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【観劇レポ】「音楽舞踊劇 新選組・土方歳三」

新選組をご存知だろうか。
その新選組の鬼の副長、土方歳三をご存知だろうか。

歴史の教科書や表舞台にはほとんど出てこないのにこんなに有名なのは新選組と源義経くらいでしょうかね。
教科書には載らないけれど日本人が心のどこかで気になってしまう彼ら。そんな彼らの生き様を題材にした作品が数多く生み出されています。
今日はそんな作品のひとつ。先日観劇した「音楽舞踊劇 新選組・土方歳三」の話を。

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音楽舞踊劇?
正直わたし自身も観るまでどんなものか想像すらできなかったのです。

出演者は
音楽と演奏には国内外で大活躍の三味線演奏:上妻宏光さん
語りと歌唱はのびやかで色気のある声で有名な元THE BOOMのボーカリスト:宮沢和史さん
舞踊は日本的な要素を用いることも多い唯一無二の世界観を持つダンスカンパニー:DAZZLEから長谷川達也さん、金田健宏さん、荒井信二さん、高田秀文さん

演出・脚本:白鳥祐司さん、キーボード:野崎洋一さん

上妻さんの三味線が奏でる音楽に宮沢さんの声が響きDAZZLEが踊る。
そんな新選組表現。一体どうなるのだ。。。

舞台の幕が上がります。
スポットライトに照らされ座る上妻さん、宮沢さん、杉本さん。
おもむろに鳴り響く音、語られる情景は元治元年6月5日の池田屋。
DAZZLEの4人が舞い始めます。

お芝居ではありません。
聞こえるのは三味線とキーボードの音色と宮沢さんの声のみ。
舞台上で動いているのは四人。
戦いそのものを直接的に表してはいません。彼らは舞っていました。
けれど、私の目の前には池田屋の戦いがまざまざと描き出されていました。
敵味方が入り乱れるのが見える。窮地に陥った緊張感、そして仲間の存在を感じた背中。
こんな表現を見たことがない。なんと言葉にすればいいのか。

基本的に舞台の上には上妻さん、宮沢さん、杉本さんの三人。
我妻さん、杉本さんの音楽が奏でられる中、歴史的な事実はDAZZLE長谷川達也さんがナレーションを担当し、新選組にかかわる史実、信条表現は宮沢さんが語るという形で物語は進み、新選組の結成や重要な戦いのシーンなどの要所でDAZZLEがダンスの表現を加えるという作品の構成。

シンプルにそぎ落とされた舞台構成。
それなのに舞台の上には間違いなく土方歳三その人が存在し、その静かながら確固とした足音が聞こえる。

音も声も舞も決して荒立つことはなく、しかし内包される強さや激しさがひたひたと増すことが感じられる。
静謐の中で積み重なり張りつめていく空気は日本人にしか表現できないものではないだろうか。

私はこの作品を観て自らの中の日本人性を強く意識した。決して日本人以外の方を排除するつもりはないが、海外の方にも見ていただきたい作品ではあるものの、現代を生きる日本人にこそこの作品を観てほしいと強く強く願う。

そして、一度でも新選組が好きだと思った人にも。
京都に向かう頃から函館での最期まで。新選組土方歳三の生きざまが語られます。
我々は少なからず彼の行く先に待つ悲しい結末を知っている。知っているからこそ、その時々のきらめきを、揺れる心を、その先に固めた決意を、見逃すことなく感じることができる。

この作品にこれ以上ふさわしい出演者はもう集まらないだろう。

どうか見てほしい。

土方歳三没後150年を記念したこの作品。
来年5月11日までの150年目の間はまだまだ繰り返し上演してほしいと個人的には願っているものの、現状決まっている公演は今週末
2019年10月12日(土)のみ。

少しでも気になった方はぜひ足を運んでいただきたい。

チケット情報はこちら。残りわずかのようです。

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会場で上妻さんのCDを買ったらサイン色紙までいただきました。


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