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体は全部知っている

ここ最近、夫を観察していると「体は全部知っている」という吉本ばななさんの小説のタイトルがものすごくしっくりきた。まさにその通りとしか言いようがない。

今年に入ってから、夫はずっと体調を崩していた。とは言っても見た目は元気だし、仕事を休んでいたわけでもない。食欲はあるものの、ずーっとお腹を壊していた。食べるとすぐにお腹が痛くなって、トイレに駆け込む。

そのくり返しもつらいといって、雑炊とかゼリーといった食事しかとれない日々だった。

年末にはわたしがウイルス性胃腸炎を発症していたし、もしかしたら夫も同じ症状で長引いているだけかなあ? あまり長引くと脱水症状にもなりかねないし病院行ったほうが良いんじゃないの? と何度も話し合っていた。

夫はめんどくさがりながらも、三連休が終わっても調子が悪ければ病院に行くと答えてくれた。本人も食欲はあるし、お腹はすくのに食べられないというのが辛くなってきたのだろう。

しかし、夫の不調はある日を境にぱたりと治まった。その日は、「小型船舶2級の学科講習」の日だった。

ここ最近わたしのnoteを読んでくださっている人にはおなじみの話題であるが、夫は小型船舶2級の資格を取るべく勉強中である。

一月末に試験があるのだけれど、そのまえに「学科講習」と「実技講習」を受講する予定が組まれていた。そして、「学科講習」は1月12日に開催されたのだ。

どうやら夫は勉強するのがあまりにも嫌で、精神的な負担だけでなく身体にも影響が出ていたらしい。過敏性大腸炎(もどき)になっていて、ずっとお腹を壊していたのだろう。

学科講習を受けたのち、過去問をいくつか解いていると試験合格ラインはクリアしていることがほとんどだという。それに気が付いてから、夫のお腹の不調はぱたりと治まった。

あまりにも分かりやすくて、夫自身は笑っていたけれど、わたしは感心してしまった。ストレスがここまで身体に直結していて、反応しているなんて。

「大丈夫、なんてことないよ」と心では無理していたとしても、体は全部知っている。反応してしまうのだ。

試験直前になって、またお腹を壊さなければいいなと思う。けれど、正直な夫の身体はどうなることか分からない。

わたしにできることは勉強の応援と手伝いくらい。なんとなくわたしも覚えてしまっているので、替え玉試験を受けたら合格するかもしれないけれど、まあそれは無理な話だ。

相変わらず夫は独特な勉強法を繰り返している。最近では「くいだおれ人形の帽子みたいなマークの場合」とぶつぶつ言っていた。くいだおれ人形の帽子のマークって……。普通に赤と白のシマシマじゃだめなのだろうか。余計に覚えられない気がするけれど、本人としてはそれでいいらしい。

試験の日が終わるまでに、吉本ばななさんの「体は全部知っている」を読み直そう。そうこうしているうちに、夫の試験は終わっているだろう。



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