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200名を超える会社の忘年会を、オンラインでやってみた。今求められる社内コミュニケーションのつくりかたとは?

こんにちは、株式会社トーコンの前原です。採用と、社内外向けの広報がメインのお仕事なんですが、それ以外にもいろいろやっている人です。

今日は、先週・今週と社内で実行した「オンラインイベント」のことをお話したいと思います。

「オンライン」であること自体には意味がない

コロナ直後の春くらいは「とりあえず」オンラインイベントをやってみた!そんな情報がネット上では飛び交っていましたよね。あの当時は、オンラインイベントをやること自体がアドバンテージだったようにも思います。参加者も、新しいことにワクワクしていて受け取り方がポジティブだった。

今はどうでしょうか。「オンライン」であることだけでは真新しさはなく、むしろ「オンライン疲れ」などと言われるくらい、オンラインそれだけでの興味喚起は難しい状態。

また、東京商工会議所の調査では現在リモートワークを実施している企業の58%が「社内のコミュニケーション」が課題とこたえています。

この課題というのは、業務上に支障が発生しミスを誘発したり無駄が増え生産性が低下するなどのいわゆる実務面の課題と、従業員のメンタルヘルスの課題、この2つが大きいと感じています。前者は顕在化しやすいため注目されがちですが、後者についてはどうでしょうか。上司が部下の異変に気付いて対処するラインケアも、様子の微妙な変化を察知するには、必要事項を伝えあうだけの事務的な連絡ばかりでは早期発見は困難でしょう。たわいのないことを気軽に伝えあえる場を、果たして意図して作れているだろうか?

新しい働き方、組織と個人という歯車のかみ合わせをあらためて見極めながら、その潤滑油としてのインフォーマル(カジュアル)・コミュニケーションの「場作り」が必要ではないか?そんな風に思ったのが秋のことでした。

着目したのは「雑談」という機会

弊社は従業員が200名を超え、東京本社に加え仙台・名古屋・福岡に支社を持ちます。

緊急事態宣言中は全員在宅勤務へ移行。現在は出社率は全体の3割程度。また10年以上前からTALKNOTEという社内SNSを利用し、コロナ以降は会議やミーティングではZoomを利用してコミュニケーションをとっています。もともとかしこまったり形式ばったことよりも、カジュアル・フランクなコミュニケーションを好む社風で、TALKNOTEでも投稿・コメントはテキストだけでなく、漫画の1コマや顔文字なども満載。一見、とても社内のコミュニケーションは盛んに見えます。

しかしコロナ以降に入社した若手社員とZoomで面談を行っていた時、「普段仕事で接さない先輩たちの顔は全くわからないし距離感がすごいし絡めません」と真顔で言われ、あれ?うちって風通しが良い会社なんじゃなかったっけ?

冷静に考えると、月1回の全社会議など全社員がZoomでつながって行うイベントでも登壇者に加え行き交うチャットメッセージで目立つのは比較的ベテランの社員が多い。社内SNSの投稿は、部署ごとの部屋ではやり取りが盛んでも、トップ画面でのタイムラインは管理職の投稿が多い。うん、これは若手社員には「誰もが言いたいことを発言しやすい」状態とは言えないんじゃないか。・・・でも、コロナ前はどうだったか?

コロナ前はそこまでではなかったかもしれない。もう少し横断のコミュニケーションは若手にも届いていた。代表的なものが営業同行で、ベテランと若手が一緒にお客様先へ向かう道すがら自然に雑談する場面が多数あり、その中で仕事のことだけでなくプライベートも含んだ会話などで距離を縮め、「メンターって誰?どんな話をしてるの?」「ちゃんとご飯食べてる?」など衛生要因や生理的・安全欲求の充足などを確認していた。この半年ほどを振り返って、ここはごっそり無くなってしまっている。もしかしたら、他にもこうした「失われたコミュニケーションライン」が他にもあるのでは?

インフォーマルコミュニケーションの場づくりを意図的に行うことに決めた

こうした雑談の場は、組織の枠組みを超えたヘルプラインになったり、会社の意志決定の根底にある価値観の言語化につながっているという一面もあります。思えば、私が想起する「トーコンらしさ」とはそういう場に紐づいていたかもしれません。決して「雑談」を目的にするのではなく、組織力の一端を担っていた機会を見逃さないでいよう、そう考えたんです。

あらためて、そんな場づくりをしていくためにまず実験的に社内で堂々と「雑談が出来る場」を設定。12月2日の全社会議で告知。

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昼食をオンラインでつないで行うランチ会を3回、忘年会の代替としてオンライン飲みを1回。(ちなみに昨年の忘年会は工夫を凝らし、社員が参加して良かった忘年会として様々なメディアでもとりあげていただきました)

・・・やってみてわかったのは、「場」を作るだけではなく、「準備」と「仕掛け」が全てだということです。

まず、『準備』ですがこれはいわゆる『集客』です。あくまで弊社では強制ではなく任意の参加としました。弊社のもともとのカルチャーなどを鑑み、自らこうした機会を自分のものにすることで道が開けるという成功体験を積んでもらうためにも、強制参加はやめました。

社内SNSへ興味を引くような告知ビジュアルをUPしたり、中身を細かく告知し、忘年会については途中参加・離脱もしやすいように時間配分も提示。ただ雑談するだけではなく、何を、いつ、どんな風に話すのかを開示。ちなみにこの作成はcanvaにて行いました。デザインの素人でもそれっぽく作れちゃうから超おススメです。社内SNSは投稿後、いいねやコメントも自然発生を待たず個別に投稿を依頼したりもしました。

