反射について
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いつもご覧頂きありがとうございます。
これからも、難しくマニアックになりすぎないように記事を更新して参りますので、よろしくお願い致します。
さて、今回の記事では「反射」ということについて簡単に解説していきます。
是非ご自身のパフォーマンスアップの為にも、参考にして頂ければと思いますので、気楽に読み進めていってください。
反射とは
今回ご紹介する反射とは、生物学用語での反射です。
反射とは、特定の刺激に対して意識と関係なく起こる反応のことを言います。
例えば、(やってはいけませんが)沸騰しているお湯に指を突っ込んだら、「あつっ!!!!!」と言って、無意識的にその指をお湯から抜きますね。(関西人は「あつっ」と言います。)
逆に氷水を掛けられても、無意識的な反応が起こります。
この無意識的な反応こそが、反射です。
人間の反射は色々な種類があるのですが、今回は骨格筋の反射について取り上げていきます。
伸張反射
多くの人は、垂直跳においてより高く跳びあがろうとする際、一度しゃがみ込んで反動をつけてからジャンプすると思います。
これは、しゃがみ込んで反動をつけた方が高く跳べることを経験的に知っているからですが、実は経験則だけでなく、一種の反射を利用する為にも非常に合理的な動きなのです。
これが「伸張反射」と呼ばれる反射です。
ジャンプの直前にしゃがみ込むと、ジャンプの際に大きく力を発揮してくれる大殿筋や大腿四頭筋といった筋肉が引き伸ばされることになります。
その引き伸ばされるスピードが非常に速いので、筋肉は「おいおいそんな急に伸びたら引きちぎれちまうぜ」と思うわけです。(思うかは知りませんが)
「一気に引き伸ばされると切れるかも知れない!」そう思った(思うのかな?)大殿筋や大腿四頭筋は、それ以上引き伸ばされないように、一気に縮もうとします。
一気に縮もうとしたということは、跳び上がる為の力発揮が一気に行われるということになります。
試しに、ゆっくりしゃがんでから跳び上がってください。
本気で高く跳ぼうとした時よりも、高さが出なかったと思います。
この反動、すなわち、伸張反射を上手く活用する事が出来れば、効率的に大きな力を出せることになります。
ピッチングでも必ず振りかぶりますが、これも伸張反射に繋がる動作です。
サッカーボールを蹴る時も、かならず一度脚を後ろへ振りますね。
走っている時は反動の連続です。
日常動作でも椅子から立ち上がる時は「よっこらしょ」と反動をつけた方が楽に立てますし、ものを持ち上げる時は反動を使うと楽です。
筋トレは安全の為に反動を使わないように指示をされることもありますが、むしろこの反射が正しく起こるように促すのも大切な時があります。
筋肥大だけを狙うならゆっくり実施すればよいですが、筋トレの効果はそれだけじゃないということですね。
正しく反動を付けることは、大切なことなのです。
ゴルジ腱反射
伸張反射とは反対に、力を出さないようにする反射も身体には備わっています。
これは、あまりにも重たいものを持ってるとして、それ以上力を出すと、筋は縮もうとしているのに、重たいものに負けて筋が伸びていくような時に起こります。
つまりこれ以上力を出すと筋と骨の付着部である、腱が切れてしまうかも知れない場合に起こる反射です。
これは、腱の中にある、「ゴルジ腱器官」というカッコいい名前の器官が起こす反射ということで、「ゴルジ腱反射」と呼ばれます。
ゴルジ腱反射は腱という非常に重要なパーツを怪我から守る為に、とても重要な反射ですが、かなり早い段階で反射として介入するらしく、力発揮の邪魔をしている可能性もあるとも言われています。
アスリートがある程度の重量で筋トレをした方がよい理由は、このゴルジ腱反射が過度に介入してこないように、重たいもの(負荷)に身体を慣れさせるためでもあるのです。
野球のバッターが100km/hのボールを反射的に避けているようでは、いつまでたってもヒットは打てませんが、素人にとって100km/hのボールは結構怖いものです。
しかし、しばらくするとその速度にも慣れて、怖さがなくなってきます。
これが、反射を過度に介入させないということです。
まとめ
厳密に言えば人間は様々な反射を利用して、安全かつ的確な動きが出来るようにプログラムされています。
そのプログラムをうまく生かす、或いはうまくごまかすことで、身体のレベルは格段に上がると考えられます。
反射について本格的に学ぶ時が来たら、「あぁ、なんか聞いたことあるな」と思って頂ければ幸いです。
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