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都立中高一貫校対策

2月3日は毎年東京では国公立中高一貫校の試験日である。

都立中高一貫校といえば、これまで大手進学塾eの一人勝ちだ。
その実態は一体どうなっているか。
ふつう公立中高一貫校対策といえば、適性検査専用テキストをもとに資料読取や理科実験の理系文系教材を解く。
だが、eはそれだけでなく、希望制にしてはいるもののあわよくば私立中同様のテキストも扱う。
本来適性検査の問題は学校で習った知識以上のものを必要とせず、「読めばわかる」問題であるが、それを私立同様知識を覚えさせるのは、
「あぁ、これみたことあるぞ、あの単元だね」と子供に即座に判断させたいからである。適性検査の問題は文章量があるので、処理能力が早いと得をすることがある。
さらに、eは、復習ノートを作らせ、自分のミスについて言語化させるのだが、この点を他塾よりも重視していることが成功の秘訣のひとつであると考えられる。
復習を言語化することは解いた問題の復習という意味だけではなく、「作文」の練習にもなる。
「なぜ間違えたのか?」「どこがおかしかったのか?」「どうやったら次間違えないのか?」を論理的に考えようとすることは小学生にとってあまり馴染みがない思考であるが、これこそ適性検査記述問題で求められている点でもある。
また、予想問題もよく研究されている。予想問題と言っても、年間通して数十パターンの問題を用意し、必ずどれかが出るほど数量をこなすことになる。おそらく、eは問題作成にかなりコストをかけているだろう。
このように、適性検査テキスト、私立中対策、復習ノート、予想問題を年間通して大量に子供に提示しつづけ、その情報処理を厭わない子を育てることで中高一貫校の合格率をあげている。
このやり方がよく考えられていると感心する反面、それによるデメリットも感ぜざるをえない。
eだけではないが、試験が近づけば、同様のパターンを仕込むために、
たとえば、作文では、要約意見具体例展望のワンパターンをしつこく学ばすことになる。
作文は減点方式である。バツにできないという解答に仕上げることで合格点を越える。その子なりの表現力は求められていない。構成が全てである。
これによって、受かった子はeっぽい作文を書くとして都立校で評判である。
答えをバツにはできないんですけど・・・としてなかなか承諾しきれない文章である。
表現力を捨て、点が獲れる方法を最優先にした結果である。
そしてその結果、点が獲れる子がどんどん受かっていく。
だが、それはeは完全に都立校の方針を知っているからこそ、この試験対策をとっているのだ。

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