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『仕掛け』としては、ワクワク感の演出・醸成と、双方向性・1人1人がアクションすることで参加が出来る仕立てという2点を考えました。ワクワク感の演出としては忘年会はオープニングムービー(これもcanvaで制作)。かなり内輪のネタとなりますので、冒頭の一部分だけ下記からご覧いただけます。

双方向性・1人1人がアクションする、という点ではいきなりブレイクアウトルームで雑談スタート、となる前の1アクションが重要です。

ランチ会では社員が講師となりストレッチ体験。動画を見ながらみんなで椅子に座ってできるストレッチを一緒に声を出しながら実施、「痛い!」とか「あ、これいいかも~」など。忘年会ではGoogleフォームと画面共有を組み合わせ、クイズ大会。真面目な問題から、わけのわかならないくだらない問題まで幅広く出題し、みんなで声を出しながら「え~わかんない!」「どうだったけ~?」などワイワイ回答。

キャプチャ

※画面に映し出された問題を、冒頭にスマホで読み込んだGoogleフォームで回答していきます。

そこからブレイクアウトルームで少人数のおしゃべりへ。こちらは忘年会での1ルーム。忘年会は、2回のブレイクアウトルームを実施しましたが、最初はトークテーマを決めて「ペット」「健康づくり」「漫画」など好きなテーマを選んで部屋にわかれ、2回目は部署や職種もランダムな部屋割へ。

BOルーム (1)

実施後の検証から見えてきたこと

参加人数でいうと、ランチ会では、1回目20名、2回目5名、3回目6名。初日の人数が多いのは、完全に「仕掛け」の問題。企画をしっかり立てたストレッチの会が1回目、ここには予約が集まりましたが、それ以外の「リモートワークのコツ」「フリーテーマ」という2・3回目は振るわず。

忘年会は前日の全社会議で告知。ある程度人数がいないとサマにならない!社内SNSだけでなくメールもしたり、個別にメッセージで誘いを入れたりとあの手この手で告知。結果60名弱と、全従業員の1/3程度の参加となりました。

終了後のアンケートで、参加できなかった理由はダントツで、忙しかった。他の予定と被っていた(通常であれば参加をした)が75%。「興味が感じられなかった。意味が感じられなかった。」など否定的な意見は欠席者の17%程度にとどまり、一定のインフォーマルな場の需要はあることが感じられました。

「zoomとなるとハードルが高く、参加しても気を遣わせてしまいそうで勇気がでませんでした(入社5年未満・内勤)」「オンライン●●が今増えていますが人見知りにはなかなか参加する勇気が出ません(入社10年以上・営業)」など、オンラインに対する抵抗感、心理的なハードルを下げられなかった存在も一定数ありそうです。

参加者の声としては、概ね参加して良かったという声ばかりでした。

・最初は「知らない人が多くて盛り上がれるかな?」と躊躇する気持ちもありましたが、参加したら「あまり接点ない人と話すからこそ意味があるし楽しい!」と感じました!在宅で人と話す機会がかなり減っていたのでリフレッシュしましたしとても良い機会でした。(入社5-10年・内勤)

・とても楽しかったです!!少ない時間でしたが、お話しできた方と今後プライベートでもお話ししたいなと思いました!!(入社5年未満・営業)

・対面での忘年会で無かったため不安でしたし正直乗り気ではなかったです。しかし実際はとても楽しめました!シャッフルでのお喋りとても良かったです。大変だと思いますが、また楽しい企画よろしくお願い致します。(入社5年未満・内勤)

・地域が違う、部署が違う社員と交流ができるのは普段の仕事にも活かせそうだと思い、思った以上に楽しめました!!!!(入社10年以上・営業)

他にも「もっと職場で声掛けをしあえばよかった」「12月は忙しいから他の月だと参加率が上がるのでは」などの意見や、また子育て中の社員からは「子どもがお風呂入ったり寝る時間と被っていたから無理だった」という声もある一方で「早い時間だと食事と被るのでNG」という声もあり、すべての社員にとって大丈夫な開催は困難であるとも感じました(汗)

最後にまとめ

最後になりますが、私自身、むりやり全員にインフォーマルコミュニケーションを押し付けようとする気はさらさらありません。

「部署や地域という壁を超えて社内の人材というリソースを自在に活用できる」ということはトーコンという会社で働く上での特権であると私は考えています。そこをベテランや、一部の積極的な人だけのものにしたくないのです。若手やオンライン慣れしていないコミュニケーション弱者はいないだろうか?ある程度社歴で解決できたこれまでよりハードルは上がっています。日常の枠組みから、すこし勇気を出してあの人に相談してみよう、と一歩を踏み出せるかどうか。「オンラインでも自分から(心理的・物理的に)遠くの社員と繋がれる」と自信をつけてもらい自走を促す、これが重要。

今求められる社内コミュニケーションのつくりかた、でいうと「手法」の話になりがちです。そうではなく、「誰のための」・「何のために」行う社内コミュニケーションなのか。ここが全てではないでしょうか。弊社では上記のように考えアクションしてみたわけですが、1回で解決できる話ではないので、じっくり取り組んでいきたいと思います。

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採用と広報が私のミッションですが、EX=Employee Experience、従業員体験価値は欠かせない項目です。今の現場のリアルな実態、葛藤も失敗も含め体験であり、それを言語化し、且つ経営の方針とすり合わせながら次なる新たな体験の場を作っていく。この過程がスパイラル的にEXの向上につながっていくこと、そしてそれを発信していく。これが今の私の役割だと感じています。

2021年も、こんな想いで発信していきたいと思います。今年度お世話になった皆様ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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