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波音の中、世界中の人たちと沈んでいく太陽をただ眺める、という世界

最後に大きな夕日を見たのはいつだったかな。ハワイにいるとそんな事を思う。

ハワイにいると「今日のサンセットは綺麗になりそう」「今日のマジックアワーは最高だった」「今日は雲が多いからサンセットは微妙かも」そんな会話が自然と発生することに驚く。

それは夫と行った時も、今回の滞在で一緒に過ごしたみのりさんとも。

会社員を辞めて約1ヶ月滞在した時には顔なじみになったスターバックスやABCストアの店員さんとでもそんな会話が自然と生まれていた。

秋田の大自然の中で育った私にとって大きな夕日は身近なものだった。大きなオレンジ色の太陽が遠く田んぼの地平線に沈んで、だんだんと空が水色とピンクに染まり、そして紫が混ざって星が散らばる・・そんな夕方はいつも身近にあった。

それがマジックアワーと呼ばれる特別な時間であることを知ったのは、ずいぶん大人になってからだった。

高校生になって部活が始まり、当時なぎなた部だった私はいつしか夕日の時間は稽古で面をかぶっていた。そして大学進学で東京へ。夕方はまだ授業か、急いでバイトに向かうバスの中だったな。

社会人になってからは夕日の時間はデスクに向かっているか、営業先からの帰社途中。気が付けば夕日を見ることなんて毎日の中からすっぽり抜け落ちてしまっていたと思う。

アポイント先からの移動中に高いビルとビルの間に沈む太陽を見つけた時、思わず息を飲んで立ち止まったことを覚えている。毎日を必死で駆け抜けている間にもずっとあの日と変わらない夕日が毎日毎日あったことを思う・・

「今日は空が綺麗だよ」と声を掛け合って夕日を見に行く。それは私にとって一種のボーダーラインに感じる。

それは、幸せの。

それは、今、生きることの幸せを感じられる心の柔らかさがあるかどうかの。


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OLをやめた翌々日に飛行機に飛び乗って半分逃げるようにハワイに向かった私にとって、「今日は夕日が綺麗だよ」と声を掛け合うことや、マジックアワーが始まる少し前にたくさんの人がビーチに集まってその時を静かに待つ時間、そして沈みゆく太陽をただ波音に揺られながらみんなで味わう空気感は涙が出るほど感動する世界だった。

心の栄養ってこういう体験のことを言うのだと思った。


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今回の滞在は3泊5日というショートステイで、そんな夕日と遭遇するチャンスは3回。

1日目はワードエリアからアラモアナビーチに寄って、アラモアナビーチで獲れたお魚を見せてもらっている時。

その日は少し曇りで、けど空気は確かに淡い虹色に染まっていた。心地よい風に夕日の色の粒が乗って、ビーチに座るたくさんの人たちの日に焼けた肌の上をさらさらと撫でていた。

Down to Earth で買ったソイラテを飲みながらそんな人たちの中に混ざってパステルカラーの空気に染まって行く心地よさは簡単には表現できないな・・


2日目はワイキキビーチで。朝からとてもよく晴れた1日で、今日はきっと綺麗だね、と期待をしていた日。そろそろ空が染まるという時間はビーチに人が並んでいく。ちょうどダイヤモンドヘッドの向かい側に沈むお日さまを見ようと、等間隔にみんなが座っていく。

ここに座ったらあの人が見えないかな・・そんな優しい気遣いを世界中の人が自然としていることを感じると、私はすでに感動してしまう。 

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ビーチ沿いで遊んでいた人も砂浜に上がって、みんなの言葉が少なくなっていく。不思議と静かになったビーチでは波音が大きく聞こえるようになり、空気をさらに優しく包んでいく。

さあ沈むぞ・・という瞬間、海外特有の陽気さでカウントダウンや歓声が上がってもいいものなのに実は一度も遭遇したことがなく、世界中の方が静かに見守る時間はいつも神聖な気持ちでいっぱいになる。

夕日を見つめる人の横顔はどの国の人もとても綺麗。


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私たちの遠い遠い祖先も同じように集まって夕日を見ていたのだろうか。

沈み切った後もすぐに立ち去る人は少なくて、その余韻を深呼吸とともに味わうような、優しい優しい時間。

そんな出来事に遭遇するたびに、私は人間の根底に流れる優しさを発見するのだ。

綺麗なものを綺麗だと思う心。人の中に流れる優しい力を信じているし、信じたい。そして私もそんな自分でいよう。と、いつか同じ場所でした自分との約束を、また更新する。


そしてこのマジックアワーは地元秋田にもあると今回も確信せざるを得ない。

私は目の前に広がるこのハワイのマジックアワーと同じくらい大きくて綺麗な空を見て育った。

意識が秋田に飛ぶ…


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実家が秋田にあること。離れた場所での生活を選んだことに罪悪感を持ったこともあった。

だけど心のままに行き着いたハワイで、地元の可能性を感じる不思議な展開になってきている。

地球って綺麗。そのことを感じられる場所をみんなで楽しみたい。感動したい。その想いを叶えるのはハワイと秋田、どっちでもできる。同時に両方でもできる。そんなことも夫ともよく会話している。

将来、きっと私と夫は
ハワイと秋田で何か始めると思う。

ハワイに惹かれる理由、その原点はいつかは重いとさえ感じた地元にあるのかもしれないなぁと、一つの流れる線を感じる。

私にとってはじまりであり未来でもあるハワイ。

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今回も読んでいただきありがとうございました。

Mahalo !

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