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誰だって、居場所が欲しい。

いつも、最新刊が発売されるのを心待ちにしているマンガがあります。

それは、ご存知の方も多いと思いますが「三月のライオン」羽海野チカさんが描かれているものです。今年の春には神木隆之介さんが主人公を演じた実写映画も話題になりましたよね。

最新刊となる13巻が先日発売になったので、ウキウキしながら手に取りました。

いやあ、もう、どうなるの? と、読んでいるこちらがモジモジしてしまうような大人の恋の話もあれば、三月のライオンが世界観を描いている息が詰まるような将棋の対局シーンもありました。

三月のライオンを読んでいると、本当にいつも勇気づけられるんです。

今回、特に何度も読み返したくなるシーンが、二つあったので紹介したのですが、もしかしたら少しネタバレになってしまうかもしれません。(すみません)

ひとつは主人公の桐山零くんが、自分自身の将棋に対する感情について。

嫉妬なんてしている場合じゃない。強くならなければ、相手の目に入れないだけだと、気持ちを強く持つシーンがあるんです。このシーンを読んだときにズシンと心に響きました。

プロ棋士として、先を越されてしまったライバルに負けないためにも、気持ちを強く持つと、決意するシーンなのですが、これは、本当に誰にだって言えることだなあ……と考えてしまいました。

嫉妬なんてしている場合じゃないんですよね。本当に。あの人ばっかり上手くいっててずるい。羨ましい。そう思ってしまうのは当たり前だし、私もすごくそんな風に考えてしまうことがあります。

だけど。

それって、ただ単に、自分がダメなだけなんですよね。

嫉妬の対象の「あの人」が、どれほど頑張っていたか知ってるのか? それに比べて、私はどこかで手を抜いたんじゃないのか。忙しいから、とか、時間がなくて、とか。言い訳をして、自分には甘い処遇を与えていたんじゃないのか。

もちろん、運やタイミングなんていうのもあると思います。でも「運も実力のうち」って言いますもんね。あのときはタイミングが悪かった、って思うのは簡単ですけれど、じゃあ、どのタイミングなら良かったの? どのタイミングなら結果を出せるつもりなの? と自分自身に問いかけてみても、多分答えは出ないんだと思います。

言い訳しない。嫉妬しない。地道にがんばりつづける。

そこだけにしか道はないんだよな、とその描かれたシーンを読んで気持ちを引き締めさせられました。

もうひとつ、印象的なシーンを紹介させて欲しいのですが、なんだか読んでいて辛い気持ちになりました。ずっと、悪者のまま演じていて欲しかった……。と思う反面、「ああ、この人もずっと居場所を探し求めていたんだな」とギュッと抱きしめてあげたくなりました。

主人公の桐山零くんは、幼いころに家族を亡くしていて、プロ棋士の師匠のお宅で弟子として、その家族と一緒に暮らしていたんですね。そして、そこにはやはり棋士を目指す二人の子ども達がいたんです。零にばかり目をかける父。娘の香子という自分の家なのに、父親に認めてもらえない。そして、自分の家に居場所をなくしてしまったのだと思います。そして、香子は、やはり嫉妬からくる感情で零に対して嫌がらせのようなこともしていたのですが……。

ただ、居場所が欲しかっただけなのかもしれませんが、彼女が選んだ道も、辛く悲しいものだったんだと思います。いや、もし彼女がそばにいても友達にはなれないと思うし、多分苦手なタイプなのですけれど。それでも、今回、彼女の涙を見てしまうと、ギュッと抱きしめてあげたくなるような気持ちになりました。自分の居場所を探し出すのは、本当に難しいんだと思います。自分が目指している場所は、一体どこにあるのか? 香子はわからないまま彷徨っているんだろうなと感じました。

ああ、それにしても! 

早く続きが読みたくてしかたありません!



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