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スマトラ島の温泉をめぐる旅 14日目 天然記念物級の温泉に入る

今日はもう一度ソーダ温泉に入るのと、昨日行きそびれた温泉をまわる予定にしている。
朝日を浴びる石灰華ドーム

気温が低いので湯気が立ち昇るのが見える。


1.シポホロンの温泉を片っ端から見る

目が覚めると6時。外に出て散歩をする。
気温が低いせいか、石灰華ドームの丘全体が白い湯気をあげている。
幻想的な光景だ。

わたしは丘の上に登り町を見下ろした。
ここで湧き出た温泉が、複雑な水路を巡ってふもとの食堂と宿に分配されている。
通り沿いに200メートルくらい。教会からスタートし最後はカルニアホテルまで、ほぼ全ての場所に温泉を溜めたプールが見える。

とりあえず片っ端から覗いてみようと思い、良さそうなやつから始めた。

(1) エーデルワイズ温泉

ここは、宿泊したボリボリ温泉の隣にある。上から凄い湯船が見えたので、入ってみたいと思った。結論から言えば、ここの温泉がベスト。
シポホロンでどれか一つ入るのであればここをオススメする。

ドームから直接お湯が流れて落ちて来る

普通は天然記念物の真横に建造物をつくることはできないし、傷付けることもできない。
ここは多分天然記念物ではないし、保存対象にもなっていないので、こんなことが可能なのだろう。お湯を誘導するために溝まで掘っている。

インドネシアならではの特別な温泉を堪能した。
直接流れ落ちる割にはそこまで高温というわけではなく、普通に入れる温度なのも良い。

プールの底には石灰がつもっており、雪を踏みしめて歩くように、憧れの湯口に進んで行く。
湯船に浸かりながら間近で見るドームの壁は、細かいひだが無数に波打っていて美しい。

ここの個室風呂がまたすごい。
共同浴場でも滅多にお目にかかれないレベルの湯口。
加えてこの個室に限れば、壁際を引湯の水路が走っており、析出物が垂れ下がっている。
こんな贅沢な個室風呂は初めてだ。

壁を紫色に塗るのだけは賛同できない

これは盆栽と同じじゃないかと思った。
盆栽は山の中の風雪に耐えた老木や、自然が味のある姿形に変えた木を、自宅で楽しめるようにミニチュアで再現したものと聞いたことがある。
日本庭園も同じコンセプトだ。

そういう意味で言えば、湯船に浸かりながら石灰華ドームや析出物が織りなす自然の造形美を楽しむのは、盆栽を愛でるのに近い味わいがある。
しかもおそらくだが、時間をかければ自分好みの湯口の形に整えることは可能だ。どの湯口が美しいかの品評会もできるだろう。

他の温泉は、入らずプールと個室風呂を見させてもらった。
お湯は全て裏の石灰華ドームから湧出した温泉をホースや直掘り水路で持ってきており、高品質。

ボリボリ温泉の上のドーム上にも湯船が2つあり、朝であれば入れる温度だ。45度くらい。昼だと50度近くに感じる。
ただしここは温度調整のために意図的に設けた場所の可能性が高く、入るのは顰蹙かもしれない。

(2) ソーダ温泉リベンジならず

朝9時にオープンすると書いてあったので8時30頃到着するようにホテルを出発する。
タルトゥンの町の様子

ここの町は二つの川に囲まれた見渡す限りの平野の中にある。扇状地の地形だ。
中心地は川が削った段丘の上にあり、洪水が起きても問題ない場所に作られている。

ソーダ温泉
8:30前についたらもうたくさんの人が入っていて、駐車場もほぼ満車というありさま。
入浴客、というより温水プールと思って浮き輪で楽しんでいる客は歓声を上げている。
朝早いからか子供が少なめだからか、声は昼よりは幾分低い。

わたしは温泉に入り、声が途切れる1、2秒の間に炭酸が弾ける音を確かに聞いた。
チリチリチリチリと小さい鈴の音のような繊細な音だった。

これで満足しよう。
朝は昼より温泉感が増すのか、お湯の中でシャンプーしてそのまま潜って流す連中がたくさんいる。
彼らの場所は硫黄泉のように白濁している。

いつか彼らもやってはいけないことと気づいてくれるはずだ。
その時はゴミをそこら中に捨てる習慣も正して欲しい。

(3) タルトゥンの他の温泉

ベストと言える場所が見つかった。昨日も行った、温泉が集積している場所の一つだ。
Air Panas Hutabarat si Oppung
グーグルで比較的高評価(昨日のが1番、ここは2番)だったのが訪問した理由だ。
お湯のレベルについては、どこも自家源泉で湧き立てをそのまま投入している最高品質だが、ここは湯口が違う

まずは外観から。市営プールに来ましたという感じがする。

奥に長屋のように並ぶ赤屋根が個室風呂
源泉は左端の奥にある

個室風呂に向かって歩いているとき、ふとプールを見るとパイプの先がとんでもないことになっている。
目詰まりを起こしかけているので、そのうち取られてしまうかもしれない。

ここは普通じゃないと思いながら源泉を探す。
おそらくこれだろうという2本のパイプがあった。

そこから1番近い個室風呂を選び入ると、またもや湯口がすごいことになっている。

もっとも源泉に近い16番の個室の湯口
盆栽を愛でるように楽しむ

炭酸カルシウムの析出物は、今や浴槽のヘリをはみ出し、少しずつ面積を広げているようだ。氷河が海に流れ出した場面を想像した。

ちなみに源泉はこんな感じ。

源泉はポンプで汲み出し

少し離れたシポホロンの温泉

シポホロンのドームとは別の場所に温泉があるので行ってみた。
泉質が違うかもしれないと思ったのだ。

ここの泉質は他のカルシウム系ではなく、茶系統の温泉。

外観は寂れた遊園地のよう。

お湯はいまいち。投入が少なすぎるのだろう。
源泉をみたら地中からポンプでくみ出していた。

ここはあえて行かなくてもいいかもしれない。

2.パラパッに向け出発

ホテルを11時にチェックアウトした。
シボロボロンの街で今まで通って来た道を離れ、湖を北上していく。

途中バタック料理屋があったのでランチにする。豚肉料理。

柚子こしょうそっくりな味で驚く。写真右端の小皿にのっている。
わたしは日本にいた時から、肉に柚子こしょうを使うのが好きだったので、肉を堪能した。

バリゲの町を通る

  市場 指が入って申し訳ありません

ここからサモシール島に行くフェリーが出る。このあたりの町では一番大きい。

トイレに行きたくなったので、休憩がてらカフェに寄る。
豆の種類を選べる本格的なカフェ
わたしはタケンゴンで初めて飲んだ「ガヨワイン」にした。

Gayo wine coffee at Cafe Cantik Daijo

今日はまだ続きがあるのだが、明日にさせてもらう。

行けるところまでと思っていたら、パラパッまで来てしまい、しかも最後のフェリーに間に合った。

トゥトゥのホテルにチェックインしほっとしている。

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