修学旅行に夜更かしして話す恋バナがいっちばん楽しかった

　修学旅行、同部屋の女の子全員で夜更かしして恋バナをした。中学でも高校でもそうだった。なんで翌朝もそこそこ早いのに夜更かしして恋バナするんだろうね。特に中学の夜更かしはスリリングだった。先生が夜中に部屋を巡回してるから、たまに足音が聞こえるの。中学生はスマホ持ってたらダメじゃない？だから誰かが手回し発電機持ってきたの。もうそれだけで面白いんだけど、回すとウィーン、、、って音が地味に響いて、先生が扉開けてきたの怖かったな〜。でも布団の中で顔見合わせて、みんなでニヤニヤ笑ってたね。どう、みんなもちょっと思い出したかな。

　大多数の人間は恋バナが大好きな気がする。わたしも漏れなくそのひとり。大人になった今だって、飲めば絶対恋バナをする。最近彼氏どうよとか、好きなタイプはどんな人とか、中高時代と同じ可愛らしい話題に始まり、お酒が進めばR18の刺激的な内容も、、、！まだまだ21歳のヒヨッコだけど、大人になった分だけ、中高時代にはなかった生々しい話が聞けるようになった。自分の知らなかった世界を開けたりして、やだーとか言いながら楽しんじゃうわたしがいるの。

　でもね、最近思う。いちばん楽しかった恋バナって、修学旅行で夜更かししてた時の恋バナ、だったんじゃないかって。　

　修学旅行って、夜ご飯食べた後にちょっとだけ自由時間あるじゃない。でもその時はまだ恋バナしないの。みんなでトランプとかUNOとかやったり、枕投げ合ったり、まあ結構体を使う（？）遊びをしてるんだよね。

　消灯時間になったらみんな布団に入る。先生が見回りに来て、わたしたちが寝てるのを確認する。もちろんみんな目はばっちり冴えている。ちょっと息を止めながら耳を澄まして、先生の足音が遠ざかるのを待つ。

　先生がいなくなったら、みんなうつ伏せの姿勢で向かい合う。ああみんな起きてるね、そりゃそうだって笑い合う。いつ先生が来てもいいように、みんな頭の上まですっぽり布団をかぶってちょっぴりソワソワしている。誰が先陣を切るのかなって。

　今思い出そうとしても思い出せない、誰が恋バナを始めたのか。それくらいいつの間にか恋バナは始まってる。「じゃあ順番になんか喋ってこうね」なんて言われてさ、やばいわたし何もないんだけどーって焦ったりしちゃうの。芸能人で誰が好き、とかでもいいのー？

　「えー○○が好きだったのー？！」とか「○○に告白されてたのー？！」とか、みんなの秘密がどんどん明かされていく。修学旅行の夜だからかな、みんなちょっと開放的になっていて、普段なら口を割らなそうな女の子だって結構楽しそうに話してる。

　そのうちひとりふたりと寝ちゃう。みんな寝ちゃったねって笑ってくれる最後のひとりとだけ、少し深い話をする。いつもだったら話さない、だけど修学旅行だもん。秘密を共有したわたしたち。「明日起きられるかなあ」「いやもう今日だよ」なんてぼやきながら寄り添い合って寝る。

　見回りの先生だってわかってたはずなんだ。わたしたちが夜更かししながら恋バナしてるってこと。先生はどんな気持ちでいたんだろう？わたしが今感じてるみたいに、胸がきゅーっと切なくなってたんだろうか？あの頃好きだった子に想いを馳せたりしてたんだろうか？でも、きっと先生は大変すぎてそれどころじゃなかったね。

　みんなで夜更かししてるっていう連帯感と背徳感が、恋バナを一層盛り上げてくれていたのかもしれない。昔のわたしは健康優良児だったから、今日から明日に変わる瞬間を飛び越えるだけでワクワクしてた。しかもその瞬間に仲良しのみんながいて、全員漏れなく起きてニヤニヤしていて。ささやかなんだけど、ダメなことをみんなでやってる連帯感と背徳感が確かにあったんだ。その連帯感と背徳感がスパイスになって、教室の隅っこでする恋バナよりも、お酒を飲み交わしながらする恋バナよりも、刺激的なトキメキが生まれてたんじゃないかな。

　中高生の時はわからなかった、修学旅行に夜更かしして話す恋バナは最高だったんだね。お酒なんてなくっても最高だった。みんな今何してるのかなあ。あの頃の恋バナがいちばん楽しかったと思うけどさ、また集まったらお酒でも飲みながら恋バナしようね。うちら大人になったじゃーん！って笑いながらさ、てか今付き合ってる人とかいんの？って話そうね。

　

　6月は毎週試験があるのでnoteあんまり書けないかもしれない、想定問答投下しそうだけど。面接の練習も頑張ります。