"現代に必要不可欠な「別解力」"平尾丈「起業家の思考法」
読書メモ#22です。今回は、自分がウォッチし続けているYoutuberのマコなり社長自身が人生の師匠として崇めているという株式会社じげんの平尾丈さんの「起業家の思考法」の読書メモです。
正直じげんのことも平尾さんのことも全く知らなかったのですが、マコなり社長のYoutubeで紹介されていたのをきっかけにその場でポチりました。
内容がアツすぎて購入不可避
そんなこんなで読み始めた本でしたが、ここで述べられている「別解力」という力はビジネスではもちろん、広く人生においても適用可能な普遍性を備えている力のように感じたので、そのへんを掻い摘んでご説明できたらと思います。
0→1を生み出すような新規ビジネスを作り上げる仕事やベンチャー企業に務めている方はもちろん、フリーランスとして自分自身を売り込んでいるような人にも非常にこの「別解力」というものは重要な要素に感じますので、そのへんをお伝えできるようにまとめてみます。
正解が無価値な世の中で求められる別解力
「正解が無価値になる」っていう言葉で真っ先に山口周さんが思い浮かんでしまうのは私だけではないと思います。
もう世の中に解決すべき(かつお金になる)課題というものはほぼほぼ解決され尽くしており、その解決方法というものの多くがインターネットで無料で公開されてしまっていたりします。
そんな「正解」に価値がなくなってしまった世の中において全く新しい価値を世に提起することは非常に難しくなっています。成功法則としてノウハウ化されたものは一気に陳腐化し、他との差別化が難しくなる世の中です。
いや、差別化が難しくなるだけならまだしも、せっかく新しいサービスを立ち上げてもそのエッセンスを後発の大企業がその資本力と圧倒的スケールメリットを活かして一気に市場をかっさらうなんてこともよくあります。
昔は素人の拙いしゃべりとスマホ一発撮りでも支持されていたYoutubeに話術に長けた芸能人が潤沢な資金を投入して一気に市場を席巻するような構図に似ています。
とにもかくにもビジネスを成功させるには、世の中にまったくないような「目新しさ・新規性」だけではそのノウハウを抽出されて後発のプレーヤーに根こそぎ利益を持っていかれるリスクがあり、いかに周りが真似しづらいような「独自性」をビジネスの中に織り込んでいくかがカギになります。
そこで筆者が唱える「別解力」に至ります。
「自分らしく」「優れていて」「別な」やり方が"別解"
前段を一言でいうなら、「誰もやっていないかつマネしづらい打ち手」がビジネスの成功における根幹になり得る、ということになります。そしてそれこそが本書の主題である「別解」となります。
ではその別解とはどのように見つければいいのか、という考え方の指針を示したものが下の図になります。
別解を探すためには「自分らしいやり方」と「優れたやり方」と「別のやり方」を考え、それぞれを組み合わせることで別解が生まれると本書では語られます。
では、別解を見つけるためのそれぞれのやり方について見ていきたいと思います。
①優れたやり方
これはまさしく、「ノウハウ化された成功法則」と言えます。
他社より安く提供したり、高性能にしたり、と言った優等生的な解決策のことです。
例えばカフェで考えるなら、他のカフェより安い料金にしたり、あるいはよりラグジュアリーな空間にしたり、メニューを増やしたり、といった打ち手が考えられるでしょう。
それによって他との差別化が生まれ、より多くの顧客を獲得できる可能性があります。
しかし、このやり方は前段で散々述べたとおり他がマネしやすい方法なため永続的なビジネスの成功にはなり得ません。そのため、以下に続く別の観点を加えていく必要があります。
②自分らしいやり方
これはやっている自分が好きなことや得意なことを指します。
自分が時間を忘れて夢中になれることや、他人から能力を高く評価されている部分にフォーカスを当てます。
またカフェの例であげるなら、ギター好きがロックをコンセプトとしたカフェを立ち上げるようなことだと考えられます。このような要素を組み込むことで、自分の中のモチベーションが維持され、ビジネスの永続性が高まるという側面があります。
ここで重要なのが、得意なことに関してはあくまで「周囲からの声」を基にしなければならないという点です。好きなことは自分軸で考えることが可能ですが、得意なことには他人の視点が必要です。
得意なことというのは、いわば「自分が苦労せずに他人よりも高いアウトプットを出せる要素」で、周囲からの評価が重要であると述べられています。
つまり自分らしいやり方を見つけるためには、どんどんアウトプットして他からの評価を得なければならない、ということも同時に言われています。
③別のやり方
最後の要素が別のやり方、これはあえて固定観念を崩してみたり、優れたやり方の逆をしてみる、と言ったものです。
