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コーラのトリビア

以前、某超大手コーラメーカーにお勤めの方がいらした際にお話した内容です。(メーカーの公式見解ではありませんので、与太話程度にお聞きください)

コーラ、あえてコカ・コーラと言い切ってしまいますが、『ビンのコーラ神話』ってありますよね。コーラはビンが一番美味いってやつ。これって、実際はどうなんですか?という疑問。

現在、小売の形態としてはビン、ペットボトル、缶の3種類がありますが、中身のコーラ自体はどれも同じだそうです。ビンだけが炭酸強めに作ってるとかいうことはありません。ならばビンのコーラ神話はただの気のせいなのか。ところが、そうとも限らないようで。

まず、ペットボトルですが、これは表面のペットボトル樹脂の表面からわずかに炭酸が抜けていくことがあるそうです。本当に微々たる量なので大体気にならないレベルですが、長期保管しておくと炭酸が弱く感じることがありえるそう。なのでペットボトルはガスの維持という点でイマイチな面あり。

次に缶ですが、これは炭酸の漏れは全くなし。ただし、ごくわずかに缶の金属臭がコーラに移ることがあるそう。だいたいの人は気にならないレベルですが、まれに金臭さを感じる人がいるとのこと。なので缶は味の維持という点でイマイチな面あり。

そこへいくとビンはガラスなので炭酸は漏らさず、余計な臭いもつかない。まさにパーフェクト容器なわけ。ということで、『ビンのコーラ神話』はあながち都市伝説とも言い切れないようです。

普段、うちではビンの栓を開け、グラスに氷だけ入れた状態で別々に提供します。注ぐのはお客様自身です。
ちなみにそのコーラメーカーにお勤めのお客様はグラスに注がず、ビンから直接飲まれていました。なるほど、確かにグラスに注いだ時点で完璧に保たれていた炭酸は弾け、氷で多少なりとも薄まりますからね。理にかなっています。
もし、今度ビンのコーラを飲む機会はあれば、上記のウンチクをひとしきり披露して「だから俺はビンから直接飲むことにしてるんだよね」と言ってあげれば一目置かれるか引かれるかのどちらかでしょう。


ついでにもう1ネタ。ペットボトルのコーラは飲みきりサイズからファミリー向けまで非常に多くのサイズが展開されています。一方、ビンは190mlのみです。この190ml、個人的にはちょっと少ないんですよね。喉が乾いているとバーガーの前に飲みきってしまって、食事と一緒に楽しめないことが度々あります(そんな個人的理由から、当店では2本目以降のおかわりコーラは半額にて提供しています)。せっかくの機会だったのでそれも聞いてみました。ビンのコーラ、容量少なくないですか?

ふふふ、あなたも分かってないね。
そんな落ち着き払った雰囲気とともに返ってきた答えは「190mlが一番美味しくコーラを飲みきれる量なんですよ」

なるほどね。いわゆる腹八分目理論(いま名付けた)ですね。
確かに500mlの場合、初めは最高に美味しくても後半は飲みたいから飲む、というより残ってるから飲むに近くなるかもしれない。

前述の炭酸抜けの話と合わせると、ビンのコーラであっても抜栓した時点でガスは抜けていくわけで時間を置くことで抜栓前よりも美味しくなるわけはない。開けてすぐに飲みきれる量がベスト=190mlというのは理にかなっている。

そしてさらに考えると、「量が少なくないですか?」の問に対して「これが美味しく飲みきれる量だからです」はとても秀逸。

普通、量が少ないよりは多いほうが嬉しいわけですよ。そして少ない理由を問われて「複数サイズ展開するのはコストがね・・」とか「製造ラインが確保できなくてね・・」と答えるのはあまりよろしくない。買う方からしてみれば「そんなの関係ねぇ」から。だったら安くしてくれよと。

ところが「このサイズが一番美味しく飲めるんです(あなたにとってベストな選択なんです)」と言われると、そうか、という気がしてくる。そう言われてみると量は少ないかもしれないけど、より美味しく飲むという質の面では勝ってるんだから、損しているわけでもないかもな、という気がしてくる。

この腹八分目回答がコカ・コーラ社として練り上げたテンプレートなのか、そのお客様独自の工夫なのか、なんの下心もなく純粋な理由なのか、定かではありません。

同じものを同じ値段で売っていても、説明一つで感じ方が全く変わってしまう。モノを売るっていうのは難しいし面白いものよと感じた次第です。

いやー、お金を頂ける文章とは思いませんが、頂けるというのなら受け取らせて頂くこともやぶさかではございません。