障害は個性じゃない

障害ってなんだろうね?って話。

子どもの発達障害については昨今でよく知られるようになり、わりと意識が高いというか、子どもの将来についてしっかり考える系の親は赤ちゃんの時からそのことについて、よく調べたり勉強している印象があるね。
でも、なかには保育士をしていてもそこにあまり関心を持たない親もいる。
たくさんの子を見てきたからこそ、「この月齢で発達障害かどうかを判断するのはちょっと…」っていうところだと思う。それは確かにそうだよねと一理あることもわかってる。
さすがに4歳すぎると「なんとなく変だなあ」とは気づくけどね。
その時にどう対処していくか、ということが、発達障害の子にとって重要じゃないかなって思うんですよ。

私の知り合いに冬実さんという人がいて、彼女は小児看護師なんですよ。その前は10年ほど保育士をしていたわけ。
なので、彼女は子どものエキスパートというか。そのわりに発達障害についてのんびりした構えをとってるなーという印象。

冬実さんには5人のお子さんがいて、末っ子の光太くんは5歳。
素人の私から見ても彼は発達障害のグレーゾーンなんだよね。3歳ぐらいからわかりやすくそういう行動が出ています。


なのに、親である冬実さんは療育を受けさせてない。


なんなら、発達障害診断を3歳になるとされるんだけど、恐らく彼女の意向でそれも受けさせてないと思われます。

5歳になると大人とそれなりの意思疎通ができるし、良いこと悪いことの区別がつきます。
他の子どもとも一緒に仲良く遊ぶとか、まあ、いろんなことができるようになるわけよ。
でも光太くんは交通ルールを守れないし、他人に関心を示さないし、こだわりが猛烈に強い。
もし、私の息子が明らかに発達が定形成長ではないとわかったら、私ならその瞬間に保育園や医療機関に相談をし、療育を受けさせると思います。
なぜなら、


アメリカの研究では、幼いうちから適切な療育を受けさせれば、成長した際、90%の子が定形児と同じように社会生活を送れるようになる、というものがあるから。


障害を持つ子どもの親として最も心配なことは、自分たちが死んだ後、子どもはどうするんだろう?という不安。
それをなんとか解消したいわけです。
子どもが一人でも生きていけるようになってほしいわけ。だって永遠に守ることは不可能なので。

「私、発達障害は個性だと思ってるんです」と冬実さんはよく私に言う。
恐らく、光太くんだけではなく長女の裕子ちゃんも発達障害もしくはそのボーダーであることに気づいてるんだろうと察したのよ。
素人で他人である私がわかるぐらいだから、小児の専門家である彼女がそこにきづかないわけないんだよね。

冬実さんが「発達障害は個性」だと言う度に私は違和感を持っています。


障害って個性なのか???


個性って走るのが早いとか絵を描くのがうまいとか、絶対音感があるとか、なんかそういうことじゃないの?
年齢のわりにやれることができないとか、明らかに社会生活にふさわしくない行動とかルールを守れないとか、それが「性格だね」の範疇を越えているから障害なんじゃないの?って考えてる。


冬実さんはただ子どもが障害を持っている、という事実から目を背けているだけな気がします。


「自分はちゃんと育ててきた」という自負があるから障害を認めたくないのかもしれない。
でも、発達障害って親のせいではないし、子ども自身のせいでもない。
先天的なものなんだから仕方ないんだよね。それでもなかなか受け入れられないんだろうけど。

私は障害を個性だとはまったく考えていません。
障害は障害でしかなく、可能なら取り除くべきものだし、緩和できるならそうするものだと捉えてる。
発達障害を個性だと言う人は、脳性麻痺や重度の自閉症、身体障がいについても個性だと言いきれるのかしら?本音でそう思っているのかしら?
発達障害は多くの他の障害とは違って、先天的ではあるけれども適切な療育を続けていけば大きく緩和されることがわかっている、障害の中でも稀有な存在。
それなら早く療育を受けさせてあげたいと私なら思うわ。

冬実さんは本気で発達障害を個性だとは捉えてないはず。
おためごかしの綺麗な言葉で自分を慰めているだけ。
そして、他の4人の子ども達の育児と仕事に翻弄されて現実から目を背けているだけ。


目に見える怪我にはすぐに対応するのに、なぜ人にとって最も大切な発達について見ないふりをするんだろう?


そこに彼女という人間の本質が垣間見える気がするんだよね。

発達障害やその他の障害を「個性」だと言う人は、そういうおおらかな自分に酔ってるだけなのでは?
綺麗な言葉を並べることで迫り来る恐怖から逃げてるだけじゃないの?


障害を個性だと言う人は両腕両足をなくした脳性麻痺の人に向かってそう言えるの?


人の子だけど光太くんの将来が心配だわよ。

さて、仕事行くか。

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