のチャンスとして捉えています。

基本的には、子どもたちが話しかけてほしそうな「とき」に、話してほしそうな「こと」を推察して対話しますする 。
常に「なぜだろう?」という視点で、子どもたちを観察し「何を楽しんでいるか?」「何を面白がっているか」を見つけることを大切にし、先回りして声をかけるのではなく、子どもがこちらに注意をむけて目があったときに、必要に応じて声をかけるように強います。
この基本を園でも家庭でも実践できれば、「対話力」は「子ども中心」についていくのだと思います。

「ていねいな保育」とは「子ども主体の保育」を実践するためのものです。そのためていねいな保育には「子どもの最善の利益」を尊重する考えが根底にあるのです。


▼次回『ていねいな保育【生活習慣編】』



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