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経営管理部門に資産運用のリテラシーが必要になってくる

会社には、営業・製造などの部門がありますが、これらを支えるために、経営企画・財務・経理・人事・総務・内部監査・IT、などの管理部門があります。経営管理部門ともいいます。

会社は資本金で事業を行いますが、資本金で足りない部分は金融機関からの借り入れや社債の発行によって補います。特に、事業を拡張していくとき、売り上げが伸びているとき、などは資本金だけでは不十分です。このため、外部からの資金に頼ることになりますが、これが「外部資金を梃子にして」というものであり、「レバレッジを効かして」といいます。

こうした企業活動を管理する経営管理部門には、これまでは資金調達を中心とした知識・経験が不可欠でした。いわゆる「ファイナンス理論」というものです。ファイナンス理論の基礎としては、資産を効率的に活用している尺度としてのROA、資本の活用を測るROEなどがあります。

ところが、コーポレートガバナンスコードの改訂などで、近年は株式市場からの評価を従来以上に意識せざるを得ない状況になっています。金融機関からの借り入れがゼロの会社でも上場していれば株主の視線に注意する必要があります。

スチュワードシップ・コードによる投資家との対話が重視されつつありますが、投資家は資本コスト(WACC)などを持ち出してきます。こうなると投資家の対面に立つ経営管理部門には資本コストを算出するためのCAPM(資本資産評価モデル)などの知識が必要になってきます。

WACC、CAPMはファイナンス理論の1つといってもいいでしょうが、最近では気候変動対応としてのTCFD対応などが求められています。こうなると、もはや財務情報を基礎づけるファイナンス理論とは別の非財務情報の話しになります。換言すれば資産運用の理論・リテラシー、です。

このように、ファイナンス理論が必須だった経営管理部門には、資産運用サイドの理論やリテラシーが求められる時代となっています。

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