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感情を分析しない方がいい

命がどこにあるか調べたくて、魚を解剖してみたら命が失われたのです


異動初日、気張っていた私は家に帰るなりポロポロ涙をこぼした。
悲しいわけではない。寂しさはあったけど。
役立てなかった無力感や、若手職員の有能さへの焦燥感、仕事のプレッシャー、帰宅してホッとした安心感……様々な感情が言葉にならずに涙として現れた。

涙は悲しいときに流れるのではなくて、感情が言葉にできないときに流れるのだ。
心配してくれた夫が「今までの異動はそんなことなかったのに、どうして泣くんだ」と聞く。

私はそこでまた泣いた。

夫に対して申し訳なさと、優しさへの感謝。言い表す気力の無さ。無神経な質問への怒り。
何より過去の自分自身に対してへの怒りが涙になった。
私も夫と同じようなこと、生徒に聞いていた。

「前はできてたのに、どうして今回はつらいと思ったのかな」
「その気持ちは○○ってこと?」

話を聴くときに、理解したくて質問したり分析したりすることがあった。
仕事上必要なことだけれど、本当に理解したかったのかな。
自分自身が納得したかっただけではないかな。
誰かの気持ちをカテゴライズして、私が安心したかったのかも。相談者の気持ちを置き去りにして。
もしかしたらあの時の子も、言葉にしてほしいわけではなくて、ただ聴いて寄り添ってほしかっただけなのかもなぁ。
だって私がそうだもの。

説明や理解しようと努力することも大事だし、生まれた感情をそのまま受け入れるのも大事。
いや、まずは受け入れが先か。
いやいや、ベストな対応は人やタイミングによっても変わるよね。



……そんなことを考えていたらすっかり涙は消えた。
感情に支配されそうなときは理性を働かせることも有効。


まとめ

●傾聴のコツは、他人の感情を分析しないこと
●感情を言語化するのは有効(涙に対し、悲しいのか困っているのか確認するなど)
●感情の原因は聞いても良いが、辻褄が合っていなかったり矛盾があったりするので追求しないこと。感情は生まれ出る物。

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