頭痛薬よりワイン。乾杯より文章
何かがわかった気になったので街に出かけた。
地下街にはたくさんのお店が並ぶ。果物の色は黄と緑と赤とそれから紫だ。黒いシースルのブラウスに黒のタイトドレスを合わせたマネキンにそそられ、洋服屋さんに入った。編地が可愛い黒いカーデと黄に白のレースをまとったマーメイドスカートを試着した。値札のタグが首をがさがさ触る。
チュールを合わせた黒いジレも着てみた。夏に黒のジレは重いかな?着てみたら、ふくらんだチュールは甘い黒の印象を残した。甘いブラック?そんなものあるのだろうか?言葉はマジック、うまく使えば、感覚や価値感を実在する物質であるかのように立体的に組み立てることさえ可能だ。
書店で文房具を見た。メタリックに光る赤い軸の4色ボールペンを使っている。毎日たくさんを筆記する。特に黒色の消費が早い。5本セットの黒の替芯と赤、青、緑の替芯をそれぞれ一本ずつ買った。ノートを5冊と柔らかい素材のファイル、ファイル用のルーズリーフも買いそろえた。1冊のフィアルを興味関心の数のインデックスで仕切り、それぞれの興味関心に毎日少しずつ思考すなわち記入ずみのルーズリーフを加えていけば私だけのオリジナルファイルが出来上がる。
妄想と夢と現実。
おおよそのことはファイリング出来る。
外国語学習コーナーに立ち寄りバスク語の辞書を探したがどこにも見当たらなかった。バスク語のテキストさえなかった。カタルーニャ語やガリシア語のテキストもない。外国語学習コーナーの90%は英語関連で埋め尽くされている。90%は言い過ぎかもしれない、が、80%は少なめな見積りだと感覚的にそう判断した。
帰りの電車の中で足の先っぽが痛くなった。おろしたての茶色のサンダルは長時間の外出にはまだ早かったか。このところスニーカーかブーツしか履いていなかった、夏のサンダル、ヒールは5センチに足を通すだけで明るい気持ちになれた。素足のサンダルがいちばん好き。でも今日は靴下のままサンダルにした。
スニーカーを5センチヒールに替えただけなのに、昨日より背が高くなったような気になった。お店のスタッフさんとさかんにお洋服の話をした。カジュアル、きれい目、チュール、リボン、ワンピ。飛び交う単語も華やいだ。
帰宅。
さて、どこから始めよう。
昨日のバスク語レッスンをノートに整理すること。
家じゅうの窓を開き、部屋をSpotfyのノラ・ジョーンズで満たすこと
英語の教師に勧められたアル・パチーノとロバート・デ・ニーロの映画を探すこと。
頭痛薬を飲んでしばらく横になること。
明日のスペイン語レッスンを予習すること。
散らかった部屋を片付け、洗濯物をていねいにたたみ、所定の場所に戻すこと。
空のペットボトルとビール缶をゴミ捨て場まで運ぶこと。
いっそのことワインを開けて今日に乾杯すること。
結局、なにから始めたらよいのかわからない。どれも選べない。
だからこうして文章を書いている。
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