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裁判の初傍聴(個人で社会科見学)
テレビドラマで裁判のイメージは何度も見たことがある。
学校の授業等で、日本の裁判に関する基本的なことは知っている。
でも、実際の裁判は見たことがない。
興味があった。
ただ、他の人が裁きを受ける場所に、第三者である自分が行くというのに抵抗もあった。怖い感じもした。
「いつか機会があれば」と思ってそのままにしていた。
40歳になり、これまでは保留にしていたことを始める活動の一つとして、今年中に裁判を傍聴することに決めた。
ちょうど裁判所の近くに行く用事があったので、その帰りに寄ってみることにした。
初めて入る裁判所。当然のことだが、入り口で警備員の方が手荷物検査をする。
でも検査さえ終われば、あとは自由。「勝手にウロウロしていいのかな」とこっちが心配するくらい。来た理由等も聞かれなかった。
受付の人に「傍聴って、そのまま向かえばいいんですか?」と聞いたら、「そうですよ」と親切に教えてくれた。
受付の隣には、今日開廷される裁判の時間、部屋、内容が書かれたモニターがあった。このモニターを見て、傍聴するものを決めるようだ。
とりあえず、裁判が始まったばかりの部屋に向かった。エレベーターに乗るのさえ緊張する。なんか場違いな感じがした。
フロアに着くと部屋はたくさんあるようだ。廊下に人は誰もいない。ますます緊張してきた。
しかし、せっかく来たので、目的の部屋に向かった。着くと「傍聴席」の表示がある。入る際には携帯の電源を切る等の注意書きはあるが、立入禁止の表示はない。扉の小窓を開けると、既に傍聴している人が数人見えた。
(よし、入ろう)
自分が裁判を受けるわけではないが、緊張した手でドアを開けた。中では、既に裁判が始まっている。傍聴席の人々は静かに正面を向いたままだ。
邪魔にならないように、後輩の席に音を立てずに座った。
(テレビドラマで見た裁判と同じだ)
正面の奥に裁判官。裁判官が被告に職業等を聞いている時だったので、裁判官の正面に被告が座っている。こちらからは背中しか見えない。
傍聴席から見て左側が弁護人、右側が検察官のようだ。
意外に裁判官との距離が近い感じがした。心理的なものなのか、圧迫感があり、思わず肩に力が入る。話している人の声以外は、空調?の音がするだけ。厳かな雰囲気だ。まさに裁判所って感じだった。
被告への質問が終わった後は、検察官が事件の説明をした。かたい言葉が並んでいたが、だいたい事件の内容は理解できた。
検察官の説明の後は、それに対して弁護人が反論をしていた。もちろんドラマのようにワーワー言う感じではない。この部分は認めます、ここは認めません、というようなことを1つ1つ冷静に説明していた。
その後は、裁判官がそれぞれの意見を確認して終わり。それぞれが証拠を準備する期間を設けるようだ。
びっくりしたのは、その場で裁判官が今後のスケジュール調整をし始めたこと。裁判官がスケジュールを見ながら弁護人に「◯月◯日の◯時はいかがですか?」と確認すると、弁護人が「そこは別件が入っていますね」「◯時からなら大丈夫です」と答える。まるで会社の商談や打ち合わせのようだった。
トータルで30分ほど。静かに座っているだけだったが、緊張した。こういう裁判が1日に何件も行われているのか〜と改めて思った。
傍聴席にはメモを取りながら聞いている人もいた。関係者なのか、傍聴のプロなのか。
エレベーターを降り、裁判所から出ると、謎の解放感があった。シャバに出られた感覚。
当たり前だが、悪いことはしないようにしようと改めて誓った。
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