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アスリートのためのスポーツイメージトレーニング byうさみ

Madoyaca代表の宇佐美円香です。

私はスポーツメンタルトレーニングを事業の1つにしており、ソフトテニス競技を中心に全国の小学生から大人まで指導させていただいています。
また社会人大学院生として、スポーツメンタルトレーニングの専門家になるためにスポーツ心理学を研究中でもあります。

こちらの記事は前回の記事に引き続き、

こちらの図の中にもある「イメージトレーニング」について

極力簡単に説明していきます。


イメージトレーニングとは

私自身、ソフトテニスやハンドボールなどのスポーツをしてきましたが、競技を行う選手であれば、その競技の内容について頭の中でイメージ・シミュレーションをしたことがあると思います。
イメージ感覚は誰もが経験的に持っていて、特にスポーツ選手であれば潜在的に何らかのイメージは持ち合わせていると思います。

この元々持っているイメージをより効果の高い方法で使っていくことで、自分の感覚をさらに高めて、競技力の向上に繋げることができます。

このイメージの力ですが、誰もが持っている一方で、ほとんどの場合未発達です。(無意識に行なっていることが多いが、意識的にトレーニングはしていないため)それだけに、3週間ほどあれば大きな効果を出すことも非常に多いのですが、トレーニングの初期段階は難しく感じることが多いです。そこで意味がないと投げ出してしまう選手も多くいます
質の高いイメージトレーニングを何度も何度も繰り返し行うことが必要なのですが、フィジカルトレーニングやスキルトレーニングとは異なり、目に見えないイメージを扱っているため結果も目に見えにくく、根気よく練習を行わなければいけません

内的イメージと外的イメージ

イメージには、内的イメージと外的イメージがあります。
内的イメージは実際に自分で競技を行なっている状態を主観的に(自分がプレーヤーとして)イメージするもので、外的イメージは他の人が競技を行なっているのを「動画を見ているように」客観的にイメージするものです。

一般的には、競技の初心者は外的イメージで、競技レベルが高くなるにつれて内的イメージでトレーニングを行なった方がよいとされていますが、実際は2つとも使い分けていることが多いです。

内的イメージの場合は、身体の動きだけでなく、その競技を行なっている最中の心の状態(感情状態)に関するイメージトレーニングも行うことができます。

スポーツイメージトレーニングの目的

アスリートがイメージトレーニングをする目的は、3つあるといわれています。

①現在練習している運動技術の習得&習熟

今取り組んでいる、新しく挑戦している技や、成功率を高めたいひとつの技を、自分が実際に実施している場面のイメージを繰り返します。
初めのうちは、場面を細かく分けて、細かい筋や関節の動きをイメージの中で再現して、だんだん分けているものを繋げていくのがコツです。
イメージを繰り返すことで、最初は頭で考える思考的なイメージから、感覚的なイメージにしていきます(この表現もかなり感覚的ですが)。
このイメージトレーニングは、実際の競技の練習を組み合わせることで非常に効果が高くなります。

②集中力の向上などの感情の強化

競技をしている最中(練習、試合も含め)の自分の感情を思い起こすようなイメージをします。「今」に集中するようなイメージです。
例えばソフトテニスで言えば、「この1ポイント」に対する集中をイメージします。初めのうちはなかなかイメージに集中できない頃もありますが、繰り返しイメージしていくことで強化されていきます。
集中を保ちにくい困難な状況下でも集中できるように、よい集中状態のイメージを作ります。

集中以外にも、程よい緊張感・積極性・覇気のある状態などについてもイメージトレーニングすることができます。

③イメージリハーサル

目標とする試合が近づいてきたら、その試合を具体的にリハーサルしておく「イメージリハーサル」を行います。実際に競技が行われる試合会場の雰囲気や観衆のプレッシャーなどの緊張感、状況としては難しい中で集中を保てている自分、堂々とした態度、試合を終えた後の達成感などをイメージします。

イメージリハーサルは、クローズドスキルの競技や場面の方が即効性が高く(状況を具体的に想定しやすいため)、オープンスキルの競技は相手や環境によって状況が左右されるので具体的にイメージするのが少し難しいです。

スポーツイメージトレーニングの手順

①イメージストーリーを作成する

イメージトレーニングをする前にはクラスタリングを行い、それに基づいてイメージストーリー(具体的にイメージする内容)を作成します。
イメージストーリーはイメージする内容の脚本であり、映像化できるくらい具体的な内容でなければいけません。
イメージする目的、課題とするテーマ、日時、場所、天候、イメージの流れなどかなり細かく設定していくことが必要です。

オープンスキルとクローズドスキル、クラスタリングについては以下の記事の中で解説しています。

②リラックスした状態での注意集中

イメージトレーニングを行う前に、リラックスした状態を作ることが大切です。この状態については以下の記事の中で「背景公式」として説明しています。

③イメージ実施後の振り返り

イメージの実施後、そのイメージが鮮明にできたか、スムーズだったか、違和感はあったか、どんな感情になったか、など具体的な振り返りを必ずしなければいけません。
技術的なイメージをした場合は、イメージでの技術と現実の技術の比較も必要で、どんなギャップがあるかをきちんと振り返っていきます。

④試合会場でのイメージトレーニング

試合も大事なイメージトレーニングの場になります。
イメージの題材のほとんどは試合の中で発見することになるので、試合中の身体の感覚や自分の感情的な変化などをしっかりと自己観察しながら試合に臨んで、自分のイメージトレーニングの題材として活かしていくことが大切です。

次回は心理技法の「心理的コンディショニング」についての記事を書きます!お楽しみに!


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