見出し画像

南座の新開場が待ち遠しい

「え? 移転?」

先週、実家に帰ったときのこと。

私の実家は大阪にある。けれど、新幹線では必ず京都で下車をする。

時間があるときは、京都の街を歩いてから帰ることにしている。

地下鉄の四条駅から、京阪の祇園四条まで大きなデパートが並ぶ四条通りを歩いて、鴨川の流れを見るのが大好きだ。

地下鉄四条駅から、京阪祇園四条駅までは、観光客も多く歩きにくいのだけれど、大した距離ではない。ただ、それだとしても一度休憩のために立ち寄りたい甘味処があった。

それは虎屋京都四条店だった。京都にまで来て虎屋さんに行くなんて、どうかしているような気もする。京都にはたくさんの甘味処があるし、お抹茶をふんだんに使用したメニューを取り揃えた茶寮もある。イノダコーヒーとか六曜社とか昔から愛されている喫茶店もたくさんある。

ただ、虎屋京都四条店は一階が店舗、二階が喫茶室になっていて、階段を登っていくと絨毯敷きのフロアがあり、お部屋の奥にはステンドグラスが飾られていた。ステンドグラスに思い入れがあるとか、そういったことではないのだけれど、とても落ち着く空間だった。

しかし、だ。

ここ最近実家に帰省していても、京都に足を運んでいる時間がなかった。そのため、全然知らなかったのだ。虎屋さんが移転するということを。

しかも、だ。

その移転先は「南座」と張り紙に書かれていた。

京都南座は、子供の頃の私にとって怖い場所だった。

足を踏み入れたことはないのだけれど、南座の前には観劇や歌舞伎見物にいらっしゃった奥様連中がたくさんいらっしゃって、あまり近づかない方が良い、というかなり勝手な印象を持っていた。待ち合わせ場所として「南座の四条通り側で」というのが多かったのだろうと、今ならわかるのだけれど。

しかし、四十歳近くなり、最近では「歌舞伎を学びたい」と歌舞伎講座にまで通っているのだから、南座を怖がっていた子供のころの私が知ったらどう思うだろうか?

現在南座は改築中で、2018年11月1日に新開場する。

京阪四条駅の南座に直結した出口は、南座改築のため閉鎖されていたのだけれど、最近通れるようになったらしい。階段の途中に、サムネイルであげている「松竹株式会社 南座」の看板が掲げられていた。事務所なのか、扉がついていたけれどまだ中は工事中だった。

虎屋さんの移転も南座が装いを新たにするひとつの流れなのだ。

11月からの顔見世興行は大変盛り上がるに違いない。

四条大橋を渡り、外観はすでにぴかぴかと輝きを放つ京都四條南座は、町の顔だといっても大げさではないのだろう。歴史のある町の中で、南座のルーツは江戸時代初期にさかのぼり400年の歴史がある。室町時代から続いてます、というお店も周りにはあるのだから、年月の古さを競うだけでは太刀打ちできないかもしれない。しかし、娯楽の場として、人々の楽しみを支える場としての歴史は素晴らしいものだろう。

瓦にも「南座」と彫られている。細部までこだわりを感じる。ちなみにこれは四条通り側の正面ではなく川端通り沿いから撮影したもの。

11月の新開場で披露される歌舞伎を見物しには行けないけれど、この先新しくなった南座へと足を運ぶのはもちろんのこと、新しい虎屋さんでお茶を飲めるのがとっても楽しみである。


この記事が参加している募集

#コンテンツ会議

30,729件

最後まで読んでいただきまして、ありがとうござます。 スキやフォローしてくださると、とてもうれしいです。