にんじんの皮むきに見た人類の闘い
人も生き物である以上、何か食わねば生きて行けない。
そして人類が誕生してから長い歴史の中で“料理”という概念が生まれ、
我々は“食べる”という行為に楽しさを見出せるようになった。
まさに、見た目、香り、味覚という要素で一度に3回楽しむことができる偉大な発明である。
すごいぞ人類。
しかし、料理には自分のような料理原人が最初にハマる落とし穴がある。
それこそが、皮むきや種を取り除くといった食材の前処理である。
この前処理をいかに(ズボラでも)素早く、可食部分の無駄を出さずに済ませることができるか。
今回はにんじんの皮むきに感じた、ズボラさを追い求める人類の技術について綴ろうと思う。
1.にんじんを手に取るまで
先にも述べたとおり、自分は料理するという行為を今までサボってきた人間である。
自炊すっか、と思って作るのは、
キャベツ・玉ねぎ・肉(ソーセージ)を使った以下のものくらいである。
炒め物
麺つゆで全部いっしょくたに煮た、自称シメのうどん
うまかっちゃんぽんめん
※うまかっちゃんとは・・・素晴らしい食べ物である。
https://housefoods.jp/products/special/umakachan/index.html
煮る・焼くで解決できる料理とコンビニ弁当で命を繋いでいる。
いわば、料理原人である。
こんな原人でも、この家で過ごす時間が増えた機会を利用して、
何か新たな風を吹かせたいと思ってしまったのである。
緑、白、茶色で構成された食事に、何か彩りを加えたい。
そんなわけで、僕はスーパーでにんじんを手に取ったのである。
2.初めての皮むき
無計画ににんじんを手にとったものだから、当然ピーラーなんていう便利な道具などない。
いけるやろ、と思い包丁を使って皮むきを行ってみた。
この時に参考にしたサイトがこちらである。大変下調べに役立ったので、ぜひ皆様にも活用していただきたい。
味の素さんありがとう・・・
https://park.ajinomoto.co.jp/recipe/basic/vege_handling/
包丁を使う場合、りんごと同様に食材を回転させて皮を剥くのが推奨された方法である。
しかし、僕は料理原人。りんごだって剥かずに食べる。
包丁を一定の角度に固定して、一定の力でにんじんを回転させることがとても難しく、
1本目の半分もいかないところで心が砕け散ってしまった。
そこで、ピーラーと同様に包丁をまっすぐ動かすイメージで皮むきを試してみた。
中国の刀削麺スタイルである。
https://www.youtube.com/watch?v=k3lblDLrg_w
刀削麺 削る動画 麹町
一見楽に思えたこの方法だが、実は大きな落とし穴があった。
皮の厚みを均一に薄く剥くためには、具材に対して包丁の角度が一定でなくてはならない。
包丁を動かすたびににんじんを抉る方向に刃が動いてしまい、
みるみるうちに6割のにんじんが出来上がった。
図1 full sizeにんじん と 6割にんじん
すっかり痩せてしまったにんじんに申し訳なさを感じながら、
僕は翌日ピーラーを買いに行くことを心に決めた。
3.ピーラーに感じた人類の叡智
翌日、勇んで買ってきたピーラーを使って再度皮むきに挑戦した。
すると、どうだろうか。
にんじんを覆っていた全ての皮が、均一な厚さで剥けていく。
具材に対して刃の角度が変わらないため、表面を滑らせるだけで皮むきが行えてしまうのである。
職人が木材を削るようにキレイに、それも極めて簡単に終わっていく作業に、
僕は深い感動を覚えた。
人間の技術は一貫して、“今までより楽にできる”方へ進化してきた。
それは作業負担を減らすものであったり、作業工程そのものを簡単にするものであったり様々である。
ピーラーという道具を使えば、料理原人でも熟練者と変わらない成果を得ることができる。
そこに至るまでには数多の失敗があったはずだが、それでも“楽をしたい!”という願いが勝った結果、
この道具はこの世に生を受けることができたのである。
ありがとう、先人の方々。
図2 ありがとう先人たち
4.結果と考察
ピーラーという素晴らしい道具を使うことで、僕はにんじんを料理に加えることができるようになった。
しかも、にんじんだけではない。ジャガイモだって使えてしまうのである。
料理原人は少し進化して、広がった料理の世界をちょっとだけ楽しめるようになったのだ。
知りたくなったこととしては、刃当たりの角度と皮の薄さの関係である。
製造元によって違うものなのだろうか、すでに研究されている内容であるのか。
とても気になるところである。
今のところピーラーを増やす予定はないが、ピーラーにハマった時には皮むきの手応えについて研究してみたいと思った。
まだまだ興味は尽きない。
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