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失礼します

保健室に入る時の様子は十人十色だ。

友達に連れられて来たり、もじもじとドアの前で中の様子を伺ったり。もちろん元気よく入室する子もいる。
特に最上級生の中学3年生は保健室を自分の部屋のように堂々と利用する。友達数人でガヤガヤ賑やかに入ってきて椅子に座り話し出す。

私自身はそういう雰囲気が特に気にならず、むしろ気軽に使ってくれているというようにポジティブに捉えていた。
もちろん傷病者がいるときは元気な子たちの入室は遠慮願いたいので「今はごめん。保健室は使えないよ。」と言うとだいたい素直に退室する。明るくて優しい子たちだ。


そんな3年生がドアをノックをして「失礼します」と入ってきたのでビックリした。
さらに私が椅子を勧めるまで座らず、椅子の横で立っている。

「さっき面接練習したんだよ」と話す生徒たち。


あ、そうか。入試の準備がもう始まっているんだ。

入室の仕方を授業の中で練習して、保健室の入室に応用したのだろう。

「入室の仕方バッチリだったね。それに、すごく大人っぽく感じたよ」と言うとニコニコ笑う。

こうやってだんだん礼儀や礼節を学んで、大人になっていくんだなぁ。
そう思うと応援したい気持ちと嬉しさと一緒に、少しだけ寂しさも湧く。この瞬間だけの出来事。

卒業までの約3ヶ月が待ち遠しくもあり、愛おしくもある。

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