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いだてんとともに駆け抜けよう!

NHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」が、すごくおもしろい。

大河ドラマっぽくないとか、視聴率が取れないなどのあまり良くない評判もちらほら見かけるけれど。いやいや。とにかくおもしろいから。たしかに大河ドラマっぽくなくて、朝ドラっぽい気もするけど。でも、大河ドラマっぽい。朝ドラっぽいってそもそもどういう定義かと考え始めるとぐるぐると悩んでしまうので、いったんわきに置く。

お話の構成が少しややこしいのだけれど、ひとつの時代が行ったり来たりする。ひとつは「日本で初めてオリンピックに参加した男の話」。もうひとつは「日本にオリンピックを招致した男の話」。

日本で初めてオリンピックに出場した「金栗四三(かなくり しそう)」さんの半生がいまのところ主軸の物語となっている。演じるのは六代目中村勘九郎さん。この、金栗氏がとても好青年で、とにかく応援したくなる。

小さいころは身体が弱くて、父親がうそをついたことでずっと負い目を感じている。海軍兵学校をめざすも、視力が悪くて入学できず。東京高等師範学校に入学しても、熊本の方言をばかにされたり。なんだかちょっと気の毒におもうほど。一緒に上京した美川秀信氏は東京の空気に染まり始めているのに、金栗氏は思うようになじめなかったんだろう。夏休みに熊本に帰省しても、熊本には自分の居場所がもうなくなってしまったようにも感じてしまう。憧れのマドンナはお見合いするというし。

そうして胸のうちにもやもやとした、わだかまり、とまではいかないまでもちょっとした違和感を感じ始めたところで、スポーツとしてマラソンに出会う。金栗氏にとって走ることは、ただ移動手段としてのものだけだった。それが、ただ、単純に「走ることを競う」マラソンというものがあると知ったのだ。おおまかだけれど、これが第三話までのお話。

故郷の家族や知人らの期待を背負い、自身の夢、みたいなものも懐にたずさえながら東京高等師範学校に就学するも、ぱっとしない。バカにされたり、田舎者あつかいされたり。かといって、田舎に帰省してみれば「東京の学校に行っているのだから」という期待のまなざし。弱音なんか、だれにも吐けやしない。

……なんだか、これって今の時代にも当てはまるんじゃないだろうか。大学進学や就職をきっかけに上京してみたものの、自分が思い描いていた理想なんて、あっというまに打ち砕かれてしまって。なんとなくずるずると暮らしてしまう。ああ、心当たりがあり過ぎて、胸が苦しい。

金栗氏はもやもやとした悩みを、自分の得意とする「マラソン」にぶつけていくのだろう。とはいえ、第四回の番組予告をみても、一筋縄ではいかなさそうだ。

大河ドラマをみる、ということは一年間も同じドラマを見る覚悟を決めなくちゃいけない。わたしにとっては、けっこう大変な覚悟だ。けれども「いだてん」は、見ているとじんわりとした笑いもある。よし、月曜日からがんばろうという気持ちも湧いてくる。2019年、どこかでつまずいてしまうこともあるかもしれないけれど、わたしは「いだてん」とともに、駆け抜けようと思うのだ。



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