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『モーツァルト‥‥―オレは誰だ!!―』【#まどか観劇記録2020 6/60】

個性の強い作品でした(笑)。

あらすじ
音楽の天才モーツァルト。天才の名をほしいままにする彼の生き様と苦悩を描く。同時代を生きるもう一人の天才ゲーテは、モーツァルトの音楽を聞き、そのあまりの魅力に彼をこのままにしておけないと大魔王サタンを呼び出し、モーツァルトを滅ぼすことを決意する。奔放に生きるモーツァルトに対して恨みをいだくマリー・アントワネット、ベートーヴェン、父レオポルト、ルイ15世と共にゲーテはサタンを呼び出そうとするが…。

作品を観に行って、それまで名前も知らなかった人(すみません)に興味を惹かれて目を離せなくなることはないでしょうか。
DIAMOND☆DOGSの東山義久さんがモーツァルトを、PaniCrewの植木 豪さんがゲーテを務めた『モーツァルト‥‥―オレは誰だ!!―』はまさにそんな出会いの多い作品でした。

そもそも作・演出・振付の上田遥さんからして個性が強すぎる(笑)。
とにかく最初の印象はキャラが濃すぎる…!というものでした。幕が開いた瞬間から今まで想像だにしなかったモーツァルトがいてぽかん。。。今までさまざまに表現されてきたモーツァルト像が頭にあった私は「―オレは誰だ!!―ならぬ君は誰だ!?」状態でした(笑)。

最初こそあっけにとられたものの、随所にちりばめられる笑いの要素や何をおいても素晴らしいダンスの数々にあっという間にフィナーレを迎えていました。

そう。ダンスが見たくて来たんだった。

一般的に考えられているダンサーの絶頂期は何歳くらいでしょうか。20代?30代?

主演の東山義久さんと、ゲーテ役の植木豪さんはそれぞれ43歳と44歳。(見た目年齢は10歳以上若く見えますが)彼らが踊るのを見ると年齢なんて関係ないんじゃないかと思うほどでした。年齢を重ねるからこそできる表現の幅や、魅せ方の工夫、舞台慣れしているからこそのとっさの判断など、見ていて安心感がありました。特に東山さんの色気と、月光の音楽に合わせた植木さんの”静かなる”パワームーブは圧巻でした。
対し、10代のはつらつとした若者もいました。木村咲哉さん。東山さんとの共演経験もあり、ダンスでの受賞歴も多数とのこと。のびやかで堂々としたダンスが印象的でした。

身体表現ということで素人はどうしても年齢に制限があるのでは、表現の面で経験が必要では、なんて余計なことを考えてしまいますが、10代から40代までの幅広い年代(そしてジャンルもバラバラ)アーティストが集うこの作品で、ダンスの果てしなさを感じたのでした。

冒頭の話に戻りましょう。
作品は時として、新しい出会いを連れてきてくれます。東山義久と植木豪の名前に惹かれたこの作品で私が強く興味をひかれたのは、ミューズ役の中西彩加さんとサタン役の長澤風海さん。

中西彩加さんは、まず美しすぎるスタイルが目に止まりました。あんなにまっすぐでしなやかな脚はなかなか見たことない。そんな抜群のスタイルで様々なジャンルのダンスを踊りこなし、なかでも、ミューズとして舞ったワンシーンは特に美しかった。役柄もあるとはいえ、ポジティブなオーラも素敵でした。

そして長澤風海さん。有名なバレエダンサーでいらっしゃるんですね。サタンは物語のクライマックスになってからしか登場せず、なんだこの人のダンスは…!と絶句しているうちに終わってしまったのですが、なんて贅沢な長澤風海の使い方。。。重力を操れるのではないかとうたがいたくなるほどの静かで高い跳躍、そしてまったくぶれない身体、指先の動きだけで観客の視線をコントロールする。まさに大魔王サタンのようにシーンを支配し、劇場を支配した迫力でした。

次はこの人みたいなという出会いがあるとうれしいですよね。それでどんどん見たいものが増えて追いつかなくなるのですが(笑)。

もう明日(2/14 14時~)が千秋楽です。
ダンスが好きな方はぜひ。

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