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アスリートのための心理的コンディショニング byうさみ

Madoyaca代表の宇佐美円香です。

私はスポーツメンタルトレーニングを事業の1つにしており、ソフトテニス競技を中心に全国の小学生から大人まで指導させていただいています。
また社会人大学院生として、スポーツメンタルトレーニングの専門家になるためにスポーツ心理学を研究中でもあります。

こちらの記事は前回の記事に引き続き、

こちらの図の中にもある「心理的コンディショニング」について

極力簡単に説明していきます。


心理的コンディショニングの重要性

スポーツにおいては、心技体のすべてがバランスよく最高の状態に整った時にピークパフォーマンスに達する可能性が高い(1番パフォーマンスが高くなる)と言われています。
特に、心理的コンディションは最終的なパフォーマンスの発揮に強く影響を及ぼすので、日常的な練習の中で自分自身の心理状態をチェックして、試合当日に向けて心理的なコンディショニングを身体的なコンディショニングと同じように重視して、正しく行うことが必要です。

セルフモニタリング

ここでは心理的コンディショニングのためのセルフモニタリングについて触れていきます。

セルフコントロールとセルフモニタリング

スポーツメンタルトレーニングの目的の中に、試合で自分の心の状態をセルフコントロール(よくない、偏った気持ちの状態を元に戻すこと)できるようになるということがあります。
もちろんこれも大切なのですが、実は心理的コンディショニングにおいてさらに重要なのは、その手前の段階で行われる「セルフモニタリング」です。
多くの中学校・高等学校の部活動ではノートで毎日記録させているところがありますが(いわゆる部活ノート)それもセルフモニタリングの1つです。

セルフモニタリングとは

セルフモニタリングは、文字通り自分の観察をすることで、自分の心理状態を自己理解することです。
1日の終わりにその日のコンディションをチェックするために、コンディションチェックリストを作成し、選手につけてもらうことが多いです。
このコンディションチェックリストは、指導者や選手と協議した上で作成し、必要な項目・不必要な項目の要望を聞いて、使いやすいものを作成します。

このチェックは継続して行うことが望ましいので、項目があまり難しかったり多かったりすると、継続が難しくなってしまう可能性があります。
項目に使う表現も、シンプルにわかりやすいものを使うことがおすすめです。

また、継続してつけさせていく中で、チェックリストの得点をグラフ化していくこと(可視化していくこと)も非常に効果が高く、選手の気づきを促進します。

セルフモニタリングのチェック項目

よくあるチェックリストの項目としては

  • 今日良かった点、改善点、明日の目標

  • 身体的コンディション(体調、食欲、疲労、故障など)

  • 心理的コンディション(意欲、気分、不安など)

  • 技術的コンディション(調子、精度)

などがあります。
継続的につけることにより、自分自身の心身のコンディションがより精度高く感じ取れるようになり、目に見えないメンタルに対しても自分なりの目盛りが見えるようになってきます。

また、チェック項目の中に、パフォーマンスのテストや生理的な数値(心拍数や血圧など)を追加すると、客観的な数値と自分の主観的な感覚の関わりが見えるようになるので、より正確なコンディションを把握できるようになります。

チェックリストには毎日の目標を記入することがとても大切です。
コンディションの振り返りは、その日の目標で評価が変わってくるからです。例えば、試合に向けてしっかりと休養を取ることが目標だとしたら、心理的なエネルギーは低く、身体的コンディションは良いのが理想であり、逆に練習で追い込むことを目標としていたら、心理的なエネルギーが高く、身体的コンディションは低くなるはずです。
休養を取ることもとても大事なコンディショニングなので、練習がない日にもセルフモニタリングを行う必要があります。

心理的コンディショニングに活かす

日常の練習を行うには、自己分析の記事

の中でも紹介したように、心理状態を常に最適な「ゾーン」に保つ必要があります。試合前の調整期間には心的エネルギーをうまくコントロールして、試合の日にそれを活用するような「ピーキング」が必要です。

スポーツメンタルトレーニングにおける、心理的コンディショニングでは、練習量との兼ね合いの中で、どのタイミングで
・気持ちを盛り上げていくか
・リラックス感を得るようにするか
が大切なポイントです。

試合が近づいてくる時期には、選手は気持ちを張り詰めて、フィジカルやスキルの調整を行いますが、その張り詰めたままの状態では試合前の心理的ストレスの高い時期を乗り切ってゾーン状態で試合に臨むことは難しいです。(ここは意外と勘違いされていることが多いと思います)

試合に向けての最終調整期に入ったら、練習量を減らすと同時に徐々にリラックス感を高めて、試合が近づくにつれて少しづつ気持ちを盛り上げていくようなコンディショニングをしなければいけません。(イメージリハーサルなど)

選手によって、早い時期に気持ちを盛り上げた方がいい選手もいれば、直前に行う方がいい選手もいるので、選手と個々に調整することが必要です。
直前に気持ちを盛り上げようとした時に、競技不安が高まってしまったり緊張が高まって寝られなくなることもあるため、個別化することが大切です。

セルフモニタリングのテンプレート

普段の練習の日用と、試合用のセリフモニタリング用のテンプレートをこちらに掲載します。
ファイルを開いて右クリックするとダウンロードができます。
ご自由にお使いください。
日々の部活ノートなどで取り入れていただくと効果的だと思います。

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