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まだ中学生、二人暮らし。

「もう中学生、じゃなくって、『まだ中学生』だよね。おれたちの会話って」

そのセリフを聞いて、つい笑ってしまった。夫よ、いつになく、上手いこと言うじゃないか。

結婚して十年。わたしと夫。プラスねこ一匹で暮らしている。子どもはいない。

わたしと夫は、別々の時期だけれど、職場のストレスでうつ病を経験している。ふたりとも今では通院していないけれど、ときどきズシーンと気持ちが沈み込むこともある。気候だったり、ちょっとした寝不足が続くとそちらに傾きやすいので、できる限りのストレスは避けていこうと決めて暮らしている。

「自分のやりたいことをする」というのが、夫婦の暗黙のルールのようになっている。そのため、それぞれの休日にはお互い好きなことをしている。夫はここ最近ずっと釣りに行っているし、わたしは家に引きこもって小説を書いている。

夫との会話は、結構な確率で「アニメ」の話が多い。ふたりともオタクとは言えないけれど、アニメを見るのが好きだ。7月末に「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」のアニメが終わってしまった時は、ふたりともすごくがっかりした。半年以上楽しみにしていたアニメが終わってしまうと、二人はとてもがっかりする。6月には「からくりサーカス」が同じく半年以上の放送に幕を下ろしていた。(ジョジョ5部とからくりサーカスは、同じ時期からテレビアニメが放送されていた)

ふたりともどちらの作品も原作を未読のため、「あー来週どうなるんやろう!」と結構真剣に議論し合っていた。ふたりとも「ブチャラティはかっこいい。ブチャラティについていきたい」という結論になり、いったん話は終了する。そうしてまた次の放送回を見ては、「トゥールルルルル」とドッピオの声マネをして、平和に暮らしていた。

最近では「HUNTER✖️HUNTER」の何度目かわからない再放送がされているので、録画をしてみるのが毎週の楽しみになっている。

こうして書き出すとすっごくくだらない。でも、くだらないけれど、多分これが夫とどうにか暮らしていける理由なんだろうなと、最近になってようやく気がついた。

家事もいい加減にしかやらない。平日の夕飯なんかは仕事で疲れすぎて、わたしは食欲がわかない時も多く、ほとんど食べずにやり過ごす。だからと言って夫は自分で作って食べているし、わたしが作らないことに何も文句は言わない。

わたしが帰宅して開口一番に伝えてくるのは「ヒソカって怖いよなあ」とか、そんなことばっかりだ。

出来のいい夫というわけではなく、洋服なんかはそこら中に脱ぎ散らかしているので、わたしが拾って洗濯機に入れる。洗濯は洗濯機がしてくれるから実質的にわたしは洗濯物を毎朝干している。

ただ、わたしも夫に向かって「ジョジョの最終回とその前の数話は、オープニングの歌の作りがいつもと違ってて、凝った作りになっているから早送りしてみたらもったいない。4部もそうやったやん!」などと興奮気味に説明していた。

どちらもお互い様なのだ。お互いに、好きなように、気楽に、ねこのご機嫌をとって暮らすのが楽だというだけだ。どれだけ歳を重ねて、きちんと納税したりとか期日前投票に行くようになっても、精神的にはふたりとも「まだ中学生」くらいのところで止まってるのだろう。

同じ目線だと気楽だし、夫婦なんて、そのくらいでちょうどいいのだと思う。






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