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TOEFLやTOEICのスコアと実際のコミュニケーション能力の差を語ってみる

TOEICでよく言われるのが、実際の英語力を反映していないというものです。TOEFLでもやはり実際のコミュニケーション能力は反映しきれていない感覚があります。

何が違うのか、そのギャップはどうしたら消えるのかをリスニング中心に私の経験から伝えられたらと思います。
帰国子女、留学経験者など、試験対策やテクニックを使わず元から備わった英語力で点数をクリアしている人たちは、ギャップはないので対象外です。

まず初めに申し上げると、試験対策だろうとテクニックであろうと英語のリスニング能力が無いことはなく、聞き取りの基礎力はしっかりつきますので、この勉強をすることは非常に意味があります。

私が最初にシリコンバレーに赴任し打ちのめされた時は、この基礎力レベルで全く足りておらず通用しませんでした。

試験の英語と実際のコミュニケーションの違い
陸上部だった私が例えるならば、綺麗に整えられた400メートルトラックで行われる1500m走の記録を縮める(しかもレースではなくタイムトライアル)のと、クロスカントリー10キロのレース(しかもコースを知らない状態)で競い合うような違いです。もっというとトライアスロンのように別競技も入る感じです。
ちなみにTOEFLは競技で言えば3000m障害。ハードルや池を飛び越えます。

走力、心肺機能は強化されているので、走るのは早いのですが、でこぼこ道や坂道、道なき道を進む能力(というよりノウハウ)を持っていない状態といえます。

コミュニケーションの大半はnon verbal communication 
ある説によれば9割が非言語、いわゆるジェスチャーや表情などにより意思を伝えていると言われています。
英語のテストは言語の部分に特化していますので、10%しかカバーしていないといことになるんですよ。言われて見ればそうですが驚きますよね。
加えて、非言語部分はまさに文化の違いが出てくるところなので、ミスコミュニケーションが生じやすいです。日本人がうなずいているから同意したと思ったら、聞き置いたという程度だったとか、インド人がしきりに首を傾げたり、イヤイヤと首を振るので反対しているのかと思ったらYesという意味の所作だったとか。

これが意味するところは、非言語のコミュニケーション能力がある人は、言語のコミュニケーション能力の不足を補って意思疎通ができるということです。子供同士が言葉がほとんど通じないのに一緒に遊んでいるうちに仲良しになっているとか。
ただ、このnon verbalとverbalの比率はアカデミックの世界になると逆転し、verbalの比率が高まると言われています。
よって、大学院に留学するような人は、やはりverbal communicationの能力を高める必要があります。

実際のところギャップはどうなのか
私がデューク大学に留学した時、おそらく他の留学生に比べTOEFLの点は並以下だったと思います。基本的に高い人しか入れない学校ですから。
ただ、先生や他の生徒が話していることを聞き取る能力は比較的高かったと思います。それは、インドネシアに駐在した5年間の影響があると思います。8月に受けた準備コースの先生はインドネシアに交換留学の経験がある弁護士で、インドネシア語も話せる人でしたが、「君は聞き取れている、インドネシアの経験によるものだろう」と言われました。

会話はキャッチボールなので、相手が取りやすいところにボールを投げ、ボールが来るところを予測して構える繰り返しの行為です。
英語のリスニング試験は、何種類かの決まった軌道の玉を受け取る訓練を繰り返し、140キロ取れますとか、150キロいけましたとかやっている感じです。
交渉になると全然取れないところに豪速球を投げ込んできたり、見たこともないような変化球を投げてきますから、とにかく場慣れするしかないと思います。

大丈夫、慣れます。
コミュニケーション能力が、言語力というより慣れや経験の世界であるならば、その人の頭の良さやセンスとは関係なしに、慣れているかどうかが全てを決めるということになりますよね。
実際のところセンスの差はあれど誰でも経験すれば慣れます。

ただし、前提として基礎的な英語の聞き取り能力がないことにはどうにもなりません。

例えば、私が最初のシリコンバレー駐在で全く通用せず打ちのめされた時は、日本に戻る時点でもTOEICで750、リスニングが400とかだったと思います。
このレベルだと、アメリカだと厳しく、基礎力を上げるのに時間を取られる感じです。私もコミュニケーション力を強化するというより、英語力を上げることに時間を費やしました。

東南アジアであればそこまで行かなくても全然大丈夫だと思います。verbalとnon verbalを同時に上げていくプロセスをたどります。

まとめ
とにかく日本にいる間は、テクニックだろうがTOEIC/TOEFLの点数を上げることに注力して下さい。
留学先あるいは駐在先で英語が通用せず打ちひしがれることもありますが、場数を踏めば必ず慣れるので安心して下さい。


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