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コロナマップを自分で作ってみる

コレラマップ

今回のタイトル画はコレラマップです。
Wikipediaによりますと「(マップは)1854年にロンドンの大流行のコレラの症例のクラスター(積み上げられた長方形で示す)を示す。汚染されたポンプは、ブロード・ストリートとケンブリッジ・ストリートとの交差点にあり、リトル・ウィンドミル・ストリートに流している」となっています。
作成したジョン・スノウ医師は地元住民らへの聞き込み調査の末、コレラの発生源となる水ポンプ(PUMP)を見つけたそうです。

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さて、新型コロナウイルス感染症の影響から、大阪や東京など大都市を中心に未だ大変な状況が続いています。
連日メディアでは、感染状況をデータを使って解説しています。
例えばテレビでは、感染者数を記入したカレンダー、また、棒グラフによる感染者数の推移も多く見かけます。なんちゃって都道府県マップ(分かります?)に、感染者数だけを表示したものもあります。

一方、ネットでは、もう少しグラフィカルな表現をしているサイトが多く、マップを使った可視化も積極的に行われています。都道府県ことに感染者数によって色分けされているマップですね。東京都は濃い赤色、山梨県は薄い赤色といった感じです。階級区分図/コロプレスマップとも呼ばれます。

某放送局、某新聞社サイトなど、本当に素晴らしいものが多く、また、ArcGISで有名なESRIが協力しているジョンズ・ホプキンス大学のCOVID-19 Dashboardは、一度は目にした方も多いと思います。
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/dashboards/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

コロナマップ

実は私も、昨年、最初の緊急事態宣言中に新型コロナウイルス感染症に関連するマップ(ここではコロナマップと呼びます)を作ったのですが、その後、仕事や研究に忙殺されて更新していませんでした。

その時作成したコロナマップをご紹介します。
2020年1月15日に中国の武漢で感染が始まり、イタリアと中東に飛び火をします。そして、欧州全体に蔓延しながら、アメリカで感染が広がっていきます。

このように、感染者数を「地理×時系列」で表現することで、数値では見えにくかった、感染経路や感染爆発の感覚が伝わるのではないかと思います。

ということで、今回は昨年の復習とここまでの振り返りを兼ねながら、いくつかコロナマップを、例によってQGISを使って作ってみたいと思います。

まずは、2021年5月12日の感染者数を都道府県ごとに色分けしてみます。

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データは厚生労働省のサイト「データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-」にあります。MS-Excelでちょこっと加工しまして、都道府県名を使って国土数値情報の行政区域データとリンクしますと、白地図に色塗りしたようなマップができます。

確かに、東京都や大阪府は感染者は多いので濃い赤色になりますが、緊急事態宣言中の京都府は感染者数が少なく見えます。

やはり、人口あたりの感染者数を出してみないといけないようです。
同じ日の人口10万人当りの感染者数で色分けしてみましょう。

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少し雰囲気が変わりましたね。
岡山県や福岡県も数値が高いようです。

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重傷者数や死亡者数、病床数などもオープンデータになっていますので、いろいろな角度から都道府県の状況を確認できると思います。

それにしても、北海道、目立ちますね……
札幌の感染者数が多いのは分かりますが、全道に感染が蔓延してしまった印象です。

バブルチャート

それでは今度は、バブルチャートで表現してみたいと思います。感染者数を円の大きさで表すため、面積に影響されません。ただし、円が重ならないように調整する必要があります。

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マップを見て、直感的に多く見えるのは、大阪府、東京都、愛知県といった感じでしょうか。

さらに細かい地域の状況を見たい場合は、データがあれば、市区町村ごとに確認することもできます。
ここでは埼玉県の市区町村ごとに感染者数で色分けしてみたいと思います。
都内に近い南部と北部ではだいぶ状況が異なるようです。

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また、もし感染した場所がある程度特定できれば、ヒートマップを作ることも可能です。感染場所や感染経路はとても重要な情報ですが、必要以上にそのエリアを恐れたり、地域への差別につながらないようにすることが肝要です。

それでは最後に、昨年8月からの感染者数の推移を動画にしてみたいと思います。QGISの時系列処理をすれば容易に作成できます。

8月から10月にかけては比較的感染者も落ち着いていました。
その後、Go To トラベル等が始まり、12月から再び感染者が増えていきます。年明けて1月には2度目の緊急事態宣言は発出され、高止まりが続く中、4月末からは変異株が大阪で広がり3回目の緊急事態宣言が出されました。

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
今回はコロナマップと銘打って、いくつかQGISを使って作成してみました。GISが感染症対策に何らか貢献できればと思いますし、とにかくこの状況が早く収束することを心から願っています。

GISやデジタル地図に興味をもった方は、ぜひ拙著をご覧になってください。
今回のコロナマップは、レッスン8日目の「属性データとバブルチャート」とレッスン16日目の「エリアマーケティング」が参考になると思います。

その問題、デジタル地図が解決しますーはじめてのGIS」(ベレ出版)

使用した地図データ等
・行政区域データ、国土交通省、
https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v2_3.html
・データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-、厚生労働省、
https://covid19.mhlw.go.jp/

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