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柿取ればカラス鳴くなり山むこう

遠くに見えていたものを手にしたとき。自分が思い描いていたものとはすこし違っていたりする。

がっかりしたり、思ったよりも良くてほっとしたり。

難しい話でもなんでもなくって、日曜日におこなった柿の収穫についての話だ。

雨予報だった日曜日が、ありがたいことに曇り空に変わった。ぽつりぽつりと頬にあたるものもあったけれど、とりあえず気にしていられない。

わが家の柿は、今年100個ほど実を付けた。ひとつずつ数えたわけじゃないので、正確な数は分からないのだけれど。

いまのところ、お隣さんやご近所の4件に10個前後、おすそ分けした。10個近くは我が家でたべた。そして、20個近くは木の上で熟したり、自然に落っこちて、カラスや野鳥(夫はメジロとヒヨドリを見かけたらしい)ハクビシンの食事として利用されている。

のこり30~40個近く、まだ青みの残っている柿の実が木に成っている。それらはまだ、もう少し木で熟してから取ることにした。一度にとっても、結局食べきれない。離れた家族に宅急便で送るほどのおいしさ、ともいいがたいし。

たか枝切りばさみで、狙いを定めて柿の実を収穫したのだけれど、これが思いのほか難しかった。

柿の木は家と家のあいだに植わっているため、実の熟成度合が分かりづらいのである。

下から見上げて、「あれはけっこうオレンジの色濃いよね?」と夫と相談しながら取っていった。高い場所にあった柿の実をいざ手元にすると「……これまだ取るの早かったね」と首をかしげるばかり。

これは! と思う実ももちろんある。けれど、収穫してみるとカラスがつついた跡がある。下から見上げているだけだと、柿の実の死角になっている箇所があって、見落としてしまっている。

この実をとってしまうと、とたんにカラスがギャーギャーさわぐ。「おめー、それはオレの取り分だろうが!」といったところだろう。それならもっと早めに教えてほしい。

まだ木に残っている柿の実も、人間が全部食べきれやしないので、カラスたちと分けっこしよう。

それにしても、熟れて美味しそうな柿の実は、意外と落ちやすい。さるかに合戦で、カニは猿にお願いなんかしないで、うすドンに頼んで木を揺らしてもらって、美味しく熟れた柿の実を落としてもらえばよかったのになあ。




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