具体的には「普通はこうするけどそれをやらない」とか「普通はこんなもの無駄だけどあえてやる」と言った、合理性からは一見外れているような打ち手のことを言います。
スターバックスの実例をあげると、多くの喫茶店が導入している喫煙室を排除したり、席数が少なくなっても席間をゆったりと取るような空間設計にしたりと言ったことを行いました。また、ナイフやフォークを使うようなフードのメニューも昔はありませんでした。(今はケーキとかありますが、)
これらは創業者が掲げた「サードプレイス(第三の場所)」という考え方に基づいて設計された打ち手で、コーヒーの香りを阻害するタバコを排除し、ゆったりと寛げる空間をつくるための座席を設計し、ナイフやフォークのカチャカチャ音が立たないような、サンドイッチやマフィンなどのフードメニューに限定しました。
それによって、スターバックスという存在の唯一性が際立ち、ここまでの世界的な大成功に至ったと言われています。
まずは「自分らしく」「優れた」やり方からはじめよう
前述した3つのやり方が組み合わさった打ち手が「別解」となるわけですが、このようなものはなかなか見つかるものではありません。
そこで本書ではまず「自分らしく」「優れた」やり方からはじめてみることを推奨しています。
自分の好きなこと、得意なことを活かしながらその精度を愚直に高めていく。
プログラマーならより高度な設計ができるように、デザイナーならよりクオリティの高いデザインを制作できるようにまず努める。このこと自体の重要性は疑いの余地がありません。
しかし、これだけではどうしても「腕のいいプログラマー」や「上手なデザイナー」という市場の中で抜きん出ることが難しい。
そこで最後の要素「別のやり方」を探るという方針に至ります。
自分らしく優れたやり方をベースにしながらも、他にはマネできないような別のやり方を組み込む。
これは以前読書メモを書いた楠木健さんのベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」にも「戦略の中に一見非合理と思われる要素を織り込む」という考えにも非常に通じています。
自分の中ではこの本はストーリーとしての競争戦略のエッセンスをより端的にリビルドした内容のようにも思えていたりします。著者が意識したのかどうかはわからないものの、それだけここで書かれていることは普遍的で重要な内容なように感じました。
感想:人との関係性構築に寄与しない作業はしない、という宣言
別解へ至る3つの要素(やり方)のうち最もイメージがしづらいのがどうしても「別のやり方」だと思うのですが、ここは(一部として)「やらないこと決め」という意味に落とし込むと分かりやすいと思っています。
「ふつうはやること」の中からあえて一部をやらないでみる。
それを自分の中でどう活かそうか考えたときに思い浮かんだのが、ネット上にあるココナラなどの自分のスキルを販売するクラウドソーシングサービスの活用の見直しです。
副業として手軽で非常に良いサービスと思いますが、クライアントから依頼があってもどうしてもその場限りのビジネスライクでサービス的な関わり合いしか行うことができず、そこから継続的な関係性を構築することは難しい側面があります。
それも、コンペのような自分のスキル向上のためのトレーニングと割り切れる場合は良いかと思いますが、仕事とする場合そこで人と人との関係性が築けない機会損失は非常に大きいと感じます。
ココナラなどは典型ですが、「ロゴマーク制作」などと調べると単価数千円から受注するというクリエイターがゴロゴロ引っかかります。
そのような価格競争のラットレースに身を投じないための防御策は、人と人との感情のつながりの輪の大きさが重要といろんな人が言っていたりします。
安くて早くてそこそこのクオリティの顔の知らない人より、多少高くても気心知れた人のほうが仕事をお願いすることの安心感を鑑みた場合、費用対効果が後者がより優れていると考える人は一定数存在します。
そのような関係性構築がどうしてもしづらいクラウドソーシングサービスは自分の価値観には合わない気がしてしまっていました。
そのため、これまで何度か仕事を受注していたココナラはやめて新たなスキル販売方法を考えようかなぁとぼんやりとこの本を読んで思い至りました。
ココナラに変わって、自分のことを知り自分のことを指名してくれるような人から直接仕事を受注できるような仕組みを作れないかなぁと画策中です。
進捗あればこちらでもお知らせしようかと思います。
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@やました
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読んでいる本のメモをつぶやいています。
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