会話のキャッチボールで生まれるものごと

ひとりでアイデアを考えて、あーでもない、こーでもないとぐるぐる回っていたことでも、誰かに聞いてもらうと、ぽんっと解決したり、新しい発想がうまれることがあります。

私の場合、ひとりで膨らませていたアイデアは、ばちんっと音を立てて、風船のように割れてしまったのですが、なんだか笑ってしまいました。

ことの発端は、私が物語のキッカケを考えていたところから始まります。

Twitterで「オオサンショウウオのチャームをゲットしました!」といったツイートが写真とともにタイムラインに流れてきたんです。そのオオサンショウウオはシルバーで作られたチャームで、かなり精巧に作り上げられていていました。すごいなー、と思いながらお風呂に入りました。私はわりと爬虫類やら両生類が好きなので、お風呂の中でオオサンショウウオに似た生物は海にいないな、とか、両生類は海では生きられないけれど(一部海水と淡水の混ざった汽水域で生息している種はいるようです)ウミサンショウウオっていう架空の生物がでてくるお話はどうかな? とか。あれこれ妄想をふくらませていたんです。

お風呂から上がって、夫に「海にサンショウウオがいたら、どう思う? 気持ち悪い?」と質問してみました。夫は幼少期の愛読書が生物図鑑、というほど生き物好きなので、どう思うかな? と。

夫は「たしかに、海にサンショウウオみたいな生き物はいないね。イザリウオとかが、形としては似てるかもしれないけど」と答えてくれました。そこで、私はお風呂で思いついた物語の種を、ちょっと「どう思う?」といいながら夫に話しだしたんです。

それは、こんなお話です。

海に釣り、または地引網にいって不思議な魚をみつける。なんとなく気味が悪いけれど、妙に気になって家で飼うことに決め、バケツに入れて連れて帰る。その不思議な魚は何やら力をもっていて、身の回りで奇妙なことが起こり始める……。

このあたりまで話したとき、ふと、気が付いたんです。

「これって、完全に崖の上のポニョだね!」

いや、本当に、夫に話す前はなんとも思っていなかったんです。自分でおもいついたつもりでいました。けれど、このお話の流れは宮崎駿監督の名作「崖の上のポニョ」ですよね。

急におかしくなってきて、夫と二人で大笑いしてしまいました。思いついた! と思っても、実は潜在意識の中に埋もれていたからでてきたのかな? と。でも、夫は「海で不思議な魚をみつけて育てる話は、完全に崖の上のポニョだけど、何か不思議な生き物を育てる、っていうのは普遍的じゃない?」と言い出したんです。

かぐや姫にしても、桃太郎にしても。光る竹の中や桃の中といった不思議な場所から生まれた生物(人間?)を育てることで、お話が展開していきますよね。

だから、海で見つけるのは、おそらくアウトだけど、どこか突拍子もない場所で出会った生き物っていうのはあり得るんじゃない? とあれやこれやと話が進んでいきました。

夫と話をしていなくても、なんとなく思い浮かんだお話は「崖の上のポニョ」だと遅かれ早かれ気が付いたでしょう。

ですが、会話をしていくなかで「不思議な場所で出会った、得体のしれない生物がつくりだすお話」はある程度パターンとして存在しているし、かたちを変えてみればまた目新しくなるんじゃないのか? ということに気が付きました。

会話のキャッチボールから生まれる、新しい可能性はたくさんありました。もちろん、まだまだ種の段階ですし芽が出ないもののほうが多いと思います。

ですが、ひとりであれこれ考えてみるのも、もちろん大切です。でも思い切って、ぽーんと一旦投げてみると、思いがけない答えが戻ってきたりして、おもしろいかもしれませんね。

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