動きのコツ~作用・反作用~
アスリートが運動指導者として活躍する為に必要な学びを提供しているメディアです。
今回は少し「物理」のお話になりますが、出来るだけ、というか理科の先生には怒られるぐらいに簡単に解説をします。
このメディアは、専門書を読む前段階の学びを想定していますので、それでよいかと思います。
興味が出てきたら必ず専門書を読むなどして、学びを深めて下さい。
押したら返ってくる
とても簡単な話をします。
氷の上に立っていることを想像しましょう。
摩擦係数μとか言い出すとややこしいので、要は滑りやすいところにいるということです。
氷の上で、AさんはBさんの背中を押します。
するとBさんが押されたように滑っていくのと反対側に、押したAさんが滑っていきます。
この様に「押したら押し返される」というのは自然の摂理です。
このことを「作用・反作用の法則」と呼んでいます。
反発をもらう
例えばジャンプをする時や、スプリンターがスターティングブロックを蹴る時などは、氷の上のように滑りやすい地面ではなく、動かない地面(足元)を押して、その反対側に跳び出す様に身体が動きます。
経験がある人もいるかも知れませんが、スターティングブロックがしっかりと地面に固定されていなかったら、スターティングブロックは後ろにずれてしまって危険です。
それだけ身体は動かない足元(≒地面)に力を伝え、その地面から反発をもらっているということです。
運動指導の現場で「反発」という言葉がよく用いられますが、恐らく正確には「地面反力」という言葉が適切でしょう。
「地面から力をもらう」というのも同様です。
「地面反力」という言葉を覚えておきましょう。
運動指導において
例として、トレーニング指導の現場で多い、スクワットの指導について考えていきましょう。
スクワットに関するお話は以前記事に上げていますので、そちらもご確認ください。
さて、目的がどうであれ、スクワットはしゃがんで立つ動作です。
細かいフォームは目的や体型、その他様々な要因によって変化するというのが、上記記事の内容でした。
しかし、繰り返しになりますが共通していることは、しゃがんで立つということです。
しゃがんで立つ時、まさに「作用・反作用の法則」が成立しています。
スクワットで最もしゃがんだ位置(ボトムポジション)から、立ち上がった位置(スタートポジション)に戻る時、曲がっていた足関節、膝関節、股関節が伸びていきますが、これは地面を押した結果、その反対側に伸びあがったということです。
ですから、上手なスクワットというのは、地面を押している感覚がありますし、それは実施している人を見ていれば分かります。
上手でないスクワットというのは、地面反力をもらえず、無理矢理立ち上がっています。
そうすると、例えば膝関節だけ伸びあがるタイミングが早かったり、腰が引けたり、場合によっては立っている位置がずれたりします。
何がスムースな動きで、何が不自然で無理のある動きなのかを理解する為にも、この様な物理のお話は理解しておく必要があるのです。
今回、このメディアでは頭の混乱を避けるために、解説はここまでにしておきますが、何度も言うように必ずしっかりと専門書を読むなどして、理解を深めるようにしておきましょう。
それが、適切な指導の基礎となります。
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