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イヌになったり、ネコになったり。

「今年は雪、積もりますかねー?」
ちょうど1週間前に何気なく社長と話していたばかりなのに。いやはや。
関東地方はすっかり雪景色。

帰宅が集中しているため、ラッシュになっている電車の中では、小学生たちも乗車していた。
「めっちゃキレイーー!」
「ヤベー、真っ白じゃね?」
子供たちは、窓辺に張り付いてすぐに曇ってしまうガラスを手のひらで拭いてみては、きゃっきゃ、きゃっきゃ嬉しそう。
周りにいる大人たちは、ガラスが曇っていることにすら気づかない。遅延のアナウンスに少しいらいらしながらも、スマホを見たりうつむいて誰とも目線を合わせないように、やり過ごしている。

子どもの頃ならば、普段とは違う街の景色にこころをときめかせていたはずなのに。
「雪は積もると厄介だなぁ。明日仕事行けるかなあ」と、ウンザリした気持ちになってしまう。

イヌや子どもたちは降り積もった雪に大はしゃぎしながら、外で走り回ったり、雪遊びを楽しんで。
ネコや大人たちは、雪かきの重労働や、溶けてぐちゃぐちゃと足元が悪くなることにため息をつきながらコタツに入ってる。

子どもたちみたいに、きゃっきゃと楽しむことはできないけれど。暖かくした家の中から窓辺に近づいて「ねぇ! 何かどんどん振ってくるよ?」と、えんえんと落ちてくる雪を不思議そうに眺めるネコを抱っこする。

家から一歩も外に出なくていいのなら。
ぱたぱたと降り積もる雪を、ぽやーんと眺めていられるのに。いつも見る景色が少しずつ変わっていく様を、ちょっとばかり心を躍らせながら眺められるのにな。

ベランダに積もった雪の上に、ぴたっと肉球を乗せてあげたとき、まん丸になったネコの目を思い出しては にやりとする。私の心に住まうイヌがブンブンと尻尾を振った。